表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/306

高等部の講義、演習、行軍訓練

 今回の私は教室、食堂で、寮、図書室を定期便の様に往復する毎日を送っていたので、前の私に比べると成績は良かった。この学校はテスト後、学年順位を全生徒分発表するので、成績が低いとかなり肩身が狭い。男の子たちが6歳児に負けるなんてとけっこう悔しがっていた。どうぞ次回のテストで抜いて下さい。


 学校には花壇が申し訳程度にあったので、勝手に私物化した。マリーゴールドとかを植えて私はご機嫌になっている。花壇の土が痩せていたので、こっそり私、特製の土に入れ替えたので、素敵なお花が咲いてとっても嬉しい。

そうそう、この学校の演習はとっても危険なので、人目につかない学校の片隅に薬草を育てて、自分用のポーションをせっせと作っている。


 高等部卒業後は9歳にして自活しないといけない。節約出来るところは節約したい。ポーションを買うより作る方が安いし、楽しいから。


 バイエルン家は武闘家の割に教育機関に手が伸びているので、おそらく私の大学進学は難しいと思っている。今のところ、魔道具の販売で、祖母の遺産を当てにせず生活していこうと考えている。このあたりもローレンスさんに相談してみたい。


 危険な演習が始まった。フレンドリーファイアは普通に起こる。味方のファイアボルトをくらって吹っ飛んでいる。自爆も多い。敵方も似た様なもので、前に攻撃魔法を放てば味方に当てて、当てられた子が頭に来て、味方を攻撃してメチャクチャ。でも、私は女生徒のマスコットガールなので周囲を女生徒に囲まれ、守られている。敵チームに分けられた女生徒もけっこう混じっていて、いつも演習はカオスな状況で終了している。


 私は、演習の成績がとても心配。演習ではまったく何もしていないから。マア、大切にされているので良しとしている。

 

 男の子が不用意に、その女生徒の輪に近付くと警告なく、攻撃魔法の一斉射撃を受けるので、何人かが周辺に倒れてそのまま病院に搬送されていた。一言、警告くらいはしてあげても良い思うけど、何も言えないでいる。男の子の間ではあの死のエリアに入ってはいけない。間違っても私を攻撃してはならないと暗黙の了解が出来てしまった。


 校内でも男の子が私に声を掛けたりすると、周囲の女生徒が刺す様な視線を向けるため、クラスメイトと言えども私は、未だに男子生徒と会話が出来ない。ちょっと過保護かもって思っている。


 今日は行軍訓練という名称のピクニックの日になった。学校から10数キロ離れた廃墟まで行くだけ。途中森を抜けるのだけれども周辺の人が焚き木を集めに来るような、いるとしてもウサギの魔物とかタヌキの魔物とか小動物が多いので危険な森ではないはずだった。


 携行した昼食をすまして、呑気(のんき)に歩いていたら悲鳴が聞こえてきた。同行していた教師が悲鳴の聞こえた方に文字通り飛んでいった。教師よりゆっくり後退の指示が出たので、元来た道をゆっくりと戻って行く。私の周りにはいつものように女生徒が私を囲み保護されている。男の子たちは陰でエマ親衛隊と呼んでいる。もう前みたいに侯爵の娘の身分を笠に来て(かさにき)威張ったりしてないのに、そう呼ばれるのはとっても不愉快なんだけど。


 ゆっくり撤退のはずが前から走って来る人が多くなって来た。教師陣の指示も逃げろに変わっていた。親衛隊のみなさんも逃げ始めたのでそっと親衛隊のみなさんの間を抜けて様子を見に行ったら、ここら辺にはいないであろう灰色熊の魔物がけっこう無双をしていた。教師の放ったファイヤボルトは硬い毛に弾かれてほぼ無効化されていた。土魔法で土壁を作っても簡単に突破されていた。このままだと生徒に死人が出ると感じたので、教師の脇をすり抜けて灰色熊の真正面に立った。


 教師が戻れって叫んでいたけど、戻れるわけがない。だってテストしてみたくてここに来たのだから。ゴーモン先生のウイングスクエアプラスワンを更に改良したウイングミルを。


 的はデカイし外す可能はゼロ。ウインドミルって詠唱して灰色熊の魔物に当てた。左右二枚上下五枚の風の刃が灰色熊に命中。切断面がけっこう波打っているのでスッパと切れてない。失敗だ。更に改良の余地あり残念だった。テストが終了したので急いで親衛隊のみなさんの輪の中に戻った。


 廃墟に到着すると教師のみなさんから、危険な行為はしないように、後日校長から呼び出しがあるので、そのつもりでと言われた。この行事は行軍訓練だった。教師は私の上官であり、私は上官の命令に従わなければいけなかった。結果オーライでも叱責と処分は仕方ない。やはり私は賢くないと思ってしまった。


 灰色熊の魔物は土魔法担当の教師が土の中に埋めたが、上手く切れなかったので周辺の樹木に血糊がべったり、見ようによっては紅葉。それはないか。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