18 極大魔法の効果
「おい!!来たぞ!!」
監視役が声を上げた。
暗闇に松明の灯りが灯されている町の近くの草原。そこを黒い影となり魔物達が押し寄せて来た。
まるで津波のように。
「よし。俺は魔法の準備に入るから決して声をかけるな。
発動の時は声をデカくする。
そのタイミングで冒険者達に地面に伏せるように、それが難しいようなら衝撃に耐えられるように指示を出せ」
「わかった」
指示だしの冒険者に説明して魔法の詠唱(構築)に入った。
ガイン達の視界の中にも魔物は確認された。
「来やがったな…
みんな!!ここが最初で最後の正念場だ!!
町を守ってただ酒を飲むぞ!!」
「「「「「うぉおおおおお!!!」」」」」
そして黒い塊と冒険者たちが衝突した。
5分後
「くそっ!まだか…?」
「もう何匹も門に向かっちまったぞ!!」
「早くしてくれ…」
現場の冒険者達に悲壮感が漂い始めた。
門の上の指示だし係が我慢できず声を掛けようとした時
『メテオストライク』
ネイトが呪文を叫んだ。
「伏せろーー!!」
指示役が叫ぶ。
と、同時に何もない空から火の玉が降って来た。
それは太陽と見間違うほどの光だった。
ズドーーーーン
地響きと不可視の衝撃が当たりを襲う。
「「「うわぁああ!!」」」
辺りが再び暗闇に包まれた時
「まだ生きている魔物がいるぞ!
動ける者は戦え!!」
ギルドマスターの声が響いた。
するとそこへ
「ここは俺がやるから、ガインさん達は町に戻って状況確認をして体制を立て直してくれ」
魔法を放つとすぐに駆け寄ったネイトが指示を出す。
「っ!ネイト!!わかった!」
場所を任されたネイトは剣を抜くと瞬く間に辺り一面を血の海に変えた。
「すげぇ」「やばっ」「何だあいつは…」
そんな声がちらほら聞こえるがいちいち構っていられない。
町に戻ったギルドマスターが
「状況確認をする!まず、町に入った魔物は!?」
「それは衛兵が倒したぞ!」
そこに来たのは衛兵を指揮していた町長だった。
「そうか。次に負傷は運び込めたか!?」
「それも衛兵が運んだぞ!」
「…済まない」
もはや、指揮は一人でいい。
「いや、凄いものを見させてもらったからお互い様だな」
町長の感想に
「俺には何もわからなかった。気付いたら吹き飛ばされていた」
ギルドマスターは力なく答える。
「そうか。後で話そう!今は火急の時だ!」
町長の言葉に現状を思い出したギルドマスターが
「そうだな!残りの魔物は!?」
「50体近くいたけど今はほとんど倒されたぞ!」
それを聞いたギルドマスターは絶望が希望へと変わり的確な指示を飛ばす。
「よし!では、火事にならないように草原の火を手の空いてる者はみんなで消すんだ!」
「俺たちもいくぞ!」「ああ!自分達の町だからな!」
町の住人も消化活動に参加して瞬く間に鎮火した。
町長サイド
「なんだあの魔法は…魔法なのか?」
ネイトの放った広範囲魔法を目の当たりにした町長は言葉を失くす。
「はっ!こうしてはおれん!
負傷した冒険者を運び込み手当する班と町に入り込んだ魔物を処理する班に分かれて速やかに行動せよ!!」
比較的すぐに立ち直った町長の指示が飛んだ。
ギルドマスターサイド
『伏せろーー!!』
「合図だ!みんな伏せるか構えろ!」
ギルドマスターが呼応して叫ぶ。
「「「「「うぁあああ!!?!?!」」」」」
付近の冒険者は飛んでいった。
町の住人サイド
「おい!見ろよ!馬鹿っ俺じゃねえ!上だよ上!!」
太陽と見間違う火の玉が草原に落ちるのが見えた。
ドゴーン
爆発音の後、衝撃波が届く。
「うおお!なんだ!?」
すぐにこちら側の攻撃が決まったことが知れ渡り、魔物がいないなら何か出来ることはないかと皆が門に集まることになった。
今に至る。