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廃墟巡りその2

 ヴィクターとウエルテルが廃墟の中を探りに中に入った。外から見てもその廃墟にはゴブリンが出入りしていた。


「ゴブリンは百匹程度、問題なのは人間の女の子がいた」とヴィクター

「僕の魔道具は使えない」とウエルテル

「そっか私が先頭で入ろうか?」ミカサが軽く言った。

「女の子を人質に取られているので迂闊(うかつ)には入れない」とヴィクター


「私が(おとり)になってゴブリンを引きつけるから」

「待ってエマ、私も一緒に(おとり)になればよりたくさんのゴブリンを引きつけられるし、土魔法で大穴に落として埋めるから後片付けも簡単」マリアはけっこうエグいことを考えてる。


「僕たちが女の子を救出するので、ミカサさんは巣にいるゴブリンをお願いします」

「ちょっと待ってください。私は見てるだけですか?」

「ニコラには治癒のポーションで助けた女の子の介抱をお願いするわ」

「エマ様ありがとうございます」


 私とマリアで洞窟の入口からわざと音をたてながら中に入った、見張りのゴブリンに火球をぶつけて怒らせて、騒ぎたてさせた。洞窟の奥からワラワラと30匹程度のゴブリンが釣れたけど、もう少し出て来てほしいので、前には進めない程度の火球をゴブリンに当てながらゆっくり洞窟の外に出た。まあ、40、50匹のゴブリンを洞窟から引っ張り出して、私たちはゴブリンたちがすぐには巣穴に戻れない距離まで逃げた。


 ミカサは1人で洞窟に入って残っているゴブリンの目を引きつけた。その間にヴィクターとウエルテルとニコラは横穴から入って中で捕われている女の子たちを保護して洞窟の外に連れ出す予定だったが、誰も出てこない。


「ヴィクター、シールドで僕たちを囲って、僕は洞窟内を煙で充満させる」

「ミカサ先輩、僕たちは動けないので、洞窟内を煙で満たします、洞窟から出て下さい」とウエルテルが叫んだ。

「問題ない」とミカサ。


 洞窟の入口から猛烈な勢いで煙が出ている。これって作戦失敗なの。


「マリアお願い」

「了解、エマ」

 

 追いかけて来ていたゴブリンたちの足元の地面に大穴があいてゴブリンたちは悲鳴をあげながら落下していった。

「地面を元に戻してと」40匹、50匹のゴブリンは生き埋めにされた。


 私とマリアは洞窟に戻ったものの煙が凄くて入れない。出て来たゴブリンの始末を続けること30分、ミカサが何事もなかった様に洞窟から出て来た。

「捕まっていた女の子たちが動けなくて、Aプランは諦めてBプランに変更した」

「私たちは、そのBプランとやらを聞いてないのですけど」

「私とウエルテルとヴィクターとニコラで立てた、エマとマリアは洞窟の外だから間に合わないし」


 そう言う問題ではないと思うわけで、Bプランがあるのなら教えておいてほしいとマリアの顔を見たら、頷い(うなず)ていた。


「もう間も無く煙が薄れるので、洞窟の広間でヴィクターたちと合流する」

 

 洞窟の広間に着くとなぜかヴィクターが涙目になっていた。ニコラはウエルテルの側で意識のある女の子にゆっくりポーションを飲ませていた。なぜか女の子たちがウエルテルを囲んでいた。ヴィクター1人が仲間外れになっていた。

「ヴィクター、君ねシールドくらい均等に張れないと薄い部分から煙が入ってくる」

「申し訳ない、シールドで煙を防ぐのって頭になかったから、それにしてもウエルテルの煙魔道具は目にしみる。おっと思いついた! キャンプ用虫除け煙魔道具って出来ないかな」


 ヴィクターの魔道具バカは煙でむせながらも発揮できるんだ。こいつは凄い。


「みんなは女の子たちを洞窟の外に運んで、僕はしばらくここで後片付けをするので」と、ウエルテルは粗末な扉をチラッと見た。


「ウエルテル以外は女の子たちを外に運んで」と私は言ったものの私より体の大きな女の子たちを運ぶことはできず、応援だけした。ミカサは2人を抱えて颯爽と先頭を歩き、ヴィクターは1人の女の子を抱えてよろよろっと、ヴィクターはシールド魔法の練習と体力作りもしないとダメだと思う。


「エマ、この子たちどうするの?」

「ミカサお姉様、女の子たちの家族がいる所に送って行くつもりですけど」

「この子たちってゴブリンのオモチャにされたのにね」


「エマ、清浄の祝詞(のりと)の儀式をするので付き合ってくれるかなぁ」

「清浄の祝詞(のりと)って何ですの?」

「簡単に言うとこの子たちが汚された心身を浄める儀式、私の言う通り唱えてね」

祓え(はら)たまえカム、ながら浄めたまえカム、守りたまえ、さち、さきわえ」

 私も意味はわからないけど、ミカサと一緒に祝詞(のりと)を数度唱えた。

「よし、これでみんなについていた穢れ(けが)は取り除いた」


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