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26 ジャックは出来た弟子








領主邸中庭にて

「よし!素振りはここまでで良いだろう!」


「はい!」


今日も新米師匠と完璧な弟子は元気に朝の素振りをしていた。


「これからは素振りは疲れるほどしないように。

疲れると怪我にも繋がるが、何よりも形が崩れて変な素振りになってしまうからな」


ネイト先生は理由を添えて伝えた。


「はい!」


「素振りは確認程度にすればいい。

これから冒険者ギルドにいくぞ」


「はい!」


二人は仲良くギルドに向かった。








冒険者ギルドにて

「お久しぶりです。先日はありがとうございました」


カーラがネイトに頭を下げた。


「久しぶりだな。今日はこの近くの討伐依頼を受けたい。

日帰りならランクは何でも良いがなんかないか?」


知らない土地で自分が選ぶよりも聞いた方が確実だと思いカーラに頼んだネイトだった。


「それでしたらDランクの依頼で近くの森の討伐依頼があります。

ただDランクなので昇級への査定は微々たるものですが宜しいですか?」


「ありがとう。それで構わないから詳しく教えてくれ」


「はい。では…」


話しを聞いた二人は近くの森へ向かう事に






暫く進むと森が見えた。


「師匠!あそこですね!」


「ああ、あの森だな」


「どうやって獲物を探すのですか?」


昨日考えていたが結局答えはでなかったので正直に話す事にしたネイトは


「実はな…」


気配察知の事を話したネイトだがジャックの反応は


「流石師匠!!剣だけではなくそんな技術まで…!

しかもいつの間にか出来ていたとか天才ですね!!」


弟子からのヨイショが止まらない。

反応に戸惑うネイトだが


「いや、弟子に上手く伝えられない時点で師匠失格だ。すまない」


真面目先生ネイトは答えた。


「そんな!俺が覚えが悪いだけですから師匠は悪く無いですよ!」


「いや、ジャックが覚えが悪ければ世の中剣聖だらけになるな…」


ジャックの謙遜にネイトは自身が知る最高の剣士を出して答えた。


「剣聖ですか…?

師匠は本も読まれるのですね!流石です!」


「ん?何の話だ?」


「剣聖って遠くの国の昔話の本の登場人物ですよね?」


(そんなのがあるんだな…)


ネイトは知らないがその本の登場人物がネイトの師匠の剣聖である。


曖昧に話しを終えたネイトは


「とりあえず気配察知で探すから着いてこい」


「はい!」


「足音や物音は極力無くして歩くんだ。

もちろん息遣いもな」


「わかりました」


静かに答える素直なジャックだった。






ネイトは声を出さずに前方を指で指す。


ジャックは頷きそして驚愕する。


(見通しの悪い森であんなに遠くの魔物を見つけるなんて…流石師匠だ)


二人はこちらに向かってくる魔物に見つからないようにじっと身を潜めて待つことにした。


そしてその時は来た






ネイトが魔物を仕留めた後でジャックが感想を漏らした。


「流石師匠です!!あんなに離れた獲物を見つけるのも凄いし、仕留めた剣筋はほとんど見えませんでした!

何か一筋の糸が天から降りてきたようでした!」


余りの絶賛に恥ずかしくてそっぽを向くネイトだった。



「これは俺の師匠の言葉なんだが『実践に勝る修練はなし』という言葉がある。

これからはこうして森に赴き、戦いの中で教えて行こうと思う」


その言葉に対してジャックは


「?それなら師匠に相手をしてもらった方が良いのでは?」


当然の疑問だった。それに対してネイトは


「それも考えた。実際に俺は師匠との鍛錬は剣の打ち合いが多かった。

だが、ジャックにはすでにその才能はある。

木剣での打ち合いより真剣での実践の方が身になると思うんだが…どうだ?」


ネイトも手探り状態ではあるが、自身の考えを肯定せずにジャックにも委ねた。


「いえ、師匠の言葉であればそれに従いますよ」


「それと、その言葉遣いだが…なれないのでもう少し砕けられないか?」


ネイトが気になっていた、友になって欲しいという領主の言葉を思い出してそれに向けての一歩を踏み出す。


「いいのですか?いや、いいのか?」


「それで頼む。俺たちは歳もそう変わらないからこの方が師弟関係でも自然だろう」


「わかった!これからもよろしくな師匠!」


「あぁ。よろしく」


かたく握手しあった二人は森を後にする。




ギルドに向かう途中

「あれは足の運びが悪かったんだ。

次からは足元を見ずに森の全体を見て判断出来る様に行動するんだ」


「ああ!わかった!そうするよ!」


仲良くギルドに向かう二つの影があった。


この後ギルドで起こる事は誰も知らない。


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