エマ、内戦を終わらせる、ホーエル・バッハ最後の日?
大貴族同士の大軍が激突中。多数の死者が出ている。
私がハーベスト元大尉を見たら、「エマ様、青い帽子に青い上着に青のズボンで空から介入して下さい。間違ってもグリムリーパーの鎌は使用しないでください、うーん、多少の使用は必要かもしれませんね。お任せします」
私は思い付いた、逆に大鎌を持った死神が突如現れたら、どんなに兵士が興奮していても恐怖で逃げ出すだろうと。
幻影魔法で黒のローブを着た死神をあちこちに出して、私は両軍の間を飛び回ってケガ人の救護にあたろうと。
死神の幻影を登場させ大鎌を振るわせた。マズい、将兵がショック死してる、私はヴァッサを操って懸命に救命活動をした。
気付くと戦闘が終わっていた。両軍の兵士が私に跪づいていた。「大聖女様に忠誠を誓います」って言ってる。
「私は聖女としての役割を果たしているだけです、忠誠は領主に捧げてくださいませ」
「私たちは大聖女の軍として、この国の戦いを終わらせます。それが大聖女様の願いだと思いました。一度死んだ生命です。聖女様に捧げます」
もう、どうでもいいや。私はその後、約三万の軍を率いて各地を転戦して内乱を止めてしまった。
エミル君が、「エマは僕の期待を裏切らない」と喜んでいた。
私は、第七軍団の長でさらに新聖女軍の総司令官にもなった。後日、王から任命する旨が書かれた文書が届けられた。私、そういうの必要ないから。
ハンニバルからそのままホーエル・バッハ本家に行ってくれないかと指示が出た。もしホーエル・バッハが新聖女軍に攻撃を仕掛けたら逆賊に出来るからやってみてと内容の割にノリは軽かった。
ホーエル・バッハ本家に、新聖女軍の補給に協力せよとの勅命が出されたので、私たちはホーエル・バッハ領に向かう事にはなった。
ホーエル・バッハ本家では、「バイエルン家の二女のエマが兵士三万人を率いてこちらに侵攻中との報告が入りました」
「ついにバイエルンが最終決戦に打って出たか。集めるだけの兵士を集めよ! 同盟している各領主に援軍を要請せよ」
「すぐに集められる兵士は1万5千人、尚天界の支援を得ているようで、一瞬で軍団が消滅するとのこと」
「天界からもの支援か。我々のご先祖様は天界に歯向かったと言う伝承があるゆえ、それならば、隠れエミル教徒はやめてエミル信仰を持つ者として、冥府かヴァルハラかは知らぬが、逝こうではないか」とホーエル・バッハの当主は豪快に笑った。
「エマ様、マズいです。ホーエル・バッハ本家が覚悟を決めました」と書記のグレイ君が私の天幕に走り込んできた。
「グレイ君、お話がまったく見えないのですけど」
「エマ様、ホーエル・バッハ本家はエマ様と最終決戦をすると決意したとの知らせが今私の元に入りました」
「グレイ君、私はホーエル・バッハ家と決戦に来たわけではなく、補給をお願いしに来ただけで、国王陛下からもその旨、ホーエル・バッハ家に連絡が行っているはず」
「兵士三万人を率いてくれば討伐されると普通は思います」
「そうなの? 困ったわ」
「エマ様が率いている軍の兵士たちもホーエル・バッハ家最後の日が来ると盛り上がってます」
「私が、一人でホーエル・バッハ家のご当主とお話しできないかしら? 誤解を解いて見せるわ」
「魔王を討伐した大聖女が出て来れば、ホーエル・バッハ家の人間は死を覚悟して戦うでしょう」
「ホーエル・バッハは退路を断ちました。隠れエミル教徒である事を公表しました」
「マア、エミル教徒ってまだいたの?」
「エマ、失礼な僕を信仰する人はかなりいるよ!」とエミル君が私の隣に立っていた。
「グレイ君って言ったかな、僕と一緒にホーエル・バッハに行ってくれないかなあ」
「エミル様のご命令ではありますが、お受けできません。私は今はエマ様の臣下ですので」
「エマ、グレイ君を貸してほしい」
「それは良いのですが、私はどうしたら良いのでしょうか?」
「エマは、軍をここで待たせて。それと補給はホーエル・バッハではなく近隣の貴族に要請するようにね」
「エミル様、グレイ君だけがお供で大丈夫でしょうか?」
「イアソーが勝手について来るから心配いらないよ」




