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決闘

 参ったな。バイエルン家の人間の特徴としてともかく、豊富な魔力があるのでバカスカ攻撃魔法をぶっ放して、力技でねじ伏せる。攻撃こそ最大の防御が信条のお家柄なので、相手がどうなろうが知ったことじゃない。つまり早い話が初めから相手をぶっ殺す事に振り切った魔法スタイルと言うこと。先生には失礼だと思うけれども、男爵家はそれほど魔力量が多くはない。魔法量を計算した緻密な魔法スタイルだと思う。ゴーモン先生に問題があると言うより、母上にかなり問題があるので、我が家の攻撃スタイルで先生を攻撃するのはとても躊躇われる。よし、決めた魔法は最低限で防御優先。体術で先生を倒す事にした。


 エンドラなら初手から特大のファイヤボルトをぶっ放してくるはずなのに、一切魔法攻撃を放って来ない。ちょこまかと逃げ回っているだけ。この娘本気でやる気があるのか? ウインドカット追尾型を放ったが防御にウインドカットを放って相打ちにして消された。正確に言うと私の魔法が打ち負けた。エンドラの娘は私同様に風魔法使いなのがわかる。手加減されていると思うと本当に惨めな気分になる。マア自信がなければ挑んで来ないか。このまま持久戦になれば、私が魔力量で明らかに不利になる。おそらく私の魔力切れ狙いか。エンドラもいつも私の魔力量を少ないわねと笑っていたな。だったら見せてやるよ。ああーー侯爵の娘を殺したら、うちの家は潰されるな。父上様、母上様申し訳ございません。ウインドスクエアプラス・ワン、上下三枚の風の刃と左右一枚づつの風の刃左右上下どちらに逃げてもキル。私は放った。これで終わりだ。この娘真っ直ぐに突っ込んで来る。バカなの!


 私は真っ直ぐに風の刃に向けて突っ込んだ。軽くジャンプして、唖然としている先生のお腹に手を置いてチェックメイトとコールした。

「先生の魔法って美しいですね、緻密な計算がされていて、たぶんこの小さな体でなければ、斬られてました」

「あなた、刃と刃の間を抜けたの」

「はい、抜けました。先生の刃は一切ブレないので安心して飛び込む事が出来ました」

「あなたはバカなの」

「おそらくそう思います」

「あなた、エンドラと戦い方が違うわね」

「我が家の戦い方は美しくありません。はっきり言って雑です」

「エンドラの魔法って美しくないわね」

「私もそう思います」

「あなた、エンドラに嫌われているでしょう」

「その通りです」


 先生は大笑いしだした。「エンドラの魔法は雑で美しくない、なんて素敵な言葉なんでしょう」と言って笑い続けながら校庭から職員室に戻って行った。


 誰も止めに来なかったので、父上も大した事がないなあと私は思ってしまった。最後の先生の魔法は明らかに私を殺すつもりの魔法だったのに。本当に危なかった。大人の体だったら真っ二つになっていた。


 次の日、私はいつも通り校庭を走っていた。噂では礼儀作法がまったく出来ないので、毎日校庭を走らされている事になっていた。私は超が付く劣等生と呼ばれてバカにされている。ゴーモン先生のクラスから子どもの悲鳴はその日以降聞こえなくなった。私だけが損をしたかもって思ってしまった。私ってやはり本質は変わってない。器はそれなりにしかない。


 予科が終了して本科に上がる日の前日、校長に呼び出された。「エマ、あなたは飛び級で高等部に進むことになりました。以上です」

 予科から飛び級で高等部はあり得ないだろう。ウチの弟二人は飛び級で初等部から大学に行ったけど、あれは天才。私は見た目は5歳中身は15歳なのでそれで良いのか。これでまた学校で平均点をウロウロする事になると思うと嫌になる。もう少し無双がしたかったよ。

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