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82 日常。海水浴編







ネイトは初めて海に来た事で何をすればいいかわからなかった。


「海では何をするんだ?もちろん泳ぐのはわかるんだが…向こう岸とか目標もないしな」


ネイトの疑問にケイトが


「そうね。他の人達は泳いだりボール遊びをしているわね」


カーラは


「うう、海のなかで、カップ、るが抱きついてる!?」


イチャついているよそのカップルを見て興奮していた。


「とりあえず入ってみる」


ここでじっとしていてもただ暑いだけなのでネイトは周りの人に習って泳ぐ事にした。


「感想を聞かせてね」


保守派?なケイトはネイトに委ねた。




波に向かって歩いていくネイト。


「ゆっくり入るか」


ザバーン


波の引き際に合わせて腰まで使ったネイトは次の波に飲まれた。

暫くすると50m程沖にネイトが浮上した。


「泳ぎ方がわからん。海の水を不可抗力で飲んだがしょっぱくてかなわんな」


そう呟いたネイトはそもそも泳いだ事が無かった。

だが持ち前の身体能力で息が切れる前になんとか力技で浮上する方法を編み出した。

30分程練習したら不恰好だが泳ぐ事に成功した。

さらにその後30分程で水魔法の応用で泳ぎに魔法を少し取り入れる事で地上で走るくらいの速度で泳ぐ事が出来る様になり、二人の元へ戻っていった。





ネイトが波に飲まれた時


「ネイト大丈夫よね?」


ケイトが心配してそうでしてない問いをカーラに投げかけた。


「あっ!あそこを見て!ネイトさんじゃない?」


沖合にネイトを発見した。


「何をしたらあんなに早くあそこまでいけるのよ…」


やはりケイトは呆れた。


「また潜ったわ」


カーラのその言葉を最後にネイトは中々姿を現さなかった。


5分後

「いくらなんでも長すぎるわ!」


そう言って助けに行こうとするカーラをケイトは止めた。


「大丈夫よ!ネイトは色々おかしいのをあなたも知っているでしょ!

それにカーラは泳げるの?」


ケイトに腕を掴まれてそう言われたカーラは


「…泳げないわよ。でも…」


そんな二人の視界の先にネイトが再び姿を現した。


「ほら。大丈夫だったでしょ?ネイトにそういう心配をするのは無駄よ」


「そうね…。でも他の人が心配しないなら私だけは心配するわ。だからケイトはそんな私を止めてね」


ネイトが泳ぎの練習をしている時にケイトとカーラは友情を深めた。





少し後

「さっ!ネイトは心配してもしょうがないし、遊んでいるのだから私達も遊ぶわよ!」


「そうね!見ていたら心臓に悪いから楽しみましょ」


ケイトとカーラは波打ち際に行く。


「水は冷たいわね。熱くなった身体が冷えて気持ちいいわ」


ケイトの感想に


「そうね。怖くて足しかつけれないけど、これはこれでいいものね」


暫く浅瀬でバシャバシャと普段は体験できない事で遊んでいたが、そこに影が忍び寄る。




浅瀬で遊ぶ二人に


「美人のお二人さん。僕たちと遊びませんか?」


地元の人だろう3人組の青年達がケイトとカーラに話しかけた。


「ごめんなさいね。私達は連れと来ているのよ。

またね」


ケイトが軽くあしらうも別の青年が


「そんなこと言わずにさ!こんな美人二人を放っておくような男は置いといて、俺たちと遊ぼうよ」


それに少しカチンと来たカーラが


「私達は初めて海に来たの。これから3人で私達は遊ぶから邪魔しないでくれないかしら?」


少し強気に出たが青年達には関係なく


「3人?バランス悪くないか?俺達なら二人とも暇させることなく楽しませられるよ!

