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医学部受験、エマの仲間たちのその後

 ダイキチさんが「エマはもしかしたら医学部に合格するかもな」と言ってくれるようになった。マア、レクターの教科書の出来が良すぎるので、他の子よりももの凄く有利だから。


 ダイキチさんが「今は内乱中だから医学部に合格した途端に戦地に行って実地訓練させられるかもしれない」とかなり不安な事を言ってくれた。大学に行っても講義は行われていないらしい。教える教授が戦地に駆り出されてる。下手をすると六年の履修課程が二年で一人前として認定されるかも。この国の医者不足は深刻な様だ。


 来年受験して合格したら即座に戦地に行くのって兵士になったのと一緒じゃないのか。医官なので、軍隊では将校待遇らしいけど。私って治癒魔法が本当に使えないので、治癒のポーションの増産に励もう。一応、鼻は摘まなくても飲める様にはポーションは改良した。後味が悪いのは、効果を優先したので変えていない。飲み易いけど効かない薬は売りたくないもの。


 九歳で戦地ってマズくないですか? 私の場合、古代ダンジョンから生還した勇者なので問題ないのかもだが。


 ヴィクターとウエルテルは、周囲に流される事なく、魔道具開発に励んでいる。

 マリアは両親から帰国命令が出て泣く泣く帰って行った。マリアの場合は自業自得だ。古代ダンジョンに潜っていかに自分が活躍したのかを両親宛ての手紙に書いたのだから。


 ニコラは力で相手を倒するより、傷ついた同胞を癒す事に目覚めた。ベテランヒーラーについて現在は修行中。修行が終われば師匠と一緒に戦場に行くそうだ。


 問題はヒノモトの国王陛下から何度も帰国命令が出ているのに、未だに帰国しないミカサだ。さすがにカオリさんも説得しているけれども、この目で内乱をじっくり見たいと言う姫君に押し切られて硬直状態に突入している。


 カオリさんは私の所にまでやって来た。一緒にヒノモトに来てほしいと懇願された。私は儀式に呼ばれる時以外はヒノモトには行かないと即答したら、ヒノモトで得た医師の免許はこちらの国でも医師として認めさせたので、どうしても一緒に来てほしいと言われた。どうも私はヒノモトの医学部に入学する段取りが出来ているみたい。後はうちの国王が、命令を出せば良くなっている。まずい追い詰められている。


 ローレンスさんに相談したら、「君がこの国にいるとややこしくなるので、他国に行ってほしい」と言われてしまった。「すべて私が原因ですか」と言うと、はっきりそうだと答えたローレンスさん。かなりストレスが溜まっているご様子だ。


 ローレンスさんの親友がトリアステと言う国にいる。その国は園芸が盛んな国なのでエマには良いかもと言う。それならそうと早く言ってほしかった。私はみんなに内緒で庭園の国トリアステに行く準備をしている。


 早朝、誰にも気づかれずに寮を出た。しばらく歩いて周囲を確認してから、ローレンスさんが用意した馬車に乗って一路庭園の国トリアステに向かった。後日、ミカサがローレンスさんを問い詰めて私がトリアステに行ってことを聞き出して、やって来るのだが。


 馬車の旅も良いものだ。話し相手がいないのは少し寂しいけれど。御者は人形ゴーレムだし、馬もゴーレム。休憩する必要はないのだが、私が疲れるので、二時間に一回は休憩を入れている。ユーステアス街道と言う大きな街道なので、内乱中とは言え安全なはずだった。しかし街道沿いの街並みは、みな薄汚れていた。


 野宿は嫌なので、その街ではそこそこ高級な宿屋に泊まる事にした。馬車は私のポケットに入るくらいの大きさにしてしまう。こう言い時、魔法の馬車は便利だ。もっとも豊富な魔力量がないといけないので普通の魔法使いには無理なんだけど。


 宿屋で、泊まりたいと言ったら宿屋の主人に追い出されかけた。何となくそこそこ大きな火球を宿屋の主人の前に出したら、「どうぞお泊まり下さい」と態度が急変した。料金は一泊金貨一枚ですと言われたので支払った。相場は銀貨一枚だったらしい。やられた。商売をする上で相場はしっかり調べておかないといけないと心のメモに刻んだ。ちなみに食事は別料金だと言うので、冒険者ギルドがやっている酒場で食事をする事にした。


 酒場に幼女が入って来ても誰も気にしない。自己中の極みを行くと言う冒険者らしいと感心したのだが、単に私の背が低くて見えなかっただけだったみたい。


「ご注文は何にしますか、それとお食事の料金は先払いです」とお姉さんが注文を取りに来た。

「今日のお勧めで、お願いします。それとリンゴジュースをお願いします」

「銀貨一枚です」

 しばらく待つと、鶏肉をソテーしたものと付け合せの野菜と固いパンとスープとリンゴジュースが運ばれて来た。少し私にはしょっぱい。冒険者のみなさんって肉体労働だから塩分は必要だよね。お水は銀貨1枚の中に含まれているそうでお代わりは自由だった。


 食事中、あんまり高そうではない装備を着た男の子たち数人が私のテーブルにやって来た。私に奢れと言う。

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