殺気
襲い来る透明の衝撃。おそらく空から降ってきているそれは、地面に当たると腹の底に響くような衝撃音とともに五メートルくらいの穴を開ける。当たったら死ぬ……いや、死ぬ。死ぬって。
「……死んじゃいます! レイさん!」
「大丈夫だ! あと四十三発で終わる」
レイさん、なんでそんなに嬉しそうなんだ。本当に死んでしまう。全然大丈夫じゃない。
死ぬのはごめんだ……避けるしかない。
透明の衝撃はおそらく僕を狙って降ってきている。つまり動き続けることと、同じルートを通らないことで回避出来るはずだ。
よし行ける。十発は凌いだ。あと三十発くらいっ!?
踏み出した左足が穴に落ちた……転んだ、なんで回避先に、じゃない! やばい! 立て! 走れ!
おそらくだが、僕は今人生で最も必死に生きている――――
――――そして僕は今生きている。
ただ両足がグチャグチャのペッチャンコになってしまっている。
「……んあ゛ぁぁぁあああ゛っ!」
いだいっ! 痛い痛い痛い! やばい! 痛い! いたい、いた、いたいいた……
っと、気を失いかけたところブラックさんに起こされた。え、ブラックさんいつ来たのだろうか。
というか痛みがない。
足、動く。あれ、どういうことだ。
「続き、行っとくか」
レイさんが楽しそうに告げる。
「いや、無理でしょ。ただのいじめじゃん」
「お前のだって似たようなもんだろう」
「違うね。今何をしたらいいかわかってないもん」
「それに気づく訓練だってんだよ」
レイさんとブラックさん、言い合いになってしまった。
「だから無理だって。そんなセンス良くないから」
「自然循環は出来たんだろう?」
「上手く誘導したからね。なんの説明も前触れも無しにあんなのただ走って逃げるに決まってるよ」
「……そうか、確かにボケた面してるもんな。俺が間違ってたわ」
あれ、なんか、二人で僕の悪口言ってないか。
「ラック。今からブラックが手本を見せる。学べ」
レイさんはそう言うとさっきと同じように魔法を発現する。
「包熱仮想重量球体!死ねぇブラァック!」
あれ、やばい、なんか気合い入ってる。




