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6歳で高等部

2度目の高等部です

 6歳で高等部に飛び級をした。バイエルン家初の快挙を私は成し遂げた。この後初等部から二人の弟が飛び級で大学に行くのでこの記録は早晩塗り替えられる。それがわかっているから、まったく嬉しくない。父上は大喜び、母上は気味が悪いもの、魑魅魍魎(ちみもうりょう)でも見るかの様に距離をとって私を見つめていた。


 校長はちゃんと監視していたのは確か。私の実力を見抜いての飛び級だと思う。私の予定表では幼稚部本科1年間無双、初等部3年間無双、中等部4年間そこそこ上位、高等部3年間平均点をウロウロして大学に入れるかどうかは運しだいだった。6歳で高等部の平均点が取れたら、凄い事だと思う。見た目は6歳中身は16歳の私。


 父上主催で私の進級祝いをやっているのだけど、兄上、姉上の視線が痛い。出来の悪い妹が飛び級だもの祝う気持ちはないのは分かる。よく分かるけども、貴族なんだから隠さないといけないと思う。常日頃から貴族の在り方を言っていた二人なのだから。


 兄上も姉上もこの後生まれて来る本物の天才たちに心が折れる訳だけどね。母上に無理矢理作られた紛い物(まがいもの)の天才のメッキはすぐに剥げる。私で慣れておけば、もしかしたらそれほど落ち込まなくても良いかもしれない。


 居心地が悪いので、父上がしばらく屋敷にいるように言われたけど、私は、母上から放り出された身なのですぐに寮に戻りたい。高等部の寮にだけど。同室の子は嫌がるかなあ。前の私は侯爵の娘って事でグループを組んで威張り散らしていた。今回はそう言うのはやめて大人しく高等部の図書室でガーデニングと魔道具の本でも読み漁るつもり。


 弁護士のローレンスさんが私の進級祝い来ているので、事務所を訪問するアポを母上に見つからない様に取っておきたい。高等部を卒業したら屋敷には戻らないつもり。ローレンスさんと相談がしたい。まさか9歳で独り立ちとは思ってもみなかった。本当に大変、気が重い。


 予科の寮から高等部の寮に引っ越す際、ブレンダが「お前は何者だよ」って言って来たので、「私はエマ覚えておいてね」

「覚えておいてやる、すげえ奴なのに超劣等生さんよ」

「ありがとう、ブレンダ」寮長のエメラルダも「思った通りです、私たちとは違うって感じてました」

「お世話になった、ありがとう、エメラルダ」「私は自分の役割を果たしただけです。高等部でのご活躍期待してます」

「それは期待しないでほしい」


 勝手知ったる高等部なので寮に赴いて、寮監に名前を告げ案内してもらった。6歳の女の子が一人で来ているのに不審がられることもなかった。けれども、周囲からの好奇の視線は痛かった。


 部屋に入ると、突然抱きつかれた。

「可愛い、お人形みたい」

「可愛くもないし、人形でもありません」

「私はあなたのルームメイトのミカサ・フォン・ヤパンです。よろしくね」

「私はエマ・フォン・バイエルンです。こちらこそよろしくお願いします」

「エマ、私のことはお姉さまと呼んでね。年上だから」

「承知しました。お姉さま」

「可愛い」と言われてまた抱きしめられた。


 後日聞いた話では私のルームメイトを決める際候補者の幾人が体育館の裏でバトルを展開し、体育館が半壊したそうだ。私にはそこまでの価値はないと思うのだけど。

 ミカサはこちらの国では珍しい黒髪と茶色の目をしている。顔立ちは、はっきりしているので、ミカサの方が可愛いと思う。


 私にとっては2度目の高等部なので、案内なしで教室を移動をしていたのでかなり不思議がられた。知っているのに、わざわざ尋ねるって面倒だし。そうは言っても勝手に手を繋がれて連れて行かれる事は度々あった。私は女生徒のマスコットガールになっていた。


 講義は前の私以上によく理解できた。特に防御魔法を熱心に聴講していたので、講師に可愛がられて、個人レッスンも受けられることになった。もちろんレッスン料は支払う。ローレンスさんに連絡して講師の先生に支払ってもらうことにした。母上に知られるとこの話は潰れると思う。


 レッスンはハードで私がシールドを張って、先生がファイアボルトを放つ。シールドには問題はなかったが、ファイヤボルトが当たった衝撃で何度も私が吹っ飛ばされるのには参った。体が小さいことの有利な点は、小さいシールドを何枚も重ねて張れること。不利な点は、私は軽いのでシールドごと後ろに吹っ飛ばされるのでカウンター攻撃が難しいこと。

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― 新着の感想 ―
[良い点] テンポの良い言い回しと、確かな文章力を感じました。 まだ読み始めたばかりですが楽しんで読ませて頂きます。
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