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51 雲隠れの術







「どうして魔法なんだい?」


男性が優しく少女に問いかける。


「だってパパ、剣は泥臭くて嫌だもの」


「はははっ!パパも泥臭いかい?」


男性は怒らずに笑って聞いた。


「パパだけは綺麗よ!でも、お兄様もお姉様もいつも泥だらけでいやよ」


「そうか。じゃあ魔法の先生をつけてあげるね」


そう言った男性は少し寂しそうだった。






冒険者ギルドにて

「ねぇっ!さっきの男はどこのどいつよ!」


凄い剣幕で聞くアンジェラに受付嬢は動じずに


「個人情報は伝えられません」


キッパリというのであった。


「どこに逃げたのよ!必ず探し出してあの魔法の使い方を聞いてやるんだから!」


アンジェラは激昂してギルド内で叫んだ。









その頃ネイトは

「凄い量の荷物だな…」


ケイト達が馬車に商材を積んで帰ってきた。


「馬車が2頭引きで助かったわ」


ケイトが安堵し


「買いすぎなのよ…」


カーラが引いていた。






宿の部屋にて

「そんな事があったのね」


「その人を教えてください!私のネイトさんに失礼を働いた事を後悔させてやります!」


カーラがどさくさに紛れるが


「まだ貴女のじゃないでしょ?」


ケイトがツッコミを入れる。


「でも、もし貴族なら困ったわね」


真面目にケイトが考えて


「そうね。貴族なら権力を振りかざすかもしれないわね」


カーラが補足する。


「どうしたらいいと思う?」


二人の考えを聞きたいネイトに


「ネイトは教える気はないのよね?」


「ないな。魔法は危険な物だと師匠に口を酸っぱく言われたからな。剣術と違ってかなり強固な理由がない限り教える事はないな」


ネイトが答える。


「ネイトの魔法の師匠さんも気になるけど、今はそれどころじゃないわね」


この二人に嘘はつきたくないネイトは、聞かれないことに少し安堵した。


「隠れるしかないわね。少なくとも剣術大会まではね」


ケイトの提案にカーラは


「ネイトさん。私もそう思います。まとまったお金もある事ですし今は剣術大会まで出歩かず、

剣術大会で優勝したらその時の報酬で、『ネイトさんに対して貴族の関わりなどを禁止してもらう』事を望めば問題なくなるはずです」


カーラの情報を聞いて


「そんな報酬があるのか?」


「はい。王都剣術大会では優勝者の望みを叶える褒賞が与えられます。

もちろん法外な金銭や現実離れした事を望めば笑い者にしかなりませんが、さっき言った事は褒賞の範囲内だと思います」


それを聞いたケイトは


「へー!それは初耳ね」


「王都剣術大会では毎年の優勝者が何を望むのかも見どころの一つよ!

まぁ、これもパラディールでの情報集めで知った事なんだけどね」


カーラは照れながら答える。


「そうか。二人ともありがとう。

後少しで大会だからそれまでは宿で過ごす事にする」


ネイトの言葉に


「はい!私も一緒にいても良いですか?」


カーラが頬を染めて問いかける。


「もちろん構わないがケイトとも遊んであげてくれ」


ネイトの冗談混じりの返答に


「なんで私が子守されているみたいに言ってるのよ!

でもカーラ、お昼からは買い物しましょ!

もちろん仕事じゃなく、服とかお洒落のね!」


ネイトと居たいカーラだが


「そうね!ネイトさんにも見てもらいたいから応援に行く時用に可愛い服を買いましょう!」


「はいはい。ご馳走ご馳走」


ケイトがぶっきらぼうに答えた。


「ついでに俺の服も買ってきてくれないか?

度重なる洗濯で破けそうだし」


ネイトの言葉に


「ネイトさんはなんでも似合いそうですが、その中でも似合う服を買ってきますね!」


カーラがとびきりの笑顔でネイトに応えた。


「助かる」


短い言葉だがネイトの表情は緩んでいる。






数日後

「やっと明日で宿から解放されるな」


「そうね。ずっと宿にいたけど剣術大会は大丈夫なの?」


ケイトが不安を口にする。


「任せろ。俺の剣の師匠はこの程度で鈍るほど優しい指導ではなかったからな」


「ありがとう。じゃあ私たちは明日からの大会は素直に楽しむわね!」


「ネイトさん明日から応援頑張りますね!」


カーラの気迫に


「ほどほどにな…」


ネイトは押されている。

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