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破砕のゼンキツ

「やったねラッツ! デビューしたてなのに魔王軍の幹部を倒しちゃうなんて、私たちってかなりすごいんじゃない?」


フラーが癖のある金の長い髪を弾ませながら僕の手を握ってくる。すごく嬉しそうだ。僕は嬉しくないのかって、あぁ、それどころでは無いんだ。


「フフフラァ、手が、当たってるっあの当たってるから」


やばい、テンパりすぎてキモイ感じになっちゃったかもしれない。でも本当にやばい、なんかいい匂いもするし……


「こらフラー! ラッツが困ってるでしょ、離しなさいよ!」


言いながらイレイラが僕からフラーを引き離した。危ないところだった……僕は再び視線を落とす。


僕たちの前には魔王軍幹部、破砕のゼンキツが黒焦げになって倒れている……恐ろしい相手だった。




勇者協会から貰った情報を元に野営中のゼンキツたちに奇襲をかけた訳だが、それで仕留められるほど甘い相手ではなかった。


ゼンキツを筆頭にオーガやゴブリン等、複数種の魔種で編成された部隊だったらしい。前線を超えかなり人種の陣地の奥まで侵入していた。おそらくそのまま主要都市に奇襲をかけるつもりだったのだろう。


そこまで大きい部隊ではなかったため、まだ別動の部隊がいくつかあるかもしれない。こちらの動きを悟らせないためにも一体も逃さずに殲滅する必要があった。




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