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執事長の暗躍

 執事長は毎日、毎日ご苦労な事にヒ素を盛り続けていたが、ミラルダ夫人に何も起こらなかったので、ヒ素作戦は中止された。執事長の顔色が悪くなっただけだった。けっこうな量のヒ素を吸いこんだみたい。


 私は執事長に私の使い魔をくっつけた。


 執事長はとっても柄の悪い人たちと会っていた。


「ミラルダ夫人は次の日曜日に友人の所にお茶会に出席する、途中、林を通る。護衛は私の直属の部下に変えておくので、抵抗はないはず。念のため御者も私の息のかかった者に変更しておく」


「礼金は金貨100枚、成功すれば更に金貨100枚」


「成功すれば金貨200枚なら受けても良いぜ」

「あまり人の足元を見ると、永遠に眠る事になる」

「じゃあ、150枚」

「130だ」

「わかった、次も仕事をよろしくな」

「物分かりが良くて結構だ」


 次の日曜日に襲撃される。襲撃される場所は林の中。護衛は逃げるかまたは襲撃に加わるかも。御者は襲撃が成功する様に襲撃者にわざと近づくはず。


 御者さんには林には入る前に眠ってもらった。後は人形ゴーレムの御者にお任せ。

 護衛は執事長に報告されるとまずいので、空間に開けた穴に放り込んだ。後は自力で何とかしてほしい。


 襲撃者のみなさんがやって来た。


「止まれ」と叫んでいた。

 馬車は止まらない。襲撃者のリーダーさんは怪訝そうな顔になっている。想定外だものね。


 弓矢が飛んで来たけど、なぜか当たらない。馬車に飛び移ろうとしたらなぜか弾かれて突然空いた穴に吸い込まれた。


「魔法使いがいるぞ」と別に言わなくても良いのに、襲撃者さんたちは逃げに入った。気付くのが遅かった。逃げた先には大穴が開いていてみんな吸い込まれた。頑張って自力で出て来てほしい。私は知らない。


「御者さん、屋敷に戻ったら、護衛は林の中に入って戻っては来なかったと執事長には言う様に、何事も起こらなかった」と執事長に報告してねとお願いした。


 御者さんには悪いけれど裏切られたら困るので、毒蛇の幻影を御者さんの首に巻き付けて消した。一応首が冷んやりする細工をして裏切ると毒蛇が御者さんの首を噛むので気を付けてねと言っておいた。御者さんはものすごい勢いで首を縦に振っていた。


 ミラルダ夫人のお友だちのお茶会に参加した。お庭は雪山を借景にして左右対象に低木の木々を配置して形をスクエアにして緑と山肌の黒さに雪の白さで見事なお庭だった。ずっと眺めていたかったのに、ミラルダ夫人が私の事をこんなに小さいのに銀プレートの冒険者って紹介したので、色々聞かれた。ダンジョンには不思議な植物がいる話とかの食い付きは凄かった。


 次回のお茶会にも私は出席することをミラルダ夫人が私の了承なく約束していた。私がミラルダ夫人との護衛契約ってあと一週間しかないのにどうするのか?



「どいつもこいつも役立たずが」と執事長は繰り返し言う。

 執事長は自らミラルダ夫人を殺害するつもりだ。短剣一振りとヒュドラーの毒を用意をし、短剣にヒュドラーの毒を塗っていた。


 ミラルダ夫人が明日まで生きていられると執事長も困るわけで、必死になっている。


 ミラルダ夫人には別室に移ってもらった。私はミラルダ夫人の部屋で待機。


 執事長は一切の躊躇(ためら)いなくベッドに向かって短剣で刺した。


「執事長さん、ミラルダ夫人はここにはいませんけど」と私は声をかけて部屋に灯りを着けた。


 ギョッとした顔の執事長は私に向かって来たので、床をポコって盛り上げたら、見事に転倒して短剣で自分の腕を切っていた。意外に役に立った土ボコ魔法。私が唯一出来る土魔法。


 私はミラルダ夫人を呼んですぐに医師を呼ぶ様にお願いした。執事長には死んでほしくはなかった。主犯が逃げてしまうから。


 医者と一緒にミラルダ夫人の夫もやって来た。ミラルダ夫人の夫は医者をなかなか屋敷に入れようとしなかった様で医者が怒っていた。


「ヒュドラーの毒が短剣に塗ってあるので、瀉血(しゃけつ)はしてみますが、手遅れかもしれません」と言ってミラルダ夫人の夫を睨んでいた。


 執事長はヒュドラーの毒が全身に回って助からなかった。司法官に、ミラルダ夫人殺害未遂事件として届けを出した。なぜか司法官が出張って来た。そりゃあ疑うでしょうよね。夫の事を。


 司法官に、妻を殺害しようとして失敗し、誤ってヒュドラーの毒を塗った短剣で腕を傷つけて死んだと、ミラルダ夫人の夫はそう繰り返し主張していた。

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