66 新たなる相棒
ネイトが剣を貰うことになった後
「父上。少し宜しいでしょうか?」
ユリウスが領主に許可を貰うため発言した。
「なんだ?」
「剣聖に与えるような剣であれば新たに作るよりもまず、家にあるもの見て頂いてはどうでしょう?もちろん行政府内のものも含めてです」
ユリウスの提案に領主は
「そうだな。領内の鍛冶師も腕は悪くないが剣聖に見合う物を打てるかと言われるとなんとも言えんな。
では、早速見てもらうことにしよう」
領主がそう言うと入り口近くに置物のように立っていた使用人を呼び付けると
「宝物庫から全ての剣を持ってくるのだ」
「かしこまりました」
すぐに手配した。
「お二人にはこちらを送らせてくれ」
領主はそう言うと上着のポケットから布を取り出した。
「こちらだ」
3人の目の前の机の上に置いた。
「見てくれ」
3人が動かないのに焦れて声を掛けた。
「では、拝見させて頂きます」
ケイトがそう言うと布を開いた。
「綺麗ですね」
「素敵です」
ケイトとカーラは布の中の宝石付きのネックレスを見て感想を述べた。
「では」
領主が言うが
「頂けません。ネイトならいざ知れず、私共は何もしておりません。辞退させて頂けないでしょうか?」
「そう言うと思ったが、怪我をした騎士達を運んでくれたではないか。
もちろんそれだけではない。ネイト殿の仲間だと言うなら、戦う役目がネイト殿でその他の役目は君たちではないのか?
であれば、二人にも相応のものを受け取る権利がある」
「ですが…このような高価なものを…」
ケイトが尚も固辞しようとするが
「権利とは義務に近いものでもある。私や民の気持ちも汲んではくれぬか?」
そう言われては二人も
「「謹んで頂戴致します」」
頭を下げて貰った。
「ネイト殿。つけてやってはくれないか?」
領主の言葉に初めてカーラは喜んだ。
「じゃあ、カーラから」
そう言うと布からカーラの髪の色と同じ青色の宝石がついたネックレスを取り、カーラの首に掛けた。
「ケイトも」
続いてケイトには赤色の宝石がついたネックレスを首に掛けた。
「うむ。2人とも美人だからよく似合っている。
そうは思わんか?」
そう言って隣にいるユリウスに同意を求めた。
「ええ。ケイト嬢もカーラ嬢もよくお似合いです」
二人は漸く決まった事もあり終始笑顔であった。
コンコン
「入れ」
ガチャ
「申し上げます。剣の数が多かった為、隣の部屋に運び込みました。宜しかったでしょうか?」
入ってきた使用人が告げる。
「かまわん。ご苦労であった」
頭を下げて使用人が退室した。
「では、ネイト殿の剣を見にいくとしよう」
そう言うと全員立ち上がった。
実はネイトは早く剣が見たくてソワソワしていたが、無事に誰にも気付かれることはなかった。
「これは凄い数だ」
そう呟いたのはもちろんネイトだ。
ネイト達の目の前には20畳程の部屋の中に綺麗に並べられた机の上に、剣がこれまた綺麗に並べられていた。
「では、我々は隣の部屋にいるので決まったらそこの者に伝えてくれ」
領主は扉の横にいた先程の使用人を目で示すと息子を伴い退室した。
「ネイトさん」
カーラが話しかけた。
「どうした?」
「馬鹿ね。ネックレスが似合ってるかどうか気になっているのよ」
ケイトが小声で教えてくれた。
「髪の色と同じものにしたが、似合っている」
「はい!ありがとうございます!ブレスレットと共に私の宝物にしますね!」
カーラは喜びを爆発させた。
「ケイトも似合ってるぞ」
「いいわよ。そんなとってつけたような言い方しなくても」
ネイトは本心で言ったのだが伝わらなかった。
「さっ。ネイトさん選んで下さい」
カーラに促されてネイトは見分を始める。
ネイトは暫く無言で剣を持ったり時には軽く振ったりしながら見定めていく。
一通り見定めたら一振りの剣を二人の元に持ってきた。
「これにしようと思うがどう思う?」
「シンプルでとても綺麗な剣ですね。ネイトさんに良くお似合いだと思いますよ」
「私に言っても剣の事は門外漢だからわからないわ。カーラの言う通り綺麗ではあるわね」
二人の言葉に頷き、剣を決めた。
「こちらを貰いたい」
使用人に声を掛けて剣を渡す。
「では、あちらの部屋へ戻りましょう」
使用人について行き元の部屋へと向かう。
「これを貰いたい」
ネイトがそう言って机の上に置かれた剣を指さす。
「ほう。なぜこちらを?」
領主が問う。
「剣の重心と長さが今使っているものと近いのが一つ。後は見た目だな」
ネイトはそう言ったが実はこの剣が一番、魔力と氣の通りが良かったから選んだのだ。
氣と魔力の説明が面倒だった為、説明を省いたのだ。
「そうか。この剣の由来は先祖が遠い異国の行商から訳あって譲って貰ったと聞いている。
これがネイト殿の今後に役に立つ事を願っている」
「有り難く頂戴する」
ネイトは頭を下げて剣を掲げた。
鞘は光沢のある黒で、刀身は白に近い銀色で波紋は若干ではあるが赤みを帯びている。
「時にネイト殿達はこれからどうするのだ?」
その問いに答えたのはケイトだ。
「私共は行商もしております。ですので組合で許可をいただき、バザーを何処かで開かせて頂ければと考えています」
「そうであったか。こちらで全て買い取っても良いがそれだとまた気兼ねさせてしまうな。
では、許可と場所はこちらで用意させてくれ。
わかったか?」
領主は最後に入り口にいる使用人に問い
「かしこまりました」
と言って使用人は退室した。
「何から何までありがとうございます」
「ありがとうございます」
二人が頭を下げて感謝を述べた。
それからすぐに手配は済み、場所がわからない事もあり使用人に案内してもらい、バザーをする事になった。
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