表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/101

88 船内探索






先日海運組合に行って乗船予約を無事済ませたネイト達は、港に来ている。

ここでは桟橋から小船に乗り、沖合に停泊している大型船に近づきそこから乗り込む。

小船にはロープが結んであり船までかなりの速さで進む。重い荷物もなんのそのだ。

港という名前だが、ここではこれが港だ。


「凄い数の船だな」


ネイトの感想に


「そうね。沖合にたくさんの船があるのね」


ケイトが答えた。

3人の前の桟橋には5m〜10m級の船が200艘はある。

するとそこに


「おはようございます。乗船までの案内をさせていただきます」


昨日の職員の男性がいた。


「済まないな。助かる」


ネイトが感謝すると


「組合長からくれぐれも、と言われていますのでお気になさらず」


そう言った男性の案内でネイト達が乗る船まで案内された。


「こちらになります。お荷物をお持ちします」


そう言って男性は手伝いをした。

さらに男性は船乗りに


「こちらの方々はグリードさんの恩人の方々なので粗相のない様にお願いします」


「わかりやした!グリードさんの恩人とあれば船長にも伝えやす」


「では、私はこれで失礼します。御三方に良き航海であるよう祈ります」


そう言って男性は船から離れていった。


「あの船長さんは凄い人だったのですね」


カーラが呟き


「人は見かけによらないものね」


ケイトが失礼な事を言って


「何にしても助かったな」


ネイトが締めた。


3人が乗った船は他には乗客を乗せずに空いたスペースに3人の物とは別の荷物を積んで沖へと出た。

オールで漕がずに、旗を振ると船のロープが張り、船はロープに引っ張られる形で進む。


船が進み暫く経つと沖に大型の船が何艘か見えてきた。その内の一艘に船は接舷した。

あまりの大きさに下からでは全容が掴めない。

ネイト達は圧倒されて声も出せずにいた。


「ここからゴンドラが降りてきやすので、それに荷物を持って乗ってください!」


船乗りにそう言われると目の前にゆっくりとゴンドラと呼ばれた箱が降りてきた。


「さあ、どうぞ」


船乗りの掛け声に


「俺から乗ろう」


とネイトが先陣を切ってゴンドラへと乗り込む。


「次は私ね」


そう言うとケイトがネイトの手を取りゴンドラへ乗り込んだ。


「ネイトさん。ちゃんと持ってて下さいね?」


そう言い、ネイトの胸にカーラが飛び込んだ。


船乗りが合図の旗を振ると、ゴンドラは浮上し出した。

無事甲板へ辿り着いたネイト達は、自身に与えられている船室へと係の者に案内された。


「ごゆっくり」


係の人はそう言うとドアを閉めて去っていく。


「着いたな」「ええ」「はい」


あまりの規格外の大きさに3人は未だに放心状態だ。


「これだけデカイと長い船旅でも疲れそうにないな」


ネイトの言葉に


「そうですね。あの川船も大きかったですがそもそものサイズが違いますね…」


「ここは地下というかなんて呼べばいいのかしら?

甲板の一つ下と言うことはわかるのだけど…」


カーラが答えた後、自身のいる場所をなんと呼べばいいかわからないとケイトが言う。


「普通に三階でいいんじゃないか?」


ネイトの答えに


「何で三階なのよ?」


「そこに書いてある」


ケイトの疑問にネイトは自分たちが通ってきた廊下を示した。

ドアを開けて覗いたケイトは


「地図があったのね…。ここは三階の客室エリアというわけね」


地図には簡易的なことが書かれていた。

一階は乗客立ち入り禁止の貨物室。二階も乗客立ち入り禁止のエリア。

三階とその上の甲板が3人が自由に出入り出来るもので、客室の他にトイレ、浴室、食堂、ラウンジが書いてある。甲板は天候が良ければ昼間なら解放されている。甲板にあるラウンジでは深夜以外はお酒が飲めるようだ。浴室は水魔法で海水を真水に変える魔道具があるようだ。食堂では無料で2食食べれる。後はお金を都度払うシステムだ。


「さすがに窓はないようね。昼間は上に上がって気分転換しないと厳しいわ」


正気に戻ったカーラが室内を探すが窓はなかった。


ネイト達の客室は6畳くらいの部屋で、2段ベッドとソファーベッドがある。防犯の観点から入口に近いソファーにネイトが寝ることになった。

3人は荷物を部屋の隅に固めて貴重品とネイトは剣も持って、船内の探索をすることにした。


「じゃあ、行くわよ」


部屋の鍵を閉めたケイトの号令で3人は一先ず食堂を目指した。


「それにしても…これだけ真っ直ぐな廊下は見たことが無いですね」


「そうだな。慣れるまでは確認をしないと違う部屋に入りそうだ」


カーラの感想通り、ネイト達の前後は真っ直ぐな廊下で突き当たりの壁が遠くに見えるだけだ。


「あれね!」


ケイトが示したのは普通の客室の倍の扉。つまり両開きの扉だ。


ガチャ


戸惑いなく3人は部屋へと入る。


「広いわね。この船の客が同時に食べる為というわけね」


「ええ。それにここには窓があるわ。雨で甲板に上がれない時でもここなら気分転換出来そうね!」


ケイトが広さについて述べ、カーラはここでの過ごし方を想像した。


「時間外で有料らしいが、何か食べていかないか?」


ネイトの提案に


「はい!」


「そうね。少し小腹が空いたわね」


二人が賛成した。


食堂の受付のところで軽食を頼み、お金を払って料理を受け取り席へ着いた。


「これが山羊のお肉ね。肉料理は久しぶりね」


3人が頼んだのは山羊の肉と野菜をパンで挟んだサンドイッチだ。


「なんでも、この先で周る島で山羊の飼育をしてるそうですよ。

このタレは海で取れた海鮮を使ったタレの様ですね」


「そうか…美味い!肉が久しぶりなことも加味してもこいつは美味いな!」


カーラのネイトに褒められる為に仕入れた情報は、料理の美味さに負けた。


3人は食堂を後にして、浴室の利用方法を確認に来た。


「へぇ、凄いわね。この魔道具だけで一体いくらになるのかしら…」


「ここで洗濯も出来るようね。よかった…服が洗えなくてネイトさんに臭いなんて言われたら…」


浴室は男女別になっておりここは誰もいない女湯だ。

浴室を出て合流した3人は甲板へと上がる。





「どうやらこれから出港のようだな」


ネイトの視線は今張られようとしている帆を見つめている。


遠くから船員達の声が聞こえる。


『錨を上げろ』『そっちのロープが弛んでるぞ』


「ここにいては邪魔になるかもしれないからラウンジへ行きましょう?」


ケイトの呼び掛けに3人でラウンジを目指す。





「いらっしゃいませ。何か飲まれますか?」


ラウンジに入るとウエイターのような人が席に着いた3人に声をかけた。


「私はお酒を。二人はどうするの?」


「私は果実水を下さい」


「じゃあ、俺も」


3人の注文を聞くとウエイターは下がっていった。


ラウンジはガラス窓と木窓があり、今日は晴天の為、木窓が空いている。

開放感がある為、今日は夕ご飯までここで景色を楽しんだりしながら過ごした。




ネイト達が夕食を食べて自室に戻って暫く経った時。


コンコン


扉がノックされた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