ラグナロク、神々の黄昏
魔王四天王の生き残りと遭遇した。熊君に殴られても消えない魔族さんだった。話しがしたいので私の所に来てもらったら、神気が強すぎて中に入れないと言われた。
私もイアソーさんも神気を抑える方法がわからないので困ってしまった。仕方ないので声を増幅して話すことになった。
「魔王について尋ねたい、これまでの魔王と違うと言うことだが、どう違うのか?」
「これまでの魔王は臣下を鍛えて世界制覇を目指していたが、今回の魔王は臣下を吸収して自らが最強になろうとしている。また世界制覇ではなく世界の破壊を目指しているように見える」
「魔王の目的は世界の破壊と言うことか?」
「そうだ、魔王は魔王四天王のうち3人を吸収した。私が仕えた魔王の中でも最強だ」
「魔王は四天王のみならず、魔族なら誰もかれも吸収している」
「このままでは魔族がすべて魔王に吸収されてしまう。魔族が滅んでしまう」
「魔王に理性がないみたいですね」
「理性はある。ただし世界を破滅させ自らも滅ぶという方向の理性の様に見えた」
「ラグナロクか」
「ラグナロクって何ですか? イアソー様」
「世界の終わり、神々の黄昏というやつだ、地上も天界も冥府もすべて無に帰そうとする力とでも言おうか」
「魔王ではないのですか?」
「魔王、そう言う雑魚ではないな、例えるなら自然そのもの脅威、暴風雨、津波、火山の爆発の類いだと思えば良い」
「そんなの退治なんて出来ません」
「それこそ天界の神々の出番でしょう?」
「地上が全滅してから慌てて出てくるだろうが、今は静観するだけだと思う」
「あのう、船が天界に向かって飛んでいるのが見えるのですが!」
「天空船だ。あれが天空船だ、エマ」
「エマ、あの天空船に乗るので私について来い」
「あんな所まで私は飛べません」
「体は不要だ、置いていけ」
私は幽体離脱をして天空船に乗っていた。
「イアソー様、誰もいませんけど」
天空船は無人だった。
天界が見えてきた。
「美しいですね。すべてが輝くように真っ白な宮殿が連なっています」
私の体が勝手に動いて負のエネルギーの塊を撃ち出した、真っ白な宮殿が凄い勢いで灰色に変わって行く。これって私、神々に喧嘩を売っている。副業だけど巫女なのにどうしたら良いの?
「イアソー様、勝手なことはなさらないでくださいませ」
「彼らが私たちから奪った天空船を返してもらうだけだ、天界を破壊するつもりは『今』はない」
天界側も多数の天空船を繰り出してきた。こちらに向けてまばゆい光を放ったが、私たちの天空船に届く前に消えてしまった。
「エネルギー充填120パーセント、これで旗艦ブリューヒルデは完全な旗艦になった」
イアソーさんは完全にヒャッハー状態になっていてどうしようも出来ない。
空中に天界側の天空船の座標が見えるようになった、私の手は勝手にそのパネルを触って天空船の位置を変えた。天界側の天空船が放った光は天界側の宮殿を直撃して大惨事を引き起こしていた。
「天界側の天空船から光信号を出していますけど」
「一時休戦したい、こちらに来られたし」
「罠だ」
私はその光信号を出している天空船に向けて負のエネルギーを撃った。私の意思ではないのでお許しください。
真っ白な天空船が灰色に変わって、墜落しそうになっていた。また光信号を出してきた。
「代表団がこの船に向かうので攻撃しないでほしいか、初めからそう言えば良いものを」
イアソーさんはご機嫌になっている。




