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44 王都でお泊まり





子供達を送り届けた後、今度は自分達の予定を確認する。


「とりあえず宿に行くのか?」


「ええ。でもその前に彼女達に渡さなきゃだめね」


ネイトの疑問に答えたケイトは


「貴女達いいかしら?」


呼ばれた女性達が


「はい。ケイトさんなんでしょう?」


「私達は宿に泊まるわ。貴女達がどうするかはこれからは貴女達自身で決めてね。

それで貴女達に渡すのが」


ケイトは袋からお金を取り出した。


「これが貴女達の取り分よ」


中身を見た女性達は


「多すぎます!」


驚く女性達に


「そうかしら?これから女二人でやって行くには少ないくらいだと思うのだけど?

確かに生活だけなら一年は暮らせるわ。でも貴女達はそれ以上に生きていかなくてはいけないのよ?

よく考えて使ってね」


それを聞いた二人は、少し考えた後


「「はい!ありがとうございます!」」


深々と頭を下げた。


「それでね。言いづらいのだけど…私達の宿は高いのよ。だから二人は安全性があって安い宿を探す事を勧めるわ」


「何から何までありがとうございます。これからは自分達でやって行きます!

この御恩は…」


ネイトが話しを止める。


「それは気にしなくて良い。偶々気が向いたから助けただけだ。

二人はこの事を気にせず生きてくれ」


「そういうわけには…」


そのセリフはもう一人の女性によって遮られた。


「わかりました。ここまでありがとうございました。

ほらっ行くわよ」


ネイトの気持ちを汲んだ女性が先導して、二人は頭を下げて馬車から離れていった。


「さっ!私たちは私達の宿を探さなきゃね」


「そうですね!ネイトさんはどんな宿に泊まりたいですか?」


急に話しを振られたネイトは


「んー。飯が美味いとこがいいな」


欲望に忠実なネイトの返答に


「わかりました!さっ!探すわよ!」


「ふふっわかったわ」


知らない女性達がいなくなって、またネイトにモーションを掛けていくカーラが可愛くてついケイトは笑ってしまった。






三人は一階は石造で二階と三階は木造で壁が綺麗な漆喰で塗られている高級感のある宿に来ていた。


「ここにしようかしら」


「良さそうなところね」


ケイトの言葉にカーラが答える。


「とりあえず聞いてみるからネイトは待っててね」


「わかった」


二人は宿に入る。



暫くして出てきた二人にネイトは


「どうだった?」


「空いていたわ」


「はい!食堂も綺麗で期待できそうでしたよ!」


「そうか。ありがとう」


3人は宿の厩舎に馬と馬車を預けて宿へと入る。


「いらっしゃいませ。一先ず10日で朝夕の食事付きでよろしかったでしょうか?」


ケイトが話していたのか宿の女性が話しかけてきた


「ええ。20000ガースね。これでいいかしら」


「はい。ありがとうございます。お部屋に案内いたします」


1日2000ガースとは中々の高級宿だと、ネイトが思っている間にみんなは二階へと差し掛かっていたので急いで付いて行くネイトだった。



「ごゆっくりおくつろぎください」


頭を下げた宿の人は退出する。


「良い部屋じゃない!広いし綺麗よ」


「そうね。これでご飯が美味しかったらネイトさんも満足してくれるわ」


「また一部屋か?」


そこに疑問を投じたのはネイトだった。


「仕方ないわよ。王都は地方と違って物価が高いのよ。それに安宿にはもう泊まれないわ…」


理由を答えたケイトにカーラが


「そう言えばパラディールでも良い宿に泊まっていたわね」


「そうなのよ。一度高級宿を経験すると抜け出せなくなるわ…」


「まぁ、金が足りるなら構わない」


ネイトはこの旅で女性には極力逆らわないという事を学んでいる。


「ベッドは二つだがいいんだな?」


確認の為、ネイトが問うと


「ええ。私が一つとネイトとカーラで一つね」


「ネイトさんと同衾…」


ケイトは揶揄いのセリフを吐き、カーラは涎が出ている。


「いや、そっちが二人で俺が一人だ。それは譲れん」


頑ななネイトにこれ以上はまずいと知っているケイトは


「じょ、冗談よ。それよりこれからどうするの?」


無理矢理話題を変えた。


「今日はもう夕方だからここでゆっくりするつもりだ。

明日は剣術大会の事を調べて、時間があるならそれまで依頼でも受けるつもりだ」


「そうね。私達も動くのは明日からにしましょう?」


「いいわよ」





その夜のご飯はとても美味しくネイトの美味い!との声が食堂に響いた。

ちなみにカーラはネイトがすぐ近くで寝ている為中々寝付けなかった。




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