初めてならいろんな事を教えられるしさ」


どうやらこの3人組は諦めないらしい。

ケイトとカーラの見た目と、連れが一人と言う事で気が大きくなってしまったみたいだ。


「なぁ。いいだろ?ここにいるより向こうにボールや小さなボートがあるからそれで遊ぼうぜ」


段々面倒くさくなったケイトが


「いい加減にしなさい。ナンパがしたいなら他を当たれって言ってるのよ?わかった?」


それでも意に返さない青年達は


「大丈夫だって!ほらおいで!」


ケイトとカーラの腕を掴んで強引な手段に出る。そこに


「離せ」


ネイトがやっと戻ってきた。


「え?これが彼氏?」


青年達はまだまだ子供のネイトを見て馬鹿にしたように話す。


「僕?お兄さんはお姉さん達と用事があるから海で遊んで来なさい」


青年達は笑いながらネイトをあしらう。


「その手を離せと言った」


ネイトはそんな青年達の言葉は気にせずに伝える。


「だからぁ!ガキは向こう行ってろって言ってんだよ!」


ナンパが上手くいかず、子供にでかい態度を取られた青年達は苛立ちが溜まっていた。

話しを聞かない青年達にネイトは行動に出た。


ガシッ


カーラの手を掴んでいる男の腕を掴んだ。そこそこの力で。


「いででででっ!?」


男は痛みからカーラの腕を離した。

その隙にカーラを後ろに隠してケイトの腕を掴んでいる男にも同じようにした。

残された男が


「おい!ガキが調子乗ってんじゃねーぞ!」


男達が騒いだお陰で周囲の視線はこちらに釘付けだ。


「何あの男達?モテないからって少年に暴力を振るうつもりかしら?」


「アイツらこの前私にも声をかけて来たわ」


「またアイツらかよ。俺は美人さん達と少年の味方だからな」


周囲の人たちが寄ってたかって青年達を口撃した。

それが聞こえた青年達は


「くそっ!こんなブスどもこっちから願い下げだ!」


「そうだ!こんなガキが趣味な変態なんていらねーよ」


「いこーぜ。性格の悪い女はヤメだヤメ!」


捨て台詞を吐いて去ろうとしたがそれに待ったを掛けたのはネイトだった。


「貴様ら、俺の仲間を侮辱したな」


そう言うと男達に近寄り


ブォンブォンブォン


投げた。


海に向かって。


「「「うわぁあ」」」


ドボーンッ


20mくらい投げ飛ばされた男達は海に沈んだ。

それを見た周りの人たちは


「やるなぁ!」


「人が空を飛んでるの初めて見たぞ!」


「きゃーすごーい!」


拍手喝采が起きた。

男達は無事に浮上してこちらが盛り上がっているのを確認したら、別の方角へ泳いでいった。


「ネイトさん!信じてました!」


カーラがそういいネイトに抱きついてきた。

抱きつかれたネイトは、裸同然の格好のカーラに抱きつかれた衝撃で、さっきまでの怒りを忘れて固まってしまった。


「カーラ。ネイトが死ぬからそれくらいにしてあげなさい」


ネイトのピンチを救ったのはケイトだった。


「す、すみません。助けてくれると信じていてそれが叶った喜びでつい…」


カーラは自身の格好を思い出して顔を赤くしてネイトから離れた。


「ネイトもいい加減現実に帰って来なさい。

周りの人達にみられているわよ?」


ケイトの言葉とカーラが離れた事によって何とか現実に帰ってきたネイトは


「騒がせてすまない」


そう言って周囲に頭を下げた。

周りはもちろん


「かっこよかったわよ!私も王子様に守られたいわぁ」


「アイツらが悪いんだ!気にせずに海を楽しんでくれよ!」


ネイト達が異国の人だとわかっている周囲の人達は温かく受け入れた。


「ありがとう」


こうして、お姫様抱っこに続き新たな名物を生み出したとか生み出さなかったとか。






気を取り直したネイト達は


「遅くなったが泳げるようになったから、3人で遊ぼう」


そう言ったネイトに


「貴方、泳げなかったの?!」


「嘘ですよね!?」


二人は驚いたが『ネイトの事だから』で済ませた。


「まぁ。泳ぐ事なんてないからな。とりあえずみんなで泳がないか?」


泳げるようになったネイトは海水浴が楽しくなっていた。


「私はいいわ。水際で荷物を見てるから貴方達二人で泳ぎなさい」


そう言ったケイトはカーラの背中を押して、ネイトに預けた。


「ネイトさん…。私、泳げないので掴まってもいいですか?」


あざとくカーラが上目遣いでネイトに伝えた。


「か、かまわん。俺がいるから大丈夫だ」


カーラの格好を視界に入れないようにしてネイトが答えた。



暫く後

はしゃぐ二人を眺めていたケイトの元にカーラが戻ってきた。


「どうしたの?まだ大丈夫よ?」


ケイトの問いに


「気を遣ったんじゃないの。ネイトさんが魔物の気配がするって言うから上がって来たのよ」


カーラの言葉に


「そのネイトは?」


カーラはその問いには答えず沖合を見つめるばかりだった。



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