04
事件が解決した次の週、その日は冬美が休みだった。
学校に着いたので、下駄箱を開ける。すると、何やら折り畳まれた紙が入っていたのだ。小さなメモ用紙のようで、ゴミにしては綺麗すぎる。
下駄箱から紙を出し、とりあえず開いた。
【笹野です。この前はありがとうございます。お礼がしたいので、放課後会える日はありますか?】
なんと、女子から初めて遊びに誘われたのだ。いや、これは遊びの誘いと呼んでいいのだろうか。どちらにせよ、放課後に会いたいと言われたことに変わりはなかった。
小さい頃は冬美と約束して遊んだことがあったけれど、小学生になってからは全くない。漫画の貸し借りだって、放課後ではなく学校でこっそりやっていた。
会うことが恥ずかしい気もするが、お礼をしてくれるのに行かないのはあまりにも失礼だ。もうこれ以上、笹野さんに傷ついてほしくない。どんなお礼がもらえるかだって気になる。
悩むことなく、会うと決めた。
それにしても笹野さんの字は意外と汚く、これならオレの方が上手い。また一つ知ってしまった秘密を、ポケットに入れて教室に向かった。
笹野さんと、どこで会うか。
廊下にはたくさんの生徒が歩いているが、学校の近くで笹野さんに会ってしまったら、この中の誰かに見られてしまうかもしれない。なんとなく、放課後に女子と二人でいるところを、知っている人に見られたくないのだ。
悩んだ末に、良い場所を思いついた。
授業中に先生の目を盗みながら、ノートの切れ端に返事を書いた。体育の授業中にトイレに行くふりをして、笹野さんの下駄箱に入れたのだ。
【明日なら空いてる。ホームセンターの隣にある公園なんてどうだ?】
返事は次の日の下駄箱に入っていた。
【大丈夫です。学校が終わったらすぐ向かいます。今日はよろしくお願いします】