86 いざ海運組合へ
ギルドに着いたネイト達は、3人組とその他は受付で依頼達成の報酬を受け取り、ネイトはギルドマスターに呼ばれた。
「凄かったわねぇ。次はいつしてくれるのかしら?」
ネイトも主語が無くともわかるが、人使いの荒さに少し苛立つ。
「悪いが、俺は気ままな冒険者だ。次はわからんな」
そっけなく返した。
「あら、お年寄りには優しくするものよ?
でも、わかったわ。する時は前日までに連絡してね」
ギルドマスターの言葉を聞いて席を立った。
宿にて
「おかえりなさい!」
「おかえり。どうだったの?」
二人の出迎えにとりあえず、ネイトは席について
「ただいま。かなりの量が狩れた。ただギルドマスターのシシーの人使いの荒さに、少しげんなりしたから次は日を開ける」
ネイトの答えにケイトが
「そうだったの。まぁ、ネイトはお金持ちだから自由にしたらいいのじゃないかしら?」
「そうですよ!ネイトさんをこき使うなんて何様なのかしら!!」
カーラは憤慨した。
「そこまでではないんだけどな。ただ苦手なタイプなのは間違いないな」
暫く後、3人は食堂へと向かう。
「それじゃあ、ネイトさんは明日は予定無しですか?」
食後にカーラが問いかけた。
「そうだな。何か手伝える事があるか?」
そう聞いたネイトにケイトが
「それなら二人でデートして来たらどうかしら?
私は自分のしたい事をしているから気にしなくていいわ」
「ネイトさんどうですか?」
目をキラキラさせたカーラが上目遣いに聞いてくる。
「じゃあ明日は二人で出掛けよう。しかし、どこがいいのかわからない。ケイトは何か良いところを知らないか?」
「なんで独り身の私が…。まぁいいわ。
また海になるのだけど、この街の近くから外海に出ている大きな港があるそうよ。
そこに見たこともない大きさの船がたくさんあるみたいよ。それを見にいってきたらどうかしら?」
それを聞いた二人は
「カーラはどう思う?俺は見てみたいが」
ネイトの言葉にカーラは
「私はネイトさんが居るところでしたらどちらでも」
そう言い自分のセリフで顔を紅くして俯いた。
ケイトはその顔面でその行動はずるいと思い、ネイトは満足そうな顔をしていた。
3人は何事もなくひと月をこの街で過ごした。
ネイトは魔物討伐を二、三日に一度受けて過ごして、空いた時間はカーラとデートをしたり3人で出かけたりした。そしてライザの冒険者登録も無事に済ませた。
ケイトはネイトが仕事の時はカーラと一緒にバザーを開いたりして過ごし、一人の時はこの街でしか手に入れられない物を財布と相談しながらのショッピングなどをしながら過ごした。
カーラは…ネイトの事ばかり考えて過ごした。
ある日の夕刻
「そろそろ他のところに行かないかしら?」
まるで自分達の故郷のように街に溶け込み出したタイミングでケイトが提案する。
「あまり長居をしすぎると、旅に出づらくなるわ。このタイミングで出ようと思うのだけれど、どうかしら?」
「私は二人に任せるわ」
「俺も任せる。この街では出来ることはしたからな」
二人の答えに
「それなら明日は準備や挨拶に費やして、明後日でましょうか?」
「「わかった(わ)」」
すると疑問が浮かんだネイトは
「ところでどこに向かうんだ?これまでの南東方向は海だから南西か?」
「海よ。もちろん二人がいいのならだけどね。
この国は諸島連合国。名前の通り島がたくさんあるわ。それを船旅で回ってみたくならないかしら?」
それを聞いた二人は笑顔で
「それは良いな!あのでかい船にも乗ってみたかったし、海の先に何があるのか気になるからな!」
ネイトが珍しく興奮気味に答え
「ロマンね!いいわ!私も賛成よ!」
カーラも大海原に期待を膨らました。
3人はこの地で落ち着いた様に見えたが、まだまだ生粋の冒険家、旅人であった。
3人は今日は早めに休み明日の準備に備えた。
翌朝
「ギルドに挨拶に行ったら二人に合流する」
ネイトは言葉を残して宿を出た。
残された二人は
「じゃあ私達は買い出しに行きましょうか」
ケイトの言葉に
「必要なものだけよ?」
と、カーラが釘を刺した。ケイトは
「……」
ぐうの音も出ない。
ギルドにて
「えっ!?ネイトさん出て行かれるのですか!?」
受付嬢のカミラは驚きを隠せなかった。
「ああ。ギルドマスターのシシーさんにもよろしく伝えといてくれ」
そう言うとネイトは踵を返そうとするが
「待ってください!それならギルドマスター本人に直接報告して下さい」
カミラの言葉にあまり会いたくなかったネイトだが、カミラにはお世話になったこともあり
「わかった」
渋々ギルドマスター室に向かう。
「そう。残念だけど、冒険者なら仕方ないわね。
それよりもどちらに向かうのかしら?」
「この国の海の向こうにある島々の予定だ」
それを聞いたギルドマスターは
「島巡りね。羨ましいわ。それなら一つ忠告と言うかお願いがあるの」
またかと思ったが一応聞いてみることにしたネイトは
「なんだ?」
「海賊よ。この国は海の恵みで豊かで平和なのだけどそれに漬け込む悪党が海賊なのよ」
海賊と聞いてネイトは
「海賊とはどんな事をするんだ?」
「海賊はね、ネイトさん達が乗る様な大きな船に、少し小さな船で乗り付けて積荷や女子供を攫うのよ」
それを聞いたネイトは眉を顰めて
「殺しても?」
端的に伝えた。
「もちろん。他の賊と同じ対応でいいわ。一応護衛を船でも雇ってはいるのよ?でもね、海賊が儲かるからって目が出なかった冒険者達が冒険者を辞めて海賊に鞍替えするのよ」
「わかった。情報に感謝する」
ネイトの言葉を聞いて
「感謝は海賊達の殲滅で示してくれたらいいわ」
にこやかにギルドマスターが答えて、やはり苦手だと思うネイトだった。
「俺には仲間がいるから、勝手な行動は出来ないが、もちろん偶々遭遇したら殲滅する」
ネイトは答えてギルドを後にした。
ギルドを後にしたネイトは二人を探す為に街を行く。雑貨屋に行くと聞いていた為、このひと月で街の店をだいたい頭に入れているネイトは、思い出しながら雑貨屋までの道を行く。
「どうだ?」
二人を見つけたネイトは買い出しの具合を聞いた。
「ネイトさん!順調ですよ。この後は海運組合と言うところに顔を出して明日乗る船の乗船券を買うくらいです」
カーラの説明にネイトは頷いた。
「それならこれから向かうか?」
ネイトの問いに店員と話しをしていたケイトが二人の元に寄りながら
「ええ。これから向かうわ。身分証が必要なのだけれど、ネイトは大丈夫ね?」
「ああ」
ネイトの返事を聞いて3人は海運組合があるところへと向かった。
「ここが海運組合か」
そう言ったネイトの前には冒険者ギルドと同じくらいの建物があった。
カランカラン
鈴の音が3人の来訪を告げた。
「こんにちわ。船を利用して島を巡りたいのだけど、お話しを聞かせてくれるかしら?」
ケイトがそう告げると受付の男性が立ち上がり
「こんにちわ。こちらへどうぞ」
と、3人をテーブルまで案内した。
新連載始まりました!
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月の神様に気に入られた俺は転移の能力を授かる。異世界と地球で好き放題してやる!(予定)
と言うタイトルです。
一生懸命書いたので見てやってください!
何卒ぉー!