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冥府のダンジョンって?

 古代文字で冥府にようこそって書いてある。ハーデスって冥府の神様だけど、黄泉よみの神様とは違うのだろうか?


 閉鎖されている割には普通に扉が閉まっているだけ。鎖が巻かれて扉は開けられないようになっていた。鎖に触るとビリってきた。鎖を見つめた。これって何度も触ると刺激が倍化する鍵だ。細かい回路が描いてある。ダミーの回路も描いてあるのでわかりにくい。


 ここを解除するとビリってこなかった。扉は勝手に開いた。中に入ると勝手に閉まった。


 期待して入ったけれども、何にも出て来ない。スケルトンくらいはお出迎えに来ると思ったけれども。


「エマ、スケルトンでは出る前に私たちの神気で浄化されてしまう」


 私には神の化身のイアソーさんがついていた。いつも一緒にいるのでその存在を忘れる。正確に言うといないものとして扱っている。


 中層階まで来たものの、時々光が一直線に天界に向かって行くのをよく見る。このダンジョンに囚われていた魂が輪廻の輪に戻って行った。ダンジョンに潜ったと言うよりも洞窟を散歩してるだけだった。


 下層階に入ってやっとエルダーリッチと遭遇した。かなり強い。物理攻撃はすべて無効化される。浄化の祝詞のりとにも耐えた。闇属性の魔法ってシールドを侵食して来る。魂を抜かれそう。厄介だ。私の場合、一度幽体離脱をしているので、魂が抜けやすくなっている。


 接近戦に持ち込んでも、すぐに安全マージンを取って後ろに下がる。気長に私が弱るのを待っている。


「お嬢ちゃん、無駄な足掻あがきはやめてこっちの世界に来ると安穏として暮らせるよ」


「海辺で日光浴とか無理だけどね」とエルダーリッチは笑った。


 私はライトニングで日光並みの明るさにして、怯んだエルダーリッチの体に触れ、生命を吹き込んだ。骸骨だったリッチに皮膚、内臓、脳が、あるべきところに配置されて人間になっしまった。


「人間に戻った、この骸骨姿の生活ともおさらばだ。ここは寒い。早く街に行っていっぱい呑んで温まらないと。このローブはお嬢ちゃんにあげる。洗濯をしなくてもいつも清潔な魔法のローブ」


「エルダーさん、その前に服を着て下さい。見えています」


「それは良い、人生をやり直しするぞ」と言って一回奥に引っ込んで、おそらく冒険者の時代の服を着て、「お嬢ちゃん世話になった。どこかで会ったら食事でも奢るから」と言って去って行った。安穏な生活に飽きていたみたい。


 その後はゾンビが襲って来た。腐敗臭で目が回ったけど、ファイアボルトで浄化した。グールも襲って来たけど、シールドで阻んだ。その後ファイアボルトで浄化した。


 最奥の部屋に入ったらそこは冥府の宮殿だった。


「エマ、お疲れ様」

「ここが私の屋敷だ、ゆっくり寛ぎたまえ」


「エマ、ここで出される冥府の飲食物を飲み食いすると冥府から出られなくなる」


「イアソー、どうしてそう言い悪意のある事を言うかなあ、冥府を出る時に私の許可が必要になるだけじゃないか」


「私はハーデス。冥府の主人にして黄泉よみの国を死者の国をべるもの」

「ハーデスには豊穣と言う意味もある」

「ハーデスの都を死の都と言うのは間違い、豊穣の都が正しい」


 豆知識をハーデス様は教えてくれた。


「そろそろイアソーここに戻って来ないかい、その子も守れたわけだし」


「ハーデス、すまないがもう少し時間が必要になる、この子の母親はもう一度必ずやって来る。おそらくこの子はその運命を受け入れる、それに戻るなら冥府ではなく、天界に戻るつもりだ。すまない」


「イアソー様、母上はまた私を襲って来ますでしょうか?」


「母親の生命をあの場で奪わなかった代償は高くつくと思った方がいい」


 無理だって母上の生命を奪うくらいなら私が死ぬ方が良い。私は母上に愛して貰いたかった。おそらく死に戻っているのもこの気持ちが強いからだと思う。


「エマ、今回はお前の母親はお前を絶対に殺すくらい憎んでいるのだから、それで満足するしかない。魔力が回復すれば、お前の父親、弟や妹に被害が出る」


「時間は掛かるが母親の魔力はそこそこ戻る、エマが家族を愛しているのがはっきりした以上、狙いは家族、最後にお前を殺すだろうよ」


 私と母上とどうしても和解は出来ないのだろうか?


「イアソー、このダンジョンだが、お前たちのせいで、死者が半分以下になってしまった。悪いが、霊廟にいる死者たちを起こしてやってほしい、それが終われば、私がお前たちを外に送り出す」




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