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暗殺者に罠を張る

 メイドのメアリーの両親の別荘に遊びに来ていた。近くには湖もあって船遊びの予定をしている。私はここで暗殺部隊に襲われる予定になっている。そのためにここにやって来た。私は(おとり)だ。暗殺部隊が私を襲う。その暗殺部隊をハンニバルの部隊が襲撃して殲滅(せんめつ)する事になっている。ハンニバルからは、自分の身は自分で守るようにと言われている。私もメアリーを巻き込んでいるので死ぬつもりはない。最悪メアリーだけは助けるつもりでいる。


 私には護衛は付かないはずだったが、父上が他領で諜報活動中の人を無理ここに寄越した。通称トムさんと言う。トムさんは自分は荒事がまったくダメなので、助けを呼ぶことくらいしか出来ないので、そのつもりでと、最初から護衛はしませんと言う。それならここに来るなよって思ってしまった。


 トムさんにボートを漕いでもらえたのは良かった。メアリーでは湖の中央に行く前に体力が尽きていたと思う。どうしよう何も起こらない。バレバレの罠だったかもしれないと思っていたら、突風が吹いて舟が転覆してしまった。トムさんが助けを呼んで来ると泳いで行ってしまう。さすが諜報部員、危ないと思ったらすぐに逃げる。


 私は泳げないのと、体に重りを巻いているのでどんどん沈んで行く。メアリーが私を助けようと潜ってきたので、水中で呼吸出来る魔道具をメアリーの口に突っ込んだ。


 湖底の近くにある横穴に入るようメアリーに合図した。メアリーは私を引っ張って横穴に入り、私は体に巻いた重りを外して水面に浮かび上がった。そこは空洞だった。1週間は生きていけるだけの食料と水が準備されていた。


 私は風魔法でメアリーと私の服を乾かした。

「助かった」

「お嬢様、一体何が起こったのでしょうか?」

「メアリー、事が落ち着いたら説明するのでそれまで何も尋ねず待っていてほしい、お願い」

 

 私たちが、上がって来た水面が少しづつ凍ってきている。アイゼンと言う人の魔力量は凄い。湖を完全に凍らせた。シールドで防御していても浮かび上がることが出来ずに、間違いなく私たちは死んでいた。


 アイゼンは湖、全体を凍らせるのに、魔力を溜めた魔石を40、50個使い、自分も魔力切れ寸前になっていた。そこに周辺からマジックアローが放たれてアイゼンは即死した。風魔法使いも背後から魔法のナイフで刺されて即死していた。見張り、連絡係の暗殺部隊の隊員も後ろから襲われて死亡した。


 トムさんは助けを呼ぶこともなく、やっと片付いたと笑顔になっていた所を背後から刺されて、笑顔のまま死んだ。全部で8名の人間が何者かに殺された。


 季節外れの湖の凍結で周辺は騒然となっている。また、バイエルン家の二女とお付きのメイドが行方不明になっており、湖を溶かそうとして炎の魔法使いが動員されて昼夜を問わず氷を溶かした。湖の中央に転覆した舟が凍りついていたことから、2人とも湖に転落し、その上湖が凍ったので湖で死んだはずと、エンドラの側近は、王城に居るエンドラに作戦成功の知らせを入れた。


 エンドラは領主(仮)に無駄な努力はするなと命じたが領主(仮)は命令を無視してエマたちの捜索にバイエルン家の私兵を動員した。


 私たちは、湖の氷が溶けると水中で呼吸出来る魔道具をくわえ、シールドでメアリーを保護しつつ夜間に湖より上がってハンニバルの部隊と合流した。


 この後、バイエルン家にいる母上の配下を一斉に逮捕して、拘禁する計画になっているので、私たちが行方不明になっている方が好都合だったからだ。


 ハンニバルは自ら指揮して母上の側近を逮捕、エンドラ配下の部隊長を逮捕、拘禁して、代わりに自分の配下を要職につけた。後に「ハンニバルの奇策」と呼ばれたクーデターを成功させた。バイエルン家の実権は幼少のハンニバルに移った。


 領主(仮)は、長男、長女、二女殺害の容疑で母上をバイエルン家に引き渡すように国王陛下に申し入れた。


 母上はバイエルン家を元の状態に戻すと言って、ただ一人バイエルン領に向かったが、一発のファイアボルトを撃つことなく拘束された。母上の魔法は大規模なので一発撃つのに時間がかかる。その時間を誰かカバーしないと容易に拘束出来るのが母上の弱点だった。魔力封じの手枷(てかせ)足枷(あしかせ)をはめられてバイエルン家に連行された。母上には、幽閉の塔で終身幽閉されるとの沙汰が領主(仮)から下された。


 母上は一言「養子の分際で」と言ったものの、側近が誰もおらず、誰も領主(仮)に異を唱えないので、不思議そうな顔をして幽閉の塔に連れて行かれたと言う。

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