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中腹の石像、そして山頂へ

 ローレンスさんは何を考えて、校庭にある初代王立魔法学校の校長の石像をここまで持って来たのやら。


 崖はフローティングボードに乗せてゆっくり降ろすとして、私たちそれぞれが自分の魔力量に応じて石像に浮遊魔法をかけて背負って帰路に着く。で、半分の行程は魔力量の多い私。私への嫌がらせだろうか?


 ギンムガンプ山の山頂は厚い雲に覆われてまったく見えない。山頂にまで行けと言われなくて良かった。


 雲が徐々に下に降りて来る。マズい予感しかしない。


「岩肌の間にみんな入って、みんなの前に石像を固定して、エマお願い」登山チームのリーダーのウエルテルの指示が飛んだ。


 岩肌の隙間にみんなが入ってその入口を石像で塞いだ。風がゴーゴーなっている。石像に雪と氷が当たっている。初代校長の石像がバラバラにならないか心配だ。


「マリア、校長先生は大丈夫ってご両親に話したのよね」

「ええ、話したわ」

「今もそれを信じてるの?」


「平気だよ、みんなが一緒だもの」


 私はけっこうギリギリな気持ちだったりするのだけれど。ウエルテルの表情も暗い。


「みんな、しばらくは動けないので体力は温存して、料理は作れないので携行した糧秣を食べて水ではなくお湯を飲んで体を冷やさないように」


 こう言う適切な指示ができる人がリーダーなの。間違っても私をリーダーに指名してはいけないよローレンスさん。


 ヴィクターは立ったまま寝ている。ヴィクターってここぞと言う時は度胸がある。私も眠りたいけど、ゴーゴーと鳴る風の音が怖いのと立ったままなので寝られない。


 マリアとニコラは安心した顔で寝ている。

ウエルテルが私を見て「下手をすると3日はこのままかも、僕たちも休んだ方が良いのだけれど、ヴィクターもマリアもニコラも神経が太い。羨ましい」


「私も同感だよ、ウエルテルがへばると困るので先に休んでね、後は私に任せて」


「エマ、そうするよ」


 とは言ったものの私にできることって祈る事しか出来ない。でも、私って神々に喧嘩を売ったし、祈るとすればエミル様かな。


「エマちゃん、僕を呼んだ?」


「エミル様、お久しぶりです。外が大変なのでエミル様に祈りを捧げただけで、お呼びしたりなんてそんな不敬なことは絶対にしていません」


「別に呼んでくれても僕はまったく気にしないけどね。外の大騒ぎは僕が地上に戻って来たから、雪の精霊が大喜びしているだけなので、許してあげてね。彼らに君たちが僕の庇護下にあるのは言っておくので、危害は加えないから安心してほしい」


「もし、時間があるのなら山頂まで僕が案内してあげるけど、どうかなあ」


 エミル様、明らかに案内がしたいって顔に出てます。


「エミル様の負担にならないのでしたら、お願いしたいです」


「エマのそう言う躊躇ためらいのなさが僕は好き」


「みんな起きて、エミル様が山頂に案内してくださるそうよ」


「この子は誰なの?」とマリアがびっくりした顔で言った。


「この方は先の神様でエミル様です」


「先の神様って何それ」とニコラが不審げに言う。


「先代の神様と言う事でここは納得してほしい、お願いします」


「ウソだろう、猛烈に吹雪いていたのに止んでる」とウエルテルが驚いていた。


「じゃあみんな、エミル様に続いて山頂に行きます」




「エマ、あそこに人がいるのだけれど? 僕の目がどうかしたのかなあ」


「君の目はどうもなっていないよ。あの子たちはイェティーという子たちなんだ。この山にしかいない人々なので、他言無用でお願いね」と私の代わりにエミル様が説明してくれた。


 イェティーっていう人たちってとっても争い事が嫌いでここでしか生きられないそうだ。

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