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54 決勝戦の行方







大会最終日の朝

宿にて

「では、行ってくる」


「はい!必ず1番の声援を届けますね!」


カーラの愛が日に日に大きくなる。

この二人が結ばれたらネイトは重さに耐えられるのか。そしてケイトは口から砂糖を吐くのでは…

そんな事より試合である。


「ネイト。仲間を信じて待っているわ」


ケイトは信頼を示した。


「ああ」


いつも通り短く応えたネイトにケイトは視線を送る。









『ここまで誰も寄せ付けず圧倒的な速さで勝利を収めて来たのは・・・金髪の剣豪ネイト・スクァード!』


大歓声が準決勝のアナウンスを掻き消す。


「お前は冒険者らしいな」


対戦相手の男が話しかけて来た。


「そうだ」


「初めはパラディールも落ちたものだと思ったが…どうやら本物らしい。

俺はこれまでの奴らとは一味違うぞ!」


「わかった。気を引き締め直す」


ネイトは端的に応えた。










もちろん今までの相手と変わらなかった。いや、実際には強かったようだが、ギアを上げたネイトの剣速には着いては来れなかったようだ。


「凄かったわね」「ええ」


そう感想を漏らしたカーラとケイトは先程の試合の事ではなく、その前に行われたレイナード戦の事だ。

レイナードの鉄壁の守備を崩せたものは未だ居ない。

もちろんネイトの速さについて来られたものも。

この二人の絶対を崩すのはもはや当人しかいない。ただ観衆は守備の上手いレイナードを推し、王侯貴族も近衛騎士のレイナードを推していた。

アウェイのネイトは見事ジャイアントキリングを達成出来るのか。










『これより、王都剣術大会決勝戦を行います。まずはこの方!

王国の剣士の頂点にして前回大会の優勝者!誰が呼んだか【白銀の貴公子】レイナード・フォン・オクタビア騎士爵!

続きまして、冒険者が決勝の舞台まで登り詰めたのは、もちろん今回が初めて!【金髪の剣豪】ネイト・スクァード!』


二人の紹介が終わり両者の視線が交わる。


「漸く戦えるな」


「そうだな」


ネイトは変わらず淡々としている。


「この戦いの結果がどうであれ、ケイト嬢には謝りたい。そして二人にも。

俺は実母を冒険者が理由で亡くしている。だから突っかかってしまった。謝罪する」


「そんな理由があったのか。こちらとしては謝罪を受け入れない理由はないな。ケイトの事も本人同士の事だ。俺の許可は必要ない」


『あのー試合を始めても?』


審判をスルーして二人の会話は続く。


「元々剣に生きてきた。自分の実力を試したくて実家を飛び出したのも事実だ。

ケイト嬢に出会って剣に対する想いを少し蔑ろにしてきたが…君の戦いを見て蘇ったよ」


「それはどうも…」


多分褒められていると思ったネイトはお礼を言う。


「私は今まで手に入れたいと思ったものはこの剣で手に入れてきた。それはこれからも変わらない」


少しためを作り


「行くぞ!」


レイナードが今大会初めて自分から前に出てきた。


『えー!?もう!始めっ!』


審判が勝手に始めた二人に投げやりに開始の合図を放った。


キンッ


甲高い音とともにレイナードの剣は逸らされる。


「これならどうだ?」


レイナードは捨て身で突っ込んできた。


ネイトは焦らずそれに合わせた。


ギャリン


重さを伴った金属が擦れる音が響く。


もう一度レイナードが突っ込んできた。


ネイトは防がれたものと同じ事をするのかと訝しむが同様に対処しすれ違いざまに胴を横薙ぎにした。


その時レイナードの鎧が光った。


パキンッ


ネイトの剣が半分に折れた。


(しまった。今のは…)


ネイトはレイナードがした事に心当たりを見つけたがもう遅い。


「貰ったぁああ!!」


そこに間髪入れず間合いを詰めて攻撃しようとしているレイナードがいた。


ネイトはレイナードの猛攻を紙一重で交わして距離を取る。


「ふぅ。どうやらお仕舞いのようだな」


レイナードがそう告げた瞬間。


ヒュン


ネイトが折れた剣を振った。

あまりの速さに視認出来たものはいない。


パキンッ


「ぐあっ」


レイナードの鎧に亀裂が走り、レイナードは倒れた。


『それまで!』


終了の合図は黄色い悲鳴と共に告げられた。

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