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古代ダンジョンに潜るその4

「カオリ、料理の過程はヴィクター以外には見せないように」

「お嬢様、お任せ下さい」

 ヴィクターはカオリさんの助手をしている。時々メモを取っていた。さすがうちの部の料理長だけのことはある。


「天ぷらが揚がりました。熱いうちにこのソースにつけてお食べ下さい」カオリさんが一つのお皿に色々と油で揚げたものを持って来た。各自それぞれソースが注いであった。透き通ってる。お醤油を薄めたものだろうか? 味がさっぱりしてる。


 この内のどれかがカエル。どれだろうできれば食べたくない。この串に刺さっているのにした。鶏肉だった。緑色は避けておこう。ニコラが躊躇ためらいがちにその緑の何かを手に取った。「これはピーマンですね、たぶんこの穴の空いているのは蓮根でしょうか?」


どれも美味しいので食が進んで仕方がない。カエルは使わなかたのだろうか。お腹がいっぱいになった。


 一番カエル好きなのはエマでしたと、食後ヴィクターが発表した。一人一本で揚げたのですが、エマはその内三本を食べてしまいました。


「ウソよ、私は鶏肉狙いだったはず。ごめんなさいです。でもカエルは食べてないはず」

「エマ、カエルの天ぷらは鶏肉の味に近い、美味しかっただろう」ミカサが笑った。

「エマが食べたせいで私は食べられなかった」


「調理方法さえわかればこれからいくらでも作れる」とヴィクターは喜んでいた。


 カオリさんとヴィクターは昆虫の(さなぎ)も天ぷらにしていたが、それを一番食べたのはニコラだった。これは二人だけの秘密にしたらしい。なぜそれを私が知っているかと言えば、ヴィクターに食べたらジワーと濃厚な味だったのって何だったのって聞いたら、秘密だよって言いながらすぐに教えてくれた。私は何でも食べられる子になった。それと今後は食材について聞かないことにしようと思った。


 交代で見張りについた。カエルの合唱を聞きながらよく眠れた。幻想の沼地の次へ何だろう。朝食を食べてすぐに次の階層に向かった。


 その階層は上を見上げると星空だった。朝食を食べたらすぐに夜って、体の調子がおかしくなってしまう。


 夜行性の魔物、たいてい魔物って夜行性なのだが、カオリさんがスパッと両断していた。カオリさんが魔法を使う度に光が見えた。カオリさんは珍しい光の魔法使いなのだろうか?


「ここはこの世ならざる者が多い、おそらくアンデットの世界だと思う、赤い月があそこにある、日の光が永遠にやって来ない、アンデットたちの楽園だな」


「今のところは普通の魔物としか出会ってないのだけど」


「エマ、感じないか、私たちの周りすべてに悪意がこもったモヤがあるのを」

「ミカサお姉様、確かに悪意を感じます」


 ミカサはみんなを集めた。「この階層主はおそらく、エルダーリッチか吸血鬼あたりだと思う。物理攻撃は無効化される。つまり、魔道具は役に立たない。土壁はあっさり通り抜けられる。そして、今、話していることは相手も聞いている。つまり作戦が立てられない。それと精神に干渉してくるのは間違いない。幻想の沼の強化バージョンだと思えば良い。対策は一つ自分の心をしっかり持つことのみ。悲しい過去を再体験させられるだろう。その辛さに勝たないと現実には戻れない。過去に囚われていては一歩も前に進めなくなる」


「私からの助言は以上だ、みんなの健闘を祈る」


 ミカサとカオリさんを除いた、私たち五人は青ざめた。私の魔法は物理攻撃の魔法、ウインドミルもファイアボルトも効果がないとなると、どうやって倒せば良いと言うのか?魔道具使いの二人はお互いを見つめあっている。マリアは頭を抱えている。ニコラはどうしたら良いのか途方にくれていた。敵に聞かれているのがわかっているので誰にも相談が出来ない。


 モヤが少しづつ濃くなって来た。アンデットのみなさんの嬉しくない訪問が近い。スケルトンの軍団がやって来た。私はファイアボルトを放った。多少は数が減ったかなと思う程度には減らせた。


 マリアは土の壁を築いてスケルトンの侵攻を遅らせた。ミサカとカオリさんは動かない。ニコラが私に魔力をトランスファーをする様に言ってきた。何か思いついたのだろうか? ヴィクターは爆砕魔道具を取り出したけれどもまったく数が足りない。ともかくスケルトンが多過ぎる。ウエルテルは目をつぶっている。既に現実逃避モードに入ったのか。


「ヴィクター、僕はスケルトンの数を減らす。討ちもらしたヤツらの始末をお願いする」

「ああ、無理はするなよ。お互い魔力量が少ないのだから」


 ウエルテルがマリアの土壁を乗り越えて来たスケルトンの前に立った。ヤられると思ったら、スケルトンの方が粉々に粉砕されていた。


「ウエルテルは空間切断の使い手、なかなか見事だ」



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