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43 in王都、さらば子供達






助けた馬車の中から子供達が出てきて、情報を集める事にした。

但し、ケイトとカーラではない。ネイトの意向で二人には任せられないと判断したからだ。もちろん二人にはその事は伝えていない。


「お嬢ちゃん達はこれからどこに向かって行くのかお父さんかお母さんに聞いてた?」


「わたしは…街に住んでてお爺さんとお婆さんが王都に住んでるから家族で…」


「じゃあお爺さんとお婆さんのお家に行こうね。

お家の場所はわかるかな?」


馬車に乗っていた二人の女性がうまく子供達の情報を引き出してくれている。

それを見ていたネイトは


「俺たちには無理だな」


「ちょっと!私を一緒にしないでよ」


「ネイトさん…まさか私は含まれてませんよね?」


ネイトはこの二人は自覚ないから説明しても無駄だなと心の中で確認した。






暫くすると

「すみません」


後ろの女性の内一人が話しかけてきた。


「どうした?」


「あの子達なんですが祖父の家が王都にあるようなのでそこに連れていきたいのですが…」


ネイトを、いや男を嫌悪している女性が言い淀むが


「わかった。明日には王都に着くらしいからそうしよう」


意を汲んでネイトが答えた。


「ありがとうございます」


「こっちこそ子守を任せてしまった。ありがとう」


女性はネイトを恐れていたが、この会話でネイトの優しさに気づいた。







暫く進むと馬車は停まった。


「今日はここで野営するから食後は子供達にはトイレ以外で馬車から出ないように教えておいてくれ」


ネイトは先程会話していた女性に伝えた。


「わかりました。よろしくお願いします」


ネイト達は順調に進んでここは王都に程近い場所だ。

そこで野営して明日の昼までには王都に着く予定だ。

子供達は野営をした事がないらしくケイトが色々としているのを興味深そうに見ていた。


子供が寝静まった後


「そうか。あの死体は両親だったか」


「子供達だけでも守れたんですもの、ご両親は立派だわ」


「そうですね。私達はあの子達に良い未来が訪れる事を願うしか出来ませんがご立派な両親でしたね」


ネイトは両親は搾取してくるものだと思っていたがやはり自分は変わった環境で育ったんだと思うのである。









翌日昼頃

「見えたわ。あれが王都ね」


ケイトの視線の先にはネイトが見たこともないくらい巨大な城壁に囲まれた都があった。


「あれが…」


「私は二度目ですがそれでも圧倒されますね」


大人5人と子供二人を乗せた馬車は王都前の入場待ちの列に並ぶ。









「次!こちらへ!」


門兵が指示を出してきた。


「身分証を見せてくれ」


その言葉に3人は身分証を出す。


「他の四人は?」


その言葉に経緯を説明するケイト。

「事情はわかった。一旦そちらが身元引き受け人ということでいいか?」


「はい」


「では、子供達の家族には後でこちらに来るように伝えてくれ。

女性二人は身の振り方が決まったらそちらもその時来てくれ」


「わかったわ」


馬車は王都を行く。






「どの辺りか名前とかはわかったかしら?」


ケイトが女性に聞くと


「はい。教会のすぐ近くのようです」


「わかったわ。とりあえず教会を目指すわね」


通行人達に声をかけ、道を聞いて目指していく。







教会にて

「では、私はお姉ちゃんを連れて教会の人に伺って来ます」


「頼んだ」


女性の言葉にネイトが答える。



暫くすると

「わかりました。この道をまっすぐ…」


女性の説明に頷いたケイトは馬車を走らせる。


「ここよ。どう覚えているかしら?」


「うん…お爺さんのお家です」


「とりあえずみんなで行くか」


「そうですね」


どうやら裕福みたいで家は馬車を停めるには十分な庭があった。


「こんにちわ」


ケイトが声をかけると


「どちら様かな?」


50代くらいの見た目の男性が出てきた。


「実は…」


ケイトが経緯を説明している。


暫くすると


「あら?お客様ですか?」


こちらも50代くらいの女性が出てきた。


「ああ…」


「あなた?どうされましたか?」


夫の異変に気付き理由を尋ねる妻。


「ま、まさか…そんな…」


絶望に打ちひしがれる二人に


「お婆さん?お爺さん?」


少女が声をかけた。


四人は声を大にして泣いた。


お礼の話しなどがしつこく出たが、四人が泣き止んだ後、王都入り口の門での事も説明して5人はその場を後にした。




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