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校長からの課題

「君たちにはこれから実戦訓練をしてもらう予定にしている。そうだね、国中にある廃墟巡りと、国に3カ所ある古代のダンジョン探索。最後の試験は、君たちにとっては最悪の思い出になった雪山登山をしてもらう事にしている。今ならリタイアができる。ホーエル・バッハのみんなは二度と雪山には登りたくないだろうし。転校手続きは私が責任を持ってしてあげる」


 ホーエル・バッハの生徒たちは雪山と聞いた途端動揺が走った。ローレンスさんはホーエル・バッハの子たちをこの学校から追い出すつもりだ。


「雪山登山は前回の教訓から1班で行う。そのリーダーはエマ・フォン・バイエルン、サブリーダーはリーダーが任命する。これで安心だと私は思う」


 おいコラ、ローレンス、私が雪山のリーダーってどこが安心だよ。私には不安しかない。学校に戻ったら抗議しよう。


「ホーエル・バッハのみんなはご家族とよく相談して決めてください。転校の申し込み締め切りは来週の金曜日まで」


 ローレンスさんって本当に性格が悪い、ホーエル・バッハの親は子どもが雪山に登りたいと希望しても大反対で転校させるのに間違いないもの。無派閥の女の子たちに選択肢がないのはなぜだか分からない。女の子たちは気にしていない様だけど。


「エマ、ローレンス校長ってどう言う人なの」


 ミカサが卒業してからウエルテルは私をエマって言う様になった。ヴィクターは相変わらずエマさんて呼ぶけど。よっぽどミカサが怖かったのかも。


「一言で言えば性格が悪い」

「確かに」


「エマ、ローレンス校長ってエマとどう言う関係なのかな」

「そうね、私の財産の管理者と言うより私の後見人かしら。私、母上に憎まれているから。父上は母上には逆らえなかったし」


「ローレンス校長は僕たちの味方と考えて良いのかな」

「味方だと私は信じているわ」


「校長が出した課題だけど、誰かが死ぬかもしれない、たぶんエマ以外」

「全員にエマと同じ魔力量があるのが前提の課題。一流の冒険者でも受けない内容の課題を出すなんて正気じゃあない」


「雪山登山以前に、悪魔が居ると言う古代のダンジョンに生徒を入れるってどう言う神経なのか」


「ローレンス校長は魔法使いではなく本業は弁護士なので知らないのかもしれない」

「ホーエル・バッハの子たちは3年生からいなくなる、間違いない」


「廃墟巡りも古代ダンジョンも雪山登山も僕たちへの試練だと思う」

「問題は女の子2人。彼女たちには危険過ぎる」

「ウエルテル、私、ローレンス校長にお願いしてみる」


 校長室に行こうとしたらユング君が私を呼びに来た。ユング君と一緒に校長室に入ったら、ローレンスさんと女の子が2人中に居た。


「エマ、この子たちに課題の大変さを教えてあげてほしい」

「ローレンス校長、どう言う事ですか?」

「彼女たちにはレポートを提出すれば卒業できるって提案したのに、承諾してくれない」

「ニコラは貴族ではないので、受け入れ先の学校がない。マリアは留学生なので危険なところへは行かせられない」


 これは私とヴィクターとウエルテルの3人が受けないといけない試練で失敗すれば生命を落とす課題だと言う事にしよう。


「この課題は私たち3人の試練なの。ニコラもマリアも受ける必要がないわ。古代ダンジョンには悪魔が住んでいるの、私たちはそうした魔物を討伐に行くわけ」


「ご自分たちだけが、そんな楽しそうな事をして私たちはレポートの作成ですか? 納得がいきません」

「マリアさん、遊びじゃないの、ごめんなさい」


「私もマリアと一緒に課題に挑戦します。私は誰よりも強くなりたいのです」

「ニコラさん、死ぬかもよ」

「エマさんがリーダーなら誰も死にません」

 

 どうして誰もかれも私を過大評価するかなあ。


「ニコラさん、マリアさん、一週間よく考えて下さい」

「一週間後、魔道具回路研究部の部室に来て下さい、答えはそこで聞きます」


「ありがとうございます。エマさん」


 オイ2人とも答えは一週間後に聞くって言ってるだろう。


「ウエルテル、彼女たちを説得して、一緒について来るって言ってきかないの」

「私じゃあダメ、無理、ウエルテル、あなたにすべて任せた」


「エマ、丸投げは勘弁してよ」

「ウエルテル、任せた。以上」


 私は逃げる様にではなく、本当に逃げて寮に戻った。ミカサが居た。


「エマ、会いたかったよう」

「ミカサお姉様、なぜここに」

「船が出港したので浮遊魔法で手近な陸地に降りて歩いて来た」

「どうやって船から逃げて来たのかは聞いてません。なぜ外交問題になるのにここにいるのか?」

「何で外交問題になるのかな、私は今は行方不明中なんだから」


「ローレンス校長と相談してきます」


 私はローレンスさんに相談したら、ローレンスさんは肩を落として、「校長なんて引き受けなければ良かった」


「エマ、明日早朝、ミカサ王女を連れて、ヴィクターとウエルテルの4人で学校を出発すること、女の子2人には秘密」


「ミカサ王女には、エマが責任を持って帰国する様に説得すること。以上です」


 オイ、ローレンス、私に丸投げするな。絶対最後までミカサはついて来るから。


 もういいや、今日は早く寝ようっと。部室にたぶん二人ともいるから、明日の準備をする様に言えば良いや。もう寝ようっと。私は現実逃避モードに入った。


 翌朝、何で4人いるの。


「エマ、ごめん彼女たちに僕たちの動きを読まれていた」

「エマさん、女の子たちが僕たちを見張っているとは思わなかった。ごめん」


「みんな、廃墟巡りに行くわよ」と力なく私は言った。みんなワガママなんだから。





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