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21 送り狼ネイト







「デカいな…ここがギルドか…」


町の木造二階建ての建物ではなく石造の3階建てだ。




カランカラン


扉に付けられた鈴が鳴る。


「ここのギルドは初めてなんだが」


入り口正面のカウンターに青色の髪を綺麗に纏めたネイトと同い年くらいの美少女がいた。その受付嬢と思わしき女性にそう言いながらカードを出そうとすると


「おい!お前!」


声がしたが知り合いもいない為、自分ではないと判断した。


「お前だよ!無視してるんじゃねぇ!」


肩を掴まれて振り向かされた。

そこに居たのは3人の男達だった。

年齢は20歳くらいの身長はネイトより少し高い175cmくらいだ。


「カーラに気安く声を掛けてんじゃねーよ!」


知らない男の言葉に


「カーラ?この受付嬢か?」


「そうだよ!」


確認が取れた為さらに


「何故ダメなんだ?」


「何でお前に説明しなきゃいけねーんだよ!」


ネイトは振り返り


「こう言っているがどうだ?」


カーラと呼ばれた受付嬢に問う。


「…そんな事はないです」


俯いて消え入りそうな声で受付嬢は言った。


「だ、そうだが?」


ネイト本人にその気はないがナチュラルに煽る。


「てめぇー!」


3人が殴りかかった。


バギッ

ドガッ

ドンッ




3人は床と仲良くなった。


「それで、説明をお願い出来るか?」


唖然としていた受付嬢カーラは


「は、はい!

ここパラディールのギルドは3階建てで

一階は受付、買取り所があり

二階は依頼表、依頼人との面談室があります。

三階は職員のみ入れます」


我に帰り、慌てて説明をした。


「そうか。ありがとう。明日から依頼を受けるよ。

こいつらはこのままでいいか?」


「えっとそれは…」


ネイトの質問に受付嬢カーラが青色の美しい髪を揺らしながら動揺していると階段の方から声が掛かる。


「何の騒ぎだ?」


「ギルドマスター!

この3人がこの方に絡んで…倒されました」


受付嬢カーラの言葉にギルドマスターと呼ばれた男は


「…お前は?」


ギルドマスターと呼ばれた男がネイトを睨みながら問う。


「カーラ?の言った通りだ。俺の名前はネイト・スクァード。Cランク冒険者だ。初めてきた街で今日着いた」


ありのままの自己紹介をした。


「そうか。…ネイトとカーラは付いてこい。

受付を代わってやれ。そこの3人はお前達で外にでも投げとけ」


話しを振られた男四人は、何故俺たちがという顔をしていたが渋々動いた。







3階に着いて行き部屋へ通される。


「ここはギルドマスター室だ。そこのソファに座ってくれ」


調度品も洗練されていてここも都会なのかとネイトは思う。


「それで?話しがあるんだろ?」


「まあ待て。お茶を待とう」





暫くすると初見の女性がお茶を持ってきた。


「ありがとう」


そういい紅茶を口にするネイト。もちろんネイトはお茶の良し悪しなどわからないが、お茶を飲み進めると


「俺はギルドマスターのドレイクだ。

それで話しだが、ネイトは若そうだが何歳だ?」


「ん?年齢なんかどうでもいいが15だ」


ギルドマスターの質問よりも紅茶の美味しさに意識が持っていかれ、ぶっきらぼうに答える。


「その若さでCランクだと?

どこのギルドでなった?」


ネイトの言葉に一瞬疑わしい顔をしたギルドマスターが質問した。


「俺に言われてもな…ユーゴスのギルドだ」


ネイトは聞かれた事に答えた。


「あいつのとこか…じゃあ、実力はあるんだろうな」


そう言い紅茶を一口飲んで


「あの3人はCランクで調子に乗っていたがギルドにも事情があり放っていた」


聞いてもいないギルドの事情に興味のないネイトは


「それはすまない?」


と、返すほかなかった。


「いや、そうじゃない。むしろ感謝している。

受付嬢に絡んだり見えないとこで新人イビリするくらいじゃCランクに罰は与えられないからな。

この街でもCランク以上は少ないからな。

それにギルドが表立って事を成せばカーラに矛先が向く危険があったからな」


カーラが真剣に頷いている。


「あいつらより強くて素行のいい奴に依頼すれば良かったんじゃないのか?」


この話しに興味のないネイトは、単純な解決策を提案したが


「たしかにBランクもいるが奴らには無理をさせているから頼みづらいんだ。

特にこんなギルドの責任の範疇のことはな」


またカーラが真剣に頷いて…カーラいるのか?


「話しはわかった。また絡まれていたら殴り飛ばすよ」


理解したネイトは紅茶に夢中で心ここに在らずな言葉を返した。


「はははっ。面白い奴だ!

そう言えばユーゴスの町にスタンピードがあったらしいな」


急に話しの矛先が変わった。


「ああ、最近の出来事だ。それが落ち着いた頃旅に出た」


「お前か?」


「何の事だ?」


別に惚けていない。ネイトは質問の意図がわからなかったのだ。


「惚けるか…まあいい。暫くこの街にいるのか?」


「そうだな。依頼をこなさなきゃBランクにはなれないしな」


その言葉を聞いたギルドマスターは悪い笑みを隠しながら


「ネイトがその気なら俺が選んだ依頼をこなしてくれたら昇級試験を受けさせれるが?」


ギルドマスターは馬の前にニンジンをぶら下げる事にした様だ。


「それは願ってもいないチャンスだな。

しかし、期間次第だ。

依頼は一人で受けるが旅は仲間がいるからな。

期間によっては仲間の行商人に確認しないとな」


「そうか…」


ギルドマスターが考え込む。


「それなら明日の朝にここに行商人の仲間も連れてこい。

話しはその時にするぞ」


「わかった」


「後、カーラは今日はもう上がっていい。

ネイト!カーラを家まで送ってやれ」


何で俺が?と思うが、話しを聞くタイプの人じゃないと思い送る事にした。




話しも終わり、ネイトが退出の為に口を開いた。


「カーラ案内してくれ」


「はい。準備があるので少しギルド前でお待ちください」


そう言って二人で部屋を出た。


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