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勝ちゃあいい
「円状断絶術式」
指二本で床を指し唱える。俺が開発した魔法の一つだ。一瞬床に円状の光が灯ると円で囲われた部分がズルズルと下の階に落下して行く。その上に乗りゆっくりと落下しながら黒に告げる。
「目指すなら上だな。臙脂の居場所は地下か最上階の二択だ」
それを聞くと黒は何も言わずに駆け出した。そう言えば、黒が勝った場合何を要求されるか聞いていなかった。まぁ、いいか。
「勝ちゃあいいわけだ」
自分に言い聞かせ先へ進む。進むと言うより落ちて行くだけだが。
下の階へ抜けると丁度にくり抜かれている床の穴に乗っている床がピッタリとハマり、またズルズルと落ちて行く。そして床の穴を抜けると一気に落下し、また次の穴を潜る。
何度繰り返したか。おそらく地下十五階くらい。足場の動きが止まった。下に積み重なった床の分位置をずらしてもう二階下へ降り、適当に進む。
奇跡だ。敵に全く出くわしていない。そして地下牢を発見した。あとは臙脂が見つかれば目標達成だ。
俺はとりあえず一つ一つ牢の中を確認しながら歩いていった。




