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19 旅立ちの時








騒動から3日後。

町は落ち着きを取り戻しギルドではこの度の論功行賞とは名ばかりの宴会が始まろうとしている。


「みんなよく聞け!

この度の魔物の氾濫スタンピードで活躍してくれた者を表彰する!」



ギルドマスターが次々に名前を呼んで金一封を渡していく。




最後までネイトの名前を呼ぶ事は無かった。







その頃ネイトは馬車の上にいた。


「良かったの?町の人に何も言わなくて?」


「いいんだ。あの町に俺はいなかった。

いや、居場所がなかったんだ」


馭者席にならんだネイトとケイトが会話する。


「そんな事無かったんじゃないの?

あなたの泊まってた宿の人なんて、泣いて喜んでいたじゃない。

受付嬢の可愛い子も嬉しそうだったし、ギルドマスターだってあんなにネイトに期待していたわ」


「それでもだ…それにガインさんに頼んで宿の女将さんには手紙を残した」


ネイトの中ではジョンを受け入れて貰えなかった事が、どうしてもひっかかっていた。

どんなに良い人達でも無かったことには出来なかったのだ。


「まあ、貴方がそれでいいなら私からは何もないわ。

むしろタダで護衛して貰えてラッキーなくらいよ」


ケイトの言葉にネイトは


「こっちこそタダで案内や旅の事を任せられるんだ。助かるよ」


win-winな関係だ。


「ふふっ。お互い様ね。

なんだか貴方変わったわね?

悪い意味じゃないのよ?

なんだか随分と年上のような雰囲気ね」


「そうかもな…」


覚悟を決めた事により、肉体に精神が引っ張られる事はなくなったネイトだが、時折若さが出ている。

そんなネイトは見慣れた風景が遠ざかっていくのを眺めていた。








ギルドマスター室

「何でですか!一番活躍した…いいえ!町を救った英雄を追い出すなんて!!」


受付嬢がギルドマスターに詰め寄る。


「落ち着け。追い出してはいない。出て行ったんだ」


ギルドマスターは怒られていた。


「何でですか…何で止めなかったんですか…」


泣きながらもどうしようもないと諦める。


「止めたさ。そしたら今回の手柄や報酬は町の復興に当ててくれて構わないって言われてはな」


ギルドマスターは遠くを見つめる。まるでそっちにネイトがいるみたいに。


「それで呼んだのはそれだけじゃない。

ネイトに頼まれたんだがこの手紙をあいつの宿の女将さんに渡してくれ」


ギルドマスターは手紙を受付嬢に渡した。


「私には無いのね…」


「何か言ったか?」


「いえ何も…わかりました」


受付嬢の呟きは誰にも聞こえなかった。





「嘘っ!?」


手紙を読んだ女将はそう言って泣き崩れた。


手紙には短い間だが我が子の様に見守っていたネイトが、この町を旅立つ旨と気恥ずかしく面と向かって別れを言えなかった謝罪の言葉が認められていた。

そこにはもちろん女将と宿の健康と繁栄を願う言葉もあった。


「また帰ってくるんだよ…」


女将の呟きを拾う者は誰もいない。






「今日はここで野営するわ」


「わかった。警戒は任せてくれ」



二人の旅は続く。

最終話ではないです。

これまではプロローグです。


拙い文章ですがここまでお読みくださったことに感謝申し上げます。


話しの内容に賛否両論があり拙い文章に文句の一つもある事と存じ上げます。


見ていただける事に感謝を

書き続ける事で感謝の気持ちとさせて頂きます。



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