生き地獄2
……寒い。そりゃそうか、今冬だもんな。
どこか、安くて寝れる場所……探して入ろうかな。
いやむしろ、このままいっそ……死んでしまえたら楽なのか。
寒すぎて、手の感覚無くなりそう。
「……孤独なはずなのに、安心する……不思議」
ボソッと呟いたはずなのに……何故か話しかけられた。
「それは、わかる……けど、この時期はほんとに冷え込む……」
目線の先には、靴が見えて……表情は見えないけど声からして男性だ。
「……へ?」
「…………アンタ、少し前によくここら辺に来てた人だろ。俺、見掛けてたんだよアンタを」
「……っ!?そ、そんな前から……で、でも服とか……」
「あー、髪型はいつも一緒だろ?だからだわ」
……確かに、髪型はいつも同じだ。けど、だけど帰るって事はしたくない……あの家は……私にとってはゴミ同然な場所。
「……アンタ、旅行カバンもってどうすんの?……い、……」
「家……には、帰る気はなくて……出てきたんです。」
「ふーん……まぁいいや。これからどうすんの?」
「わ、分からないです……あの家に居たくなくて何も考えずに出てきたので……」
「…………じゃあ、俺の家に来る?」
「え……え!?」
今……なんて、言ったんだろ……幻聴じゃ……
「幻聴じゃねぇーよ、て聞こえてるから…ふっ」
わ、笑った。ほ、ほんとにいいんだろうか……ものすごい選択を迫られてるような……。
「い、いいんですか……?そ、その彼女とか居たら。」
「彼女居たら、そもそもこんな事聞かんだろ。」
「……じゃあ、お願いします……」
「ん……とりあえず近くのコンビニ寄っていい?飲み物買って帰りたいから」
「はい、あ、えっと……貴方の名前はなんというんです?」
「は?あー名乗ってないのか俺」
「……はい」
名前も知らずに、お邪魔するのは気が引けてしまう……。というか髪の色……綺麗だ。
……アッシュブラウンかな?
「俺、中村 郁。アンタは?」
「私は、華村 凛梨です……」
「……凛梨ね。覚えとく。」
「は、はい。」
あんまり人を覚えるの苦手なのかな……でも悪い人じゃない気がする。歩いて数分してコンビニが見えてきた。
「飲み物買うけど、アンタはなんか買う?」
「じゃあ、サンドイッチと飲み物買います」
「ん。」
お互い欲しい物をレジに持ってきた。
「あ、お金……」
「いいよ、払わんで。俺がだす」
「あ、ありがとうございます……」
「いいえ、もう少ししたら着くから着いたら先にシャワー浴びてきな。」
「え、先にいいんですか?」
何から何まで申し訳ない気がすごいする……けど。
いつか恩を少しずつでも返せたらいいな。
「うん、入ってきな。疲れたと思うし」
「ありがとうございます、では先に入りますね」
私は、笑顔で中村さんにお礼を言ってお風呂場へ足を運んだ。
けど、この時中村さんが少し照れたことは知らなかった。
「……あいつ……笑顔できるじゃん…やっぱりあいつの家族が問題なのか」