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8 金持ちネイト








あれから暫くの時が経った。



「お待たせしました。こちらになります」


笑顔の受付嬢から報酬を受け取る。


「確かに。また明日」


そう言ってネイトはギルドを足速に去る。


(あの受付嬢はなんか嫌だな…昨日もご飯に誘われたし目的がわからない…)


まだネイトの疑心暗鬼は晴れていない。


(それよりも!ついに!)


ウキウキで武器屋に行くネイト。

どうやらお金が貯まったようだ。


「こんにちわ!お金貯まりました!」


「坊主か。これだな」


そう言って差し出させたのはこの前見ていた剣だ。


「はい!これです!

お金はこれでいいですか?」


「ああ、受け取った。剣に異常があればいつでも持ってこい」


「はい!ありがとうございます!」


お金を払って新しい剣を手に入れたネイトは、ウキウキで店を出ようとすると、呼び止める声がかかる。


「以前の剣はどうする?」


「これですか?」


剣を渡すと


「ああ。っ!?これは坊主が手入れしたのか?」


剣を鞘から抜いて確認した店主が困惑していた。


「はい。剣は相棒なので手入れは怠っていない筈ですが、まずかったですか?」


焦って剣を落としそうになっている店主を見て

少し動揺したネイトだった。


「いや、完璧な手入れだ。これもその御仁の教えか?」


「はい!剣に関してはその人の教えです」


師匠の指導を褒められて笑みが溢れる。


「この剣は買い取ろうかと思ったが、坊主が使った方がいいな」


「?わかりました。ではまた!」


何故自分が使った方がいいのか分からなかったが、予備の武器もあった方が良いと思いネイトは了承した。


「面白いものがあれば取っておくから、剣に不具合が無くてもたまにはこい」


「はい!」


ぶっきらぼうだが優しいところもあるなと、ネイトは笑顔で手を振り店を後にする。





翌日森にて

「やはりこの剣は、長さも重心もあの剣に似てるな!」


剣を振り回しているネイトの姿があった。

片手剣だが両手持ちでも使える所も似ている。



「今日は依頼を受けずに来たから沢山狩るぞぉ」


テンションは絶好調、剣を持つとあの日々がネイトの心の中に蘇る。


「おっ!例の鹿の魔物だ!」


一気に近寄り剣を一閃。


スパンッ


空気を切り裂く音がして獲物の首が落ちる。

実際に斬っているのに剣身には血はついていない、技術と剣速によるものだ。


「まずまずかな?斬撃を飛ばしても良かったけど、リハビリにはやっぱり実際に切らないとね!」


この調子で次々と獲物を狩り、どうやって持って帰るのか途方に暮れることになる。








「ギルドで台車が借りれてよかったぁ」


危うく獲物を無駄にするところだったネイトは、台車を借りれて安堵した。




門前にて

「凄いな…こんな数を一人で狩ってる奴を見た事がないぞ…」


いつもの門番に絶句された。




ギルド納品受付にて

「裏に運んでくれ…」


ギルドでも絶句された。




ギルド受付カウンターにて

「凄いです!流石ネイトさんです!」


あの受付嬢には絶賛された…解せん…




受付嬢が精算を済ませて、トレーにお金を乗せてやってきた。


「お待たせしました!こちらになります!」


そこには今まで見たこともない大金が積まれていた。


「あ、ありがとう。また来るよ」


大金を懐に仕舞、ふわふわとした気持ちでギルドを後にするネイト。

スリに合わないようにギルドをでたら気を張り詰めた。








宿の自室にて

「宿のお金も数日分払ったし、これで暫くはお金に困らないから依頼の方に力を入れよう!

それでランクアップまで頑張るんだ!」



この決意は明日にも崩れる事になる。

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