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29 領都剣術大会







「よし!今日はこれまで!」


「ありがとうございました!」


ネイトの掛け声に礼をするジャックがいた。


「これからは週に一度実戦形式で試合をするからな」


「おお!ついに師匠と剣を合わせられるんだな!」


今更だが、この世界は1週間は7日、4週間でひと月、12ヶ月で一年、空白の2週間という年越し前後の2週間で一年の計350日で一年だ。








それから数日後


「師匠!俺は来週の領都剣術大会にでるからな!」


「そんなのがあるんだな」


領都剣術大会という聞き慣れない言葉に興味を示してネイトは答えた。


「元々は王都剣術大会ってのがあるんだけどそれに倣って領都でも開催しだしたんだ。

それに優勝すると王都剣術大会のシード権が貰えていきなり本戦から出場できるんだ!

もちろん滞在費も旅費も参加費も領都から出る!」


「それはいいな!」


貧乏性のネイトはお金が出ることに敏感に反応した。


「あっ!師匠は出るなよ!師匠が出たらせっかく初めて親父が出場を許可したのに優勝出来なくて王都にも行けないからな!」


「そうか…」


貧乏症のネイトは激しく落ち込む。


「そんな顔すんなって!親父に頼んで師匠を王都剣術大会に推薦してもらうから安心しろって!」


いや、そこじゃない!とは言えず苦笑いで


「あ、ありがとう」


と、答えるしかないネイトだった。


(王都に行く事をケイトに伝えないとな…了承してくれるかな?)


すでにネイトは参加するつもりでいる。

この辺は剣術を嗜んでいるものらしく自分の実力が気になる様だ。


「師匠なら王都剣術大会でも優勝間違いないだろうな!

俺は準優勝を目指すぜ!」


弟子の志が高いのか低いのかイマイチわからないネイトだった。





宿にて

「あら?出ればいいじゃない」


簡単に許可がおりた事に安堵するネイト。


「ありがとう。王都ってどんな所だろうな」


単純な疑問が口をついて出た。


「私も聞いた事しかないけど20万人も人口がいるそうよ」


「数が凄すぎてイマイチピンとこないな」


「この街の人口が約2万人ね」


「それは桁違いだな…」


そんなところに行って大丈夫だろうかと不安になるネイトに


「貴方は変な所でビビリよね?」


「怖がってなどいないっ!」


「強がってはいるようね」


声がデカくなったネイトを揶揄うケイトだった。






さらに数日後試合当日

「今日の調子はどうだ?」


「ばっちりだぜ!」


ネイトの問いに元気よく答えるジャック。


「二日間あるらしいな」


「そうなんだ!結構な参加者がいて試合数が多いから初日は会場をわけて行われるんだ!」


「ジャックはこの会場か」


そう言って見渡したのは領都外に設営された場所であった。


「明日は領都内の騎士団訓練施設だからいいけど今日は師匠には悪いけど立見だな…」


言葉は飾らないが、師匠に気を使う弟子に


「それは良いが油断するなよ」


「それは無いから安心してくれ!」


何かフラグがたちそうだが…









「よっしゃー!勝ったぜ!」


今日の4試合をあっさり全勝したジャックが笑顔で戻ってくる。


「とりあえずおめでとう。だが最後に脇が空いていたぞ!最後まで気を抜くな!実戦だと死んだふりくらいの事は魔物でもしてくるぞ!」


「!!わかりました!ありがとうございます!」


急に熱血ドラマが始まる二人に


「いいじゃない。勝ったのだから素直に褒めれば」


ケイトが水を差す。


「まぁ、そうだな。頑張ったな!明日優勝する事を期待している」


「ああ!師匠の名に恥じない様に優勝するぜ!」


ジャックの言葉にネイトが引き気味に


「俺の名にそんなものは無いが…」


ネイトの呟きを掻き消すようにケイトが


「おめでとう!明日も期待しているわ」


「ありがとうケイトさん!美人に言われたなら優勝しないとな!」


「ネイトに足りないのはこれね…」


人には足りないものがそれぞれある。

それでいいのだ。


「カーラさんも明日は休みだから来るらしいわよ。私も楽しみだわ」


ケイトはこういうそこでしかない事が好きで旅をしている。


「俺も参考になる事があって楽しいな」


「師匠にも!?」


「ネイトも出ればカーラさんも喜ぶのにね」


「なんでだ?」


「…」





3人の考えは違うが明日への期待する気持ちは一緒だ。

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