第一章 二度目の人生へ
目が覚めると俺は見知らぬ場所にいた。
「どこだ?ここ…」
俺はあたりをみわたす。だんだんとこれまでの経緯を思い出す。
俺はトラックにはねられ死んだはずだ。あの状態から生き返れるはずがない。
しかしここはどこだろう。あの世?
そう思っていると不意に後ろから凄く綺麗な女性から話しかけられた。
「ここは神界ですよ蛍人さん」
!?
びっくりした~…。
というか神界?どこそれ。もしかして神様が住んでいたり!?
そう思っているとさっき話しかけてきた女性が
「えぇ、その通りです。ここは神々の住まう地です」
「……」
え?まじ?ということはなに?この人?は神様?
「はい。私はとある世界の創造神です。」
「えぇ~!?創造神なの!?あ、いや、何ですか?」
俺はとっさにタメ口だったの敬語にかえた。下手だけどしないよりましだろ。ていうか心の声読まれてる気がする…。
「えぇ、呼んでいますよ」
そう言って創造神と名乗った女性は微笑んだ。
しかしなんで俺は神界にいるんだ?俺は死んだと思うからそんなところに来るはずないんだけど。
「それは私が呼んだからです」
なるほど…、いや、なぜ!?
呼ばれるようなことした?もしかしてあれ?女の子助けたやつしか思いつかん。
「えぇそれであっていますよ」
「やっぱりそうですか」
俺の予想はあたっていた。しかし読んでどうするのだろうか。うぅむ、謎だ。
「それは私があなたを私の世界に転生させようと思ったからです」
「まじですか!」
「はい。もちろんあなたがよければの話ですが」
「問題ないです!ぜひお願いします!」
やったぜ!念願の転生!どんなところかな~。剣と魔法があればいいな。
「ありますよ。そしてその世界はステータスとスキルが存在します」
「お~!凄くいいです最高です!」
ちょー最高だ!というか今は気付いたけど「私の世界」?
「えぇあなたを転生させる世界は私が管理している世界ラリオネです」
なるほど、そういうことか。
「はい。そして話を戻しますが、蛍人には転生の特典として役に立つスキルをいくつか差し上げますね」
おぉ~!創造神様太っ腹だ!
「そして魔法と剣ですがそれらは適正があるかぎり魔法は使えます。練度を上げたりしたらレベルも上がります、剣術なども同様です自分の強さがスキルとしてあらわれるのです」
ほうほう、つまりスキルを覚え魔法を使ったりするわけではなく、自分の努力した分強くなり、それがステータスのスキルに反映されるわけか。めちゃくちゃやりがいがあるな。
「なるほど、わかりました。ちなみに俺は適正がありますか?」
「ありますよ」
おぉ~、やったぜ魔法楽しみ!
「それからこれも…」
そう言うと創造神様は俺に向かって手をかざしてなにかをした。なんだろ?
「何をしたんですか?」
「あなたにステータス魔法とスキルを授けたのですこれで使えます」
なるほどそういうことか。
「ありがとうございます!」
「それと、」
「?」
「あなたの戦闘技術を体に覚えさせなおしました」
そう、創造神様は言ったがわけがわからなかった。戦闘技術?そんなもの習ったこともないけど……
「いつかわかりますよ」
創造神様はそう言ったのでよくわからなかったけどとりあえず了承した。創造神様がああ言ったのだからそうなのだろう。
「わかりました」
俺はそう言うと創造神様が聞いてきた。
「そろそろ転生させますが、最後に聞きたいことはありますか?」
創造神様に聞きたいこと……。俺は少し考えて聞きたいことがあるなと思った。それは……
「なぜ人を助けただけでそこまでしてくれるのですか?」
俺を転生させることだ。人助けなんて俺のほかにもした人はたくさんいるはず。そしてみんながみんな転生する訳じゃないはず。
「確かにそうですね。転生させることはあっても記憶は消して新たな人として世に出していますし、極稀に勇者を呼ぶくらいです」
創造神様はそう答えてくれた。以外と転生多いな。記憶はないらしいけど。そりゃそうか地球の知識をいっぱいもってったら世界のバランスが崩れかねない。
「そして転生させる理由ですが、蛍人さんはまだ十四年しか生きていませんから」
確かに。俺まだまだ子どもだわ。まだ人生これからってときだもんな。
「あと、あなたがあの子の……」
「?」
創造神様がなにか言っていた気がするが、聞こえなかった。ちょっと気になる…。
「ほかに聞きたいことはありますか?」
「いえ、もうありません。ラリオネのことなどはあっちで自分で調べて知ろうと思います」
やっぱりこれから生きていくであろう世界のことは自分で調べないと。全部知ってたら面白くないもんな。
「わかりました。それでは転生させます」
「創造神様あらためて、ありがとうございます。俺を転生させてくれて」
そう言って俺は感謝の言葉を伝えた。凄く嬉しいからな。ちゃんと伝えたかったのだ。本当に感謝しているから。
「はい、どういたしまして」
創造神様はそう言い俺にむかって微笑んだ。その美しい微笑みを俺は一生忘れないだろう。
「それに、五歳になったら教会にいくと思うのでまた会えるます。そのときまた、楽しんでいるか教えて下さいね」
「はい!」
そう言われた俺は元気よく返事をした。その後、視界が真っ白になり次に気がついたときは見知らぬ部屋の天井が視界にはいったのだった。
蛍人の転生がすんだ後。
神界にて。
「私はあなたがあの子の転生体だから転生させた。もし記憶が戻ったならまた精神が崩壊しないように支えができていてもらわないと」
その言葉は誰にも聞こえなかった。
そしてその意味とは……。
蛍人はいつか知るだろう自分自身のことを。だが、今はまだそのときではない。そう、そのときでは……