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81 ネイトの弱点







ライザの冒険の指導が終わり、無事首都に帰ってきたネイト達はガウェインの元へと来ていた。


「まずは、無事に帰ってきた事を祝おう」


そう言うとガウェインは紅茶の入ったカップをネイト達に渡して、自分のカップを掲げてみせた。


「それで、娘はどうだったかな?冒険者は合わなかっただろ?」


ライザを冒険者にしたくないガウェインは、ネイトに辛辣な言葉をそれとなく要求したが


「父。私は楽しかった。先輩の試験も合格した」


それを聞いたガウェインはネイトを見る。見られたネイトは


「ライザの言っている事は事実だ。教えた事は野営の方法とその場での考え方。街道以外の森の歩き方。防犯の心得と魔物や動物などの回避方法などだ。

戦闘は未知数だが、それは依頼主である議員がよく知っているはずだ。

旅に関してはすぐに俺を超えるだろう。

報告は以上だ」


ネイトは結果を交えた報告をした。

報告を聞いたガウェインは深くため息を吐く。


「はぁ。仕方ないか…」


そう呟くと続けて


「ライザ。冒険者になる事を認める。

但し、パーティを組むなら私の許可を得る事。私以外の家族の説得はライザ個人で行う事。遠くに冒険に出掛ける場合も許可を取る事。仕事でなるのだから、これからは家を頼らない事。

