婚約披露の儀式
私は婚約披露の儀式で舞を舞うことになった。通例では神殿長が2人を祝福して、国王陛下が認めれば、後は披露宴になるはずが、私に神々ヘ感謝の舞を舞う様にエミル君が強要した。イアソーさんも面白がっている。
私の舞ってスリルがあって楽しいそうだ。やってる本人は必死何ですけど。その後神殿長の祝福、続いてエミル君が祝福して、国王陛下が2人が婚約をしたことを宣言する運びになった。
エリザベートはまだ一歳だし婚約と言うのはどうかと思うものの、王家とバイエルン家が組まないことには政治が動かないらしい。
王家がエリザベートを王族として王宮で育てるとかうるさく言うので厄介な事になっている。
第五王子の祝福を大聖女と神自ら行うとわかって以来、エリザベートには王族教育が必要なので王家が責任を持ってエリザベートを育てると頑張っている。が、当然、母上は大反対。いつエリザベートが亡き者にされるかわかったもんじゃないから。
溺愛しているエリザベートと別れるのが嫌なのが本音、もっとも母上は侍女としてくっついて行くと思う。
実質当主のハンニバルが出した結論は王宮には自分が入る。第五王子のお付きになると言うものだった。ハンニバルが人質になるので、エリザベートはバイエルン家で結婚まで家にいるで落ち着いた。
ハンニバルがエリザベートが結婚するまで王家が残っているかどうかはわからないとニヤリと笑ったのは、聞かなかったこと、見なかったことにした。
婚約披露の儀式は盛大に行われた。父上、エリザベート、人質予定のハンニバルと私と名目上は養女だけど本当は母上とその護衛に第一軍団を伴って王都に進軍した。あれは絶対に進軍であって、領主の護衛としての同行ではなかった。だって王族の顔が真っ青だったもの。
私も儀式で舞ったし、エミル君も祝福したし、とりあえずエミル君の用事も終わったから、旧魔王城に帰ってもらおうしたら、「エマの舞がまだよろしくないので、特訓するからね」って言われたしまった。
イアソーさんに聞いたら、エミル君って本来芸術関係の神で、周囲が凄いって思ってもなかなか納得しなくてスケジュールが大変なことによくなったそうだ。おそらく内乱鎮圧の旅の途中でもお稽古は休ませてもらえないって言われてしまった。
私は内乱鎮圧を隠密にこなすため一度学校に戻って段取りをしする。でないと第七軍団の兵士がくっついて来るので大変だ。今回は熊君も同行させないつもり。何しろ私の上には天空船がいるのだから、何かあれば天空船から光が放たれる。威嚇するには十分過ぎる。
私と書記のグレイ君と将軍職になったハーベスト元大尉とお付きになったゆきちゃん。しかしゆきちゃんを連れて行くと熊軍団がもれなく付いて来るので、本当にどうにかして熊君たちのお世話係を考えないといけなくなった。
メンゲレ男爵に相談しよう。元はと言えばメンゲレ男爵の所にいた熊なわけだし。
「メンゲレ男爵、熊君たちを私たちが飼育しているのだけど、私とゆきちゃんしか世話が出来なくて困っているの。誰か紹介してほしい。何だったら母上が勝手に連れ出したので、そのお詫びにお返ししても良いですけど」
「世話係は紹介しますが、連れて行っていただいた熊たちの引き取りは遠慮させていただきます」
「元熊の飼育員だったペーターを連れて来ましたので飼育係として雇って下さい」
「俺、ペーターって言います。よろしくお願いします。お嬢様」
カチンコチンになったペーターが挨拶をした。
「ペーター、熊君たちのお世話お願いします」
ペーターを熊君たちの所に連れて行ったら、それまでダラダラしていた熊君たちがピシッとなった。
「コイツらを育てたのは俺なので」と言って照れていた。
学校から出発しようと裏門を出たら、ヴィクター、ウエルテル、マリアにニコラの4人が揃って待っていた。
「あのう、お忍びの旅なので学校とは無関係なんだけど」
「僕たちもお忍びの旅に出ることにしたんだ偶然だね」とウエルテルが言う。メンゲレ男爵から情報が漏れた、漏らしたのかも。
「承知しました。このメンバーでお忍びの旅に出ます」私はデジャヴを見たような気がした」




