第一章 転生
唐突だが、俺は異世界に行きたい。
なぜなら今の人生に満足していないからだ。家族関係が悪いわけでもなし、普通に学校に行って将来のために勉強をする。そうして今、中学二年生にまでなったわけだがあまり楽しくはない。
しかし貧乏だったり家族関係が悪かったり、なにかしらの不幸を持っている人からすると、「贅沢を言うな!」と言ってくるだろう。確かにその通りなのだが、そう思わずにはいられなかった。
「異世界に行きてぇ~」
そんなことを思っていると不意にとある光景が視界に映り込んできた。
なんと信号無視をした大型トラックが自分と同じくらいの年の女の子をはねそうになっていたのだ!
なんちゅうテンプレ!
そう思わずにはいられなかった俺だが、気づくと助けようと駆け出していた。
「間に合え!」
そして女の子を突き飛ばし助けたが俺はトラックにはねられ死ぬ寸前だった。意識がもうろうとし、感覚がなくなってきたからだ。まわりで大人たちが、騒いでいて助けた女の子が、なにか言っていたが聞こえなかった。
(助けられてよかった…)
自分の行動は無駄ではなかったのだ。俺は安堵し、そのまま意識を手放した。