Dランクまではこの街のギルドの依頼までだ。

いいか?」


ガウェインはライザの頑張りと想いを認めて条件を出した。


「わかった。ありがとう。先輩も」


ライザは笑顔で答えた。


「ネイト君。これで依頼は完了したからこちらの書類をギルドに持って行ってくれ。

最良の結果ではなかったが、父として感謝申し上げる」


ガウェインはそう言うと書類をネイトに渡した。


「確かに受け取った。では、これで」


去り際のネイトにライザが


「先輩。家族の説得が終わったら登録しに行くから着いてきて欲しい」


「あそこの宿に泊まっているからその時はそこに来るか、伝言してくれ」


ネイトは宿の場所を伝えてその場を後にした。





宿に戻ったネイトは二人が部屋にいる事を受付で確認すると向かった。


ガチャ


扉を開けたネイトに何者かが飛びかかった。


「ただいま。カーラ。心配させたか?」


しっかりとその何者かを確認したネイトはカーラを受け止めた。


「はい。お帰りをお待ちしてました」


たった3日なのにこの反応だと、あまり長期の依頼は受けられないなと思うネイトであった。


「おかえりなさい。依頼の内容も気になるけどまずはご飯にしないかしら?」


ケイトが提案した事に即座に同意して頷くネイトだった。

ケイトの存在を思い出したカーラはすぐに顔を赤く染めてネイトから離れる。


食堂にて

「そうだったのね。一人の夢を叶えさせるなんて素敵な依頼だったわね」


世界中の景色を夢見て旅をしている、ケイトならではの感想だった。


「しょ、少女と二人きり…」


カーラは別の事にショックを受けていた。


「ん?どうした?」


ネイトはカーラの異変に思わず尋ねる。


「いえ。なんでもありません」


ブスッとしたカーラが冷たい視線でそれに答える。


「貴方ばかなの?」


ネイトにしか聞こえない呟きをケイトは発した。

何の事かわからずに困ったネイトは、正直に聞く事はこの場合はダメだと自身の第六感が告げた事により、話題を二人の事へと変換した。


「二人は何をしていたんだ?やはりバザーか?」


尋ねられた二人はそれぞれ答えた。


「もちろんバザーを開いていたわ。治安は良いけどあまりにも忙しくて疲れたわ」


「そうです!ずっと、ひっきりなしに対応を迫られて、ロクに休憩も出来ませんでした…。旅をしているときの方が楽だったなんて…」


ケイトはよく売れた事で疲れてはいるが、表情は満足そうだ。

一方カーラは、どこか遠い目をして答えた。


「ほとんど売り切れたから、後はお礼の蜂蜜と嵩張らない物だけ残してあるわ」


「そうか。明日なんだが、予定が無ければ海に行ってみたい。どうだ?」


ネイトの提案に


「是非!じゃあ明日は朝から水着を買いに行かないといけないですね!」


カーラがバザーから解放された事で大はしゃぎだ。


「そうね!お客さんから色々情報は集めたからオススメの水着屋をまわりましょう」


ケイトも初めての体験ができる事でテンションは高い。


「俺は何もわからないから、二人に任せる」


ネイトは仲間が喜んでくれるなら長い買い物でも苦にはならない。多分…


3人は明日の予定を楽しみに話しながら夢の世界へと旅立った。





翌朝宿の前にて

「じゃあ、私が聞いた店に行きましょうか」


「任せる」


「お願いね」


ケイトの言葉に二人は返事をした。




店にて

「ねぇ!見てみて!これ凄く大胆じゃない!?」


カーラが示した水着を見て


「それは…私には攻めすぎね…」


ケイトは下着よりも破廉恥な格好をするのかとカルチャーショックを受けていた。


「あちらに落ち着いた感じの水着があるからあちらを見ましょう?」


そう言ってセパレートタイプやワンピースタイプの水着エリアにカーラを誘う。






その頃ネイトは


「こちらの水着がお客様の年代に人気ですね」


そう店員に言われた水着はハーフパンツのような物で、ネイトは


「では、こちらを買おう」


そう言うと緑色に染められたハーフパンツ形状の水着を買った。




女性サイドにて

「私はこちらにしますね」


そう言って店員に水着を渡した。


買い物が済んだケイトはまだ迷っているカーラに近寄り


「そんなに細かく選んでも、見るのはあのネイトよ?貴女は十分魅力的なんだからどれを着てもネイトは喜ぶわよ」


ケイトの言葉を聞いたカーラは


「これにするわ」


そう言って水着を店員に渡した。


「…なかなか凄いのを選んだわね。ネイトは死なないかしら…」


カーラの選んだ水着を見て、ネイトがリアルに悩殺されないか心配のあまり呟いてしまった。





無事、水着を買えた3人はそのまま海水浴に必要な備品も買って海に向かった。


街から海に行くに徒歩だ。海方面は防砂林を抜けたら砂浜、もしくは砂地だ。その為馬車や車輪が付いているものは通れない。その為、3人も例に漏れず徒歩で海水浴場へと向かった。





「綺麗ね…」


「どこまで続いているのかしら…」


「波が高い…」


3人は初めて見る大迫力な海を見て、それぞれ感想を呟いた。


「どこで着替えるんだ?」


ネイトの素朴な疑問に


「それも聞いているわ。あそこに見える小屋で着替える事が出来るの。男女も別になっているわ」


ケイトの答えに3人は海小屋へと向かう。





始めに着替え終わったネイトが二人を外で待っていると


「お待たせ」


ケイトが少し恥ずかしそうにしながら出てきた。花柄の上下が繋がっているタイプの赤い水着を着たケイトは高身長のそのモデル体型を惜しげもなく披露していた。

そのすぐ後ろから隠れるようにカーラが出てきて


「お待たせしました。…どうでしょうか?」


あざとくモジモジしながら姿を見せたカーラを見てネイトは


「す、凄く…似合っている…」


目がカーラに釘付けになりなんとか言葉を絞り出した。

カーラの着ている水着は黒色のビキニタイプの胸元と腰回りしか隠せていない、ネイトが見たこともない格好だった。

腰回りと胸元に申し訳程度のフリルが付いているが、逆にそれがネイトの感情を揺さぶった。

特に普通サイズのケイトと違いカーラの胸元は元々自己主張がかなり激しいサイズだ。

ネイトの煩悩は限界突破した。


何も喋れなくなったネイトに


「あ、ありがとうございます。少し大胆な物にしたのですが、ネイトさんに気に入って頂けたようで良かったです」


カーラは顔を赤くしてまたケイトの後ろへと隠れた。


「ネイト。ネ・イ・ト!埒が開かないから海へ行くわよ!しっかりなさい!」


ケイトから檄が飛んできてネイトは何とか現実に戻ってきて海へと向かう。


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