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14 初めての野営







ガタン

ガタン


馬車の車輪の音が道の悪さを物語っている。


「もう少しで村に着くけどこの村は通り過ぎるわ。今日は野営になるからそのつもりでね」


「わかったよ。一々村に泊まってたら時間がかかるからだね?」


ケイトの計画にネイトが予想を告げると


「そゆこと!明日は途中で村に寄って飼葉と食料を買うわ。

村によっては無いものもあるから少し余裕を持って旅をするのよ」


理解が早いネイトに旅好きのケイトは色々教えてくれる。


「なるほど!色々考えないと困るのは自分ってことだね!」


「ええ。余裕と無謀は紙一重だけど全然違うわね」


道中はケイトの旅講座があり、ネイトが退屈する事はなかった。






夕方

「そろそろ今晩の野営地を決めないといけないわ」


ケイトの言葉にネイトは質問をする。


「どんなところにするの?」


「水場が近くにあればいいわね。

近すぎても魔物に襲われる危険性が増すからダメだけどね。

後はあまり見晴らしが良すぎても悪過ぎてもダメね」


ネイトの質問にケイトが答えるが要領を得ない。


「ん?どういうこと?」


「見晴らしがいいという事は遠くから見つかると言うことでもあるし、魔物や野党に見つかれば逃げる場所もないわ。

逆に見晴らしや見通しの悪い場所は

見つかりにくくもしもの時に隠れやすいけど、それは魔物も同じで魔物が隠れている、潜んでいる事に気付かない事もあるわ。

だから丁度中間くらいで、見通しの悪いところを魔物が潜んでいないか確認できて、いざと言うときの逃走経路を考え易いところが望ましいわ」


「流石ギルドマスターが旅のプロっていうだけのことはあるね!

知らない事がいっぱいだよ!」


ネイトは人付き合いは初心者だが、褒めておけば悪い顔をする人が少ない事は知っている為、露骨に持ち上げておく。


「この機会に盗める知識は盗んでいってね」


「ありがとう」


たわいもない話しを続けていると


「あそこを今日の野営地にするわ」


ケイトの指先を追うと


「ホントだ!さっき聞いた場所に一致するね!」


「万が良かったのよ。さあ、野営の準備をするわよ!」


二人の今日の宿が決まったようだ。








その後、ケイト主導で野営の準備を終わらせた二人は今晩の食事を食べながら話しをする。


「気配を察知出来るなんてすごいわね。

伊達にその若さでCランクじゃないわね!」


「うーん。気配察知は狩りには役立つけどまだ戦闘では使ってないからCランクには関係ないかな?」


「そうなのね…じゃあさっきの水魔法かしら?」


「魔法も昇級試験では使わなかったなぁ。そもそもギルドに申告してないしね」


「じゃあなんなのよ!!

これだけ多芸なのにギルドマスターに認められてCランクになれた理由って!」


ケイトの痺れが切れた。


「戦闘だよ。剣と魔法が得意なんだけど、昇級試験では両方とも使わずに試験官を倒したんだ」


「得意分野を使わずにCランクにその若さでなったって言うの?

目の前にいても俄には信じられないわ…」


「まあ、その内魔物との戦闘があると思うからその時にわかるんじゃない?」


「はぁ。色んなところを旅してきたけど…

世の中はまだまだ広いわ…」


「移動の間にまた旅の話しを聞かせてね!」


「いいけど、野営中の見張りは貴方の担当だから移動中はちゃんと休んでよね」


すっかり忘れていたネイトはこれから寝れないかと思うと少し憂鬱になった。


「そうだった…じゃあ起きた時に聞かせてね!」


「わかったわ。今日はもう休むから見張りはよろしくね」


「おやすみ!」





夜の帳が下りた。

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