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41 地獄の日々に終止符を






旅を続けていた三人は、山の中で馬車を止めていた。


「どう見ても盗賊だよな」


「そうね。山だから山賊かしら?」


2人は冷静に分析?をして、カーラは


「ふ、二人とも早く逃げましょう!!」


慌てた。

三人は王都まで後2日くらいの距離まで来ていて、今は馬車の前に6人の盗賊がいた。


「後ろにも5人いるから逃げ場はない」


「そうなの?馬車に傷をつけられないかしら」


二人は現状の把握と懸念を示して、カーラは


「う、うしろも!?ど、どうしましょう!?」


2対1の構図で温度差がひどい。


「大人しくするなら命まではとらねーぞ!」


「女の服は取るけどな!」


「「「「ガッハッハッハ!」」」」


くだらない事をいって笑う盗賊達。


「どうするの?」


「この場合どうしたらダメなんだ?」


ケイトの問いにネイトが聞いたのは法的な事だ。


「どう転んでもこちらが罪に問われる事にはならないわ。感謝は確実にされるだろうけど」


それを聞いたネイトは


「わかった」


「あっ!ネイトさん!?」


ネイトが馬車から飛び降りて前方の6人に歩いて向かう。カーラは急な出来事にまだ着いていけない。


「死にたくない奴は武器を捨てて伏せろ」


「は?」


「「「ブァッハッハッハ!!」」」


「聞いたか?!死にたくない奴は…」


ネイトの物言いに笑っていた盗賊の一人が言葉をなくす。

いや命を。

首が落ちた男を見て他の盗賊達が


「な、なにをしやがった!?」


「もう一度いう。命が『やっちまえ!』わかった」


ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン


ネイトはその場から斬撃を5つ放った。


賊達の命を奪ったその後すぐに、馬車の下からケイトに判断を仰ぐ。


「後ろもか?」


「一人は殺さないで捕まえられる?」


「わかった」


そう言うとネイトは馬車の後ろに回っていった。


「ね、ねぇ。ネイトさん強すぎない?」


「今更?道中に魔物も狩ってたし剣術大会も見てたでしょ?」


「見てたけど…あんなに沢山の人達に囲まれても普段と何も変わらないなんて…」


それを聞いたケイトは


「怖くなったの?ネイトのことが」


「まさか!それはないわ!少し気になる事があっただけよ」


カーラは即答した。


「そう。…戻って来たわ」


ネイトが馬車の下に来た。


「それでこいつをどうする?」


捕まった男を見たケイトは


「尋問したいから私も降りるわ。カーラは手綱をよろしくね」


ケイトが馬車を降りる。


そして、尋問が始まる。


「まっ、待ってくれ!言うこと聞くから殺さないでくれぇ!」


「何言ってるのよ?なんであなたの言う事を聞かなきゃいけないの?

それより質問よ。5つ数える前に答えないと横の彼があなたの首を刎ねるわ。いい?」


「は、はい!」


「まずはあなたの仲間はこれで全部?」


543


ケイトが指を折り数えると盗賊は


「まだいますっ!」


「次よ。どこに?」


「アジトです」


「何人?」


「えーと、待ってくれ数えさせてください!

6、いや7人だ!」


「仲間以外は?」


ネイトは何の話だ?と首を傾げる。


「…攫った女が3人」


「わかったわ。少し座って待ちなさい」


ネイトに近寄ると


「そう言うことよ。どうする?」


「7人斬ることは出来るが人質の無事まで補償出来ない」


「そうよね」


少し考えていたケイトだったがそこに


「ネイトさん!ネイトさんだけで背負う事はないんです!

もし女性達が死んでしまったら私が謝ります!

だからネイトさんはしたいようにして下さい!

助けるのも助けないのもネイトさんの自由です!

それを誰かが批判してもわたしが肯定します!

だから一人で背負わないで!」


馬車を降りてカーラが伝える。


「私はどんな事があっても貴方の味方です!」


ネイトを真っ直ぐ見つめて伝えた。


「カーラ、ありがとう。わかったよ」


「そうね。ネイト、私達は一人じゃないわ」


「わかった。女性たちを救いに行く」


盗賊をみてケイトは


「聞いていたわね?案内しなさい」










馬車の馬達を木に繋いだ3人と盗賊は山の中に入る。


「どれくらいで着くのかしら?」


「すぐです!もうすぐ着きます!」


盗賊は5秒以内で律儀に答える。






山の中腹に崖がありそこにある洞窟が盗賊達の寝ぐらみたいだ。


「あれね」


ケイトの問いに盗賊は


「そうです」


「貴方はここに縛っていくわ。死ぬよりいいでしょ?」


盗賊は進んで縛られた。







「私達は足手纏いだからここにいるわ。

盗賊を全て倒したら教えてね」


「ごめんなさいネイトさん…嫌な役目を押しつけてしまって…」


「カーラはあんな事があったんだ。女性達を救いたくて当然だ」


ネイトはカーラが暴行事件のせいで苦しんでいると思った。

もちろんカーラは苦しんでいたが、今はネイトの心配しかしていない。

ネイトに言われるまで忘れていたくらいだ。





ネイトが一人洞窟へ向かった後。


「カーラ。あなた本気で好きなのね」


「そうよ。助けてもらった時からネイトさんに全てを捧げているわ!」


「ふふっ」


「なによ?」


「羨ましいだけよ」


そんな会話が終わる頃に


「終わった」


ネイトが帰ってきた。


「じゃあ全員でいきましょうか」


ケイトの言葉に


「あっしもですか!?」


「貴方が案内しないと洞窟内で困るじゃない」


「はい…」


四人は洞窟へと入る。





洞窟内にて

「これは酷いわね…」


「女性達は任せる。俺は物資をこいつと外に運んでおく」


「お願いします」


「なんであっしが…」


盗賊に人権はない。





洞窟前

「私達はこれから王都に向かうわ。そっち方面に家がある人は道中に下ろすわ。

そうじゃない人は一緒に王都へ来てちょうだい。

騎士団か衛兵に預けるわね」


「色々な事があったと思うし色々なモノを失っているのだと思います。けど着いてきてください」


あっさりしているケイトと寄り添おうと頑張るカーラ。

ネイトは


「犯人は皆んな殺した。アンタ達の地獄は終わった」


「…」


残った盗賊が震えるが…


「そうね。地獄は終わりね。これからの人生が幸せになれるかは本人次第ね」


「そうね」


「それと、盗賊達が持っていた硬貨は貴方達に均等に分けるわ。別の場所でやり直したいならそうすればいいわ」


ようやく一人が声を出した。


「はい…」


後の二人は泣いている。


その後持てるものは持って馬車に戻ったみんなはその日そこで野営した。




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