『呪い子』と言われた者
初の第1作目を書かせて頂きます。
まだまだ新米作家なので慣れない文もあるかもしれません。
よろしくお願いします。
『私に関わると不幸になる』
俺は神咲拓哉。そう、ここは学校の屋上。
初めて会った彼女に拒絶された。
けれど、彼女の悲しそうな表情を見て“放っておけない”と同時に俺は彼女に恋をした。
とある朝。
「おはよ」
そう言い彼女に話しかける。彼女は1つ下、いわゆる後輩だ。
石神春花、黒髪のセミロングで片目を前髪で隠している。
「……迷惑です」
そう言いながら俺の横を通り過ぎて学校に向かって歩く姿を俺は後ろから追う。
「着いてこないでください」
「いや、俺も同じ学校だし」
「じゃあ別のルートから行ってください」
「こっちの方が近いし」
何気ない会話をしながら歩いていると急に立ち止まり、振り返って俺に話しかけた。
「昨日からなんなんですか、急に話しかけてくるなんて」
「……普通に声をかけただけだが」
「どこが普通ですか!『君の片目を見たい』なんてどこの変人ですか!!」
「……『君の素顔が見たい』の方が良かったか?」
「それも辞めてください!言いましたよね?
『私に関わると不幸になる』と。」
「あぁ、言ってたな」
「私が『呪い子』とわかってて言っているんですか」
“呪い子”
この世界には、普通の人には見えないものがある。
俺たちはその存在を『夢魔』と呼ぶ。
そいつらは人の憎しみや悲しみからできたものとされ、怨みを持つ人間の成れの果てとも言われているが実際はわからない。
夢魔が彼女の体内に居て多くの人は近寄ろうとはしなく、彼女を消そうとする人もいるとか。
なんで俺がそんなことを知っているのか…
「貴方だって“祓い屋”だから、私のこと祓おうとしてるんでしょ」
その夢魔を祓う人は“祓い屋”と呼ばれる。
最初は彼女を祓うはずだった…。
あの時……彼女の悲しそうな目を見るまでは……。
昼休み(屋上)。
「やっぱりここに居た」
「……なんですか、先輩」
「後輩を気にする先輩がいて何が悪い」
「さり気なくナルシストアピールしてますよね!?
どうしてそんなに自信あるんですか!」
「……別に自信もってないけど」
「自信満々ですって雰囲気醸し出してる先輩のどこにそんな言葉が出てくるんですか!!」
お弁当を食べながら一人しゃがみこんでいる彼女の前に座る
「ここは立ち入り禁止のはずだぞ」
「ちゃんとバレないようにしてますよ。
私も祓い屋です、ちゃんと人目につかない程度の結界を貼ってるんです」
「だから普通の人も気づかなかったわけか。」
「人目につかないようにするのは当然じゃないですか。」
「……そんなに人と関わるのが嫌いか」
弁当を食べていた手が止まった。
少しの沈黙が流れた後、彼女は下を見下ろした。
中庭で仲良くお弁当を食べて話し込んでいる女子生徒の姿があった。
「私は……普通の子じゃないんです。夢魔が見えてるってだけでも普通の人からは煙たがられる人だっているのに、“呪い子”である私は……普通じゃない。」
「夢魔が暴走し出したりしないのか」
「……」
また沈黙が流れた後、彼女は素早く食べ終えて空の弁当を片付けて立ち上がった。
「先輩には関係のないことです」
そう言い残し屋上から去った。
が、俺は後を追わず様子を見ていた“もう1人”に声をかけた。
「居るんだろ、出てこいよ」
「さすが俺の弟だな」
「……兄貴。」
コイツは俺の兄である、神咲蒼真。
兄貴は自分の能力で姿を隠していた。
「あの子が“呪い子”……視えたのか、夢魔の姿は。」
「……いや」
「珍しいな、人目で憑かれてる夢魔のわかるお前がわからないなんて。何か隠してないよな?」
「本当に視えないんだ、わかっているのは……彼女は夢魔に憑かれているんじゃなくて、体内にいるってことくらい」
「体内にいる?」
「飼っている状態に近いのかな……何か隠しているのかもしれない。
兄貴は何か気づいたことは…」
そう言い隣りを見たが既に居なくなっていた。
「…………」
放課後。
カラスが鳴いて赤く染る空を飛んでいた。
俺は帰り道を歩きながら考えていた、昼休みの彼女の言葉。
『先輩には関係のないことです。』
やはり、彼女は何かを隠している。何かはわからない…。
けれど、彼女に聞いたところで話したりはしないだろう。
「……」
20時30分。
空も暗くなり、俺は部屋のベッドで寝転がっていた
ドクン──
この感じは間違いなく夢魔。
俺はカーテンと窓を開けて空を見上げると、1部が赤黒く光った。もちろん普通の人には見えないが、俺たち払い屋には赤黒く光るものが見える。
赤黒く光る空の下には夢魔が居ると言われている。
俺は窓から飛び、屋根から屋根へと飛び移りながらそこへ向かう。
「また親父に怒られるぞ。」
後ろから聞こえてくる兄貴の声。
普通は窓から飛び乗るなって言われてたっけ。
ーって、兄貴もしてるだろうがー
なんて思ったが口には出さないことにした。
紅葉公園))
「ここのはずだよな…」
「うん、間違いないよ」
俺と兄貴で夢魔の気配を確認する。
ここで間違いない。
「拓也も成長したね」
「バカか、二度と間違えるかっての」
「はいはい」
俺は背中にある、剣を兄貴は弓矢を取り出した。
これは夢魔を退治するための武器。
もちろん普通の人には見えないもの。
「…来る」
暗闇の林の中から出てきたのは妖気を放っている…そう、夢魔。
そいつらは異様な形をしており、今目の前にいるのは…
「狼の姿…」
「へぇ、これはまた…怖い夢魔が来たものだ」
ウオオオォ……
兄貴が矢を放って奴が避けた先へ俺が斬り込む。
が、コイツは一筋縄ではいかないようだ。
斬り込むのを見越して俺に噛み付こうとしてきた。
俺は咄嗟に剣で防いで、押し返した。
「くそっ…」
その時、どこからかふわっと花びらがひとひら舞ってきた。
ー薔薇…?ー
俺の横から別の払い屋が現れた
「……石原……」
彼女は俺と同じ刀を持って、夢魔に向かっていた。
が、その姿は一瞬で消えて夢魔を斬った。
ギャアアァァァァァ!!!!
赤黒い瘴気が消えて消滅―――討伐された。
読んでいただき。ありがとうございます。
更新する頻度はまだ少ないかもしれませんが、楽しみに待っていただけると幸いです。
よろしくお願いします!