プロローグ・魔術と魔法と謎の天体
魔術という代物は、古代から現代までずっと受け継がれてきた伝統文化のようなものだ。その『魔術』というものの存在は、古代から何年経っても変わることはなかった。
魔術師と呼ばれる魔術才能があり、魔術を使いこなす者達が、詠唱や魔法陣などを描いて、科学では証明できないような、異常な現象を引き起こす。それが魔術と言うものだ。
なら、その魔術というものは、今まで通り何年経っても変わらないものなのか。
答えは否だ。
歴史と言うのものは、必ずどこかで徐々に崩れていったりするものだ。それは、あくまで『徐々に』で、急に起こるわけではない。だって、何もない砂漠に、急にビルが建ったりしたらおかしいだろう?
しかし、魔術というものは、ビルのように形があるわけでもない。年の変わり目などのように、1日で変わったりするようなものなのだ。
約3年前、魔術にもそれが起こった。ペルトリアという星にいる、魔術研究家の一人が、詠唱や魔法陣をハブいて魔術を繰り出すという、今までの魔術を裏切るような技を生み出したのである。それが【魔法】である。
魔法は魔術のように、才能がないものでも使うことができる。さらに、詠唱をハブいて魔術……というか、科学では証明できない力を繰り出すので、魔術よりも出が速い。これは説明していなかったが、魔術は詠唱をする上で必ず覚えとかなくてはいけない魔術式というものに力を込めるが、魔法は自分の感情や思考から力を込めるので、自分の考え次第で楽に応用が効くし、その分威力も高くなるのだ。
しかし、魔法もいいことばかりではない。
沢山の人々が高威力の『ほのお』だとか『みず』だとかを使えてしまうと、当然と言っていいように、それが武力として使われてしまうことになる。
さらに、『魔術師には魔法が使えない』
これが意味していることが君には分かるだろうか。
魔物と呼ばれる人間が生活をする上で、害になる生物。それを倒していた処理人と呼ばれる組織にいた魔術師の英雄達。その英雄達が今では、魔術師よりもすぐれる魔法使い達が出てきて、その影響で処理人は廃業。今では、魔術師達のほとんどの者が、自分の産まれ故郷に帰りそこでひっそり暮らしているという。
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宇宙……いや、現実には生きている者では到底理解できないことやものや、まだ発見されていない未知のものが沢山ある。そういった意味では、他の天体の出身者からしたらこの天体そうなのだろう。
3つの星がそれぞれ引き合い引かれ合い、共存しているこの天体。人々はこの天体を、神核天地と呼んだ。この3つの星はそれぞれ、機械之星、自然之星、未知之星と、星の現状と位置づける名前が付けられている。
機械之星……正式名称マナミカニ。この星の特徴は、全てが人口物で作られていて、電気街が立ち並ぶとても近未来的な星となっているということだ。
そして、未知之星……正式名称ペルトリアはその名前の通り、土地に関しても技術に関しても、分からないことが多すぎる星である。
機械の星が科学なら、未知の星はオカルトと言えるだろう。
そして、この対立した星同士を繋ぎ合わせる役目を補っているのが、自然之星……正式名称ステルマである。
ステルマは3つ星の中で一番緑が多く、開発が進んでいない星で、大陸の約95%はまだ未知領域なのだとか。
なんとも不思議な星である。
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