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ラグナロク、神々の黄昏その3

 元魔王はあらゆるものを吸収して膨張していた。魔王の中から、呪詛、悲しみ、強大な力を得た喜びの声が聞こえる。


 魔王は私を吸収しようとした。私はその空気の流れに乗って魔王に鎌で一撃を与えた、数千の魂が輪廻の輪に戻っていった。


 元魔王は私と距離を取って氷の槍の雨を降らした。私は風を巧みに操りヴァッサーで元魔王に近づき鎌で一撃を浴びせた。

 

 元魔王の中から母上の声が聞こえた。「エマ、お前だけは絶対に殺す」

「母上、私はなぜ殺されなければいけないのでしょうか」


「それはお前がエマだからだ」

「私が尋ねているのは私を殺害する動機です」


「どこの世界に元婚約者の名前を我が子につけるバカがいるのか? 尋ねたい」


「もしかして、父上が私に元婚約者の名前をつけたことに怒っておられるのでしょうか?」


「お前を殺した後は、あのバカ養子を殺す」


「確かに父上はデリカシーが欠けていると思います」


「今なら、まだ間に合います、私が魔王から母上の魂を切り離します」


「その器から出て下さいませ」


「エマ、お前はやはりバカだ、私の身体は魔王に吸収されてもはやない、私の魂をスケルトンにでも移すつもりか? ごめんこうむるよ」


 私はディアブロさんを呼び出した。

「ディアブロさん、少しご相談があるのですが」


「エマ様、珍しいですね。相談とは?」


「ディアブロさんの所に余っているホムンクルスはないかしら? 母上の魂をそこに移したいのだけど」


「ございますけど、レンタル料はかなり高いですよ」


「お幾らでしょうか?」


「エミル様の住む教会が一つに、毎月金貨50枚のお布施をお願いしたいです」


「ディアブロさんはそれで良いの?」


「イアソーの三べん回ってカーが久しぶりに聞きたくなったので。ただ母上様が気に入るかと言われると自信がありませんけど」


「母上には我慢していただきましょう。その条件でお願いします」


 ディアブロさんがホムンクルスを用意してくれた。間違いなく母上の機嫌が悪くなると思う。


 元魔王から、母上の魂を切り離してホムンクルスに移した。


 母上のいなくなった元魔王は烏合の衆、複雑に絡みあった数多くの魂を切り離しては、私はその魂が天界または冥府に行くのを見届けた。


 最後に残った魔王の魂は、元魔王四天王の魔族に預けた。魔石に封じて魔王の血筋の子が生まれた際に胎内に入れるそうだ。


 母上が目を覚ました。予想通りご機嫌が悪い。


「エマ、私の体が縮んでいるのですけど。なぜ私があなたの背よりも低いのでしょうか?」


「材料不足でこう言う結果になりました」


「わざとではないわけね」


「はい、母上」


「私って人生やり直せるかしら?」


「はい、やり直せると思います」


「まあ良いわ、ともかくバイエルンに戻ります」


「はい、母上」


 バイエルンに戻って一番喜んだのは父上だった。「エンドラ、お前、可愛くなって」と大喜びをしていた。今の母上を妻として扱うのは問題があると思う。


「私が責任を持って育てる」と宣言をしてくれた。良かった。

 

 母上の立場だけど、母上の姉と母上が、姉の子を養女に迎える約束を幽閉前に交わしていた。その姪っ子がバイエルン本家に迎えられたと言う設定になっている。と言うことで私は母上の姉になってしまった。


 母上はたいていエリザベートの所に行ってはなごんでいる。


「エリザベートは可愛いわね、私みたい。第五王子にはもったいないわね」が口癖になっている。「それに比べてエマは……」と続くのだが。


 内乱はまだ収まっていないが、私は学校に戻る許可がハンニバルから下りた。問題は熊君たちをどうするのか、ミカサとの約束があるのでゆきちゃんには学校に来てもらわないといけない。


 ローレンス校長に飼育部を申請し許可を得て、熊君たちを学校に移動した。飼育代はバイエルン家持ちで。人間の第七軍団の方にはエミル様の教会を建設してもらっている。

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