ヒノモトの都観光
ミカサと私はカゴに乗ってカオリさんは歩いて都を観光なのだけど、カゴの窓は開けてはいけないって言われて、目的地に着くまでカゴの中の飾りをぼうっと眺めていた。私もカオリさんと一緒に歩きたい。
着きましたと言われてカゴを下りたら金で出来たお屋敷があった。屋根も壁もすべてが金。さすがは黄金の国って言われるだけの事はある。
「エマ、あれって木に薄い金箔を貼ってあるだけで、黄金で出来てるわけじゃないから」
金のお屋敷の中は木造建築だった。でも金箔を貼った扉とか、絵とかがたくさんあって、金箔と言ってもどれだけの金が使われているのか想像もできない。
カゴに乗って次に来たのは金箔で全身を覆われた巨大な神像の前だった。神像を守る様に巨大な大屋根と壁でできた建築物があった。木造でもこんな風に巨大な建築物ができるのか凄いと神像ではなく、神像を納める建物に圧倒された。
「エマ、何を見ているの」
「この木の組み方が、何で木がこう反るのがわかっていたんだろうって」ミカサは私が言っていることがわからなかった。
「元々この木は真っ直ぐだったはずなの。時間が経つとともに木が反ってきた、でもこの木組みはそれを計算してぴったりハマる様に仕上げてあるの」
「木の未来の姿を知っていたかの様で凄い」
「普通の人は金の神像が凄いって言うのに、エマはその神像を納めている建物に興味がいくのか」
私は植物が大好きなので、人と違った見方になると思う。ミカサの国はたくさんの木造の建築物があって、それぞれ特徴が違っていて、いくら見てても飽きない。
ミカサも呆れて「エマ、宮殿に戻る時間だから、さっさとカゴに乗って」急かし始めた。私はもう少しって何度も言っていた。最後はカオリさんに抱えられる様にしてカゴに乗せられた。筆記用具持って来なかった。失敗した。頭の中に焼き付けておかないと。
宮殿に戻ると、お食事の時間で、昨日は私とミカサだけの準備だったけど今日はテーブルも大きいし様子が違う。
「ミカサお姉様、今日は昨日よりテーブルが大きいみたいなんですけど」
「エマ、妹がエマに会いたいとわがままを言ったので、仕方ないので、父上と母上も一緒に食事をすることになった。妹も母上もエマの言葉はだいたいわかるから安心して良いよ」
私、晩餐会に出席できるようなドレスは持ってきてない。国王陛下のご家族と同席とか、私はどうすれば良いのだろう。
「エマ、顔が青くなってるけど、大丈夫かな。緊張しなくても大丈夫だから、2時間で終わるし」
国に帰ったら護身術だけではなく、礼儀作法もキチンと学ぶって決めた。ドレスは謁見の時に着たドレスしかない。もう一着持って来ておくべきだった。
晩餐会ではミカサの妹君が私のドレスに興味を持って、私もこう言う服を着てみたいとか、言ってくれたので、緊張感が多少取れた。
ミカサは国王陛下に似ているかな。妹君は王妃様によく似ている。食事はとても美味しかったと思う。緊張し過ぎて味がわからなかった。ミカサは、妹君も含めて一家で食事をするのはとっても久しぶりだと言う。私が同席していて良いのかと思ってしまった。私が主賓なのでいないと困るのだけれども。
王妃様がミカサにもう少し姫君らしくしなさいと怒られていた。私が調子に乗ってザッツ平原でのミカサの武勇伝を話してしまったから。
「ザッツ平原に行ったことは報告していなかったのに」とミカサに文句を言われたけど、王妃様の誘導尋問が上手すぎだ。
「鬼ってなんですの」
「オーガがトロールの再生能力を持っていてそして極めて賢い魔物かな。先日、五百人の兵士で討伐に行かせたけど、返り討ちにあってしまった。エマなら余裕でしょう」
ミカサもメンゲレ男爵も私を過大評価し過ぎだと思う。私は平凡な少女で将来は庭師兼業農家になるわけ。どうやって、五百人もの兵士を返り討ちにした魔物が討伐できると思うのか、本当に不思議だ。ミカサは手伝えないけど、カオリさんが一緒に行ってくれるので、かなり安心はできた。私はカオリさんのサポートに徹しようと思う。
「エマ様、私はエマ様の支援に回りますので、存分にご活躍ください」って先に言われた。