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6 母の味







「う、美味い…」


ネイトは泣いていた。


「こんなに美味いものがあったんだな…」


「だ、大丈夫かい?何か変なものでも入っていたかい?」


苦手な人が話しかけて来たが、そんな事より目の前のご飯に夢中で気にならない。


「このご飯があまりにも美味しくて泣いちゃった」


ネイトは精神が肉体年齢に引っ張られて幼い言動や行動になっている。

もちろんジョンが15歳の時はこんなに幼くない。ネイトは若返りの影響を含めた多様な変化に精神が不安定になっているのだ。


「そうかい!そこまで喜んでくれたなら、ネイト君ならおかわり自由にするよ!

沢山お食べ!」


「っ!!ありがとう!!女将さん!!」


ネイトは心底喜んだ。

あの世界では皆優しかったがここで優しさを感じたのは初めてだった。





結局3回もおかわりして、生まれて初めてお腹いっぱいになったネイトは眠りについた。







「ふぁあ。朝だな。昨日は色々あり過ぎていつの間にか寝てしまっていたな」


ベッドから起き上がり桶の水で顔を洗った。


バシャ


「昨日の夕食は美味かったから朝食も楽しみだな」





「うまーい!このベーコンと卵のサンドイッチ?だっけ?は、めちゃくちゃ美味いな!」


「はははっ!朝から良い食べっぷりだね!まだあるからいるかい?」


「うん!おかわりください!」


ネイトは朝から食事を満喫する。


「冒険者なのかい?気をつけて行ってくるんだよ!

部屋は掃除しとくからね!」


結局連泊の料金を払い宿を出る。


(剣も欲しいけどとりあえず服だな。

その為にも今日は早く帰ってきて買い物をしよう)


本日の予定を立ててギルドに向かう。


「おはようございます。ネイトさん!」


「ああ、おはよう。今日はこれを受けるよ」


「はい。少しお待ちください」


ネイトは昨日と同じような依頼を受ける。

魔物だけを狩ればお金はすぐに貯まるが、元々は目指せなかった上位の冒険者を目指すことにしたので依頼もきちんとこなす予定だ。


「依頼を受理しました。お気をつけて行ってきてください」


相変わらず無駄に愛想を振り撒く受付嬢に違和感を抱いてネイトはギルドを出る。






(町を出たら依頼を済ませる場所まで走るか。

そうすれば早く帰って来れるし)


そう考えてネイトは町の入り口を目指す。




「今日も魔物を狩るのか?」


町を出る時に門番に話しかけられた。


「いや、わからないけどいたら狩るかな?」


「ははっ!凄い自信だな!

でも、危なかったら逃げろよ!命は一つしかないからな!」


「うん!ありがとう!」


心配してくれる人がいる事を嬉しくも思い、何か違和感も感じる。


(よし!そろそろ走るか!)


ネイトは森へと駆け出した。走るスピードは若返った事により、楽園にいた時よりも速くなっている。ただしスタミナは消耗する。

しかしネイトは丸一日くらいなら走り続けられるスタミナがあるので、それには気付かないでいた。





(おっ!やっぱりこの季節はこの辺に生えているな!)


目当ての依頼品を見つけて籠一杯に詰める。ここでもジョンの時の努力が結果を出した。



(今日もあの鹿の魔物を狩るか)


ネイトは気配を察知する為に意識を集中させる。


(流石に運良くこの辺にはいないか)


獲物を探す為に森を歩くと


(おっ!反応あり!あっちだ!)


30分程で見つけた。


『エアカッター』


ザシュッ


『ピィー』


バタンッ


首の血管を一撃で切った。


(これの方が血抜きも魔法で釣り上げるだけで楽だし、

皮も綺麗だから高く売れないかな?)


まさしくその通りだった。




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