ヒノモトの国
外国だ。服が男女とも似ている。布地を巧みに縫って服にして帯びというもので前がはだけない様にしている。布地には金の糸が見事に刺繍されていて黄金の国だ。でも、家並みは木造で黄金では造られていなかった。
ミカサの迎えに馬車ではなく、人が担ぐカゴというものが来た。私も乗る様にと言われて乗ったけれど、けっこう揺れる。
かなりの時間をカゴの中で座っていたので、お尻が痛くなった。カゴが止まった。おりる様に言われたので、おりたら目の前に木造建築の立派なお屋敷と言うか、宮殿があった。
ミカサはいつの間にか「キモノ」に着替えて学校では見せない表情でしずしずと歩いていた。カオリさんもメイド服とは違う「キモノ」に着替えて後に付き従っていた。私は呆然と立ち尽くしていたら「エマ様、こちらへ」とカオリさんに招かれミカサの隣を歩く様に小声で教えられてミカサの歩く速度に合わせて歩いた。
部屋に通されるとテーブルと椅子が置かれていて座る様に言われた。私は自分の国の王宮にも入ったことはないし、私とは縁のないものと思っていたので、王族に対する礼儀作法に自信がない。どうしよう。
ミカサが部屋に入ってくると、「疲れた」と言ってため息をついてテーブルに突っ伏すしていた。カオリさんが笑ってそれを見ていた。部屋から一歩出ると貴族の目があるので、身分に応じた行動をしないといけないそうだ。国に帰ると疲れて仕方がないと愚痴をこぼしていた。
「エマ、明日、父上と会う予定になったから」
「ミカサの父上って王族ですよね」
「私の父は天子、国王ね、気楽にして、あなたは外国人だから、貴族もうるさいことは言わないから」
「カオリ先輩、お茶をいただけますか。もの凄く喉が渇いてきました」
「はい、すぐにお持ちします」カオリさん楽しんでるよね。
「ミカサってもしかしたら、王女様なの」
「そうだよ、言ってなかった」
「言ってなかった。王族の一人だとしか」
「王女って王族の一人だよね」
「そうだけど、王女が外国で勉強というのは私の国では考えられない」
「うちの国もそうだよ。私が初めてだから」
「明日、国王陛下に会うにしても、それに相応しいドレスを持ってきてないの、どうしよう」
「今、着てるドレスで良いよ」
お友達を連れて来たって言ったら、会いたいって言い出したの父上だから、言葉も父上は話せるから、全然心配ないよ」
私はカオリさんが持って来てくれたお茶を一気飲みしていた。
「エマ、これって想定外だから、父上って公務で多忙だから、娘の友達に会うって言うとは思わなかった。ごめん」
「エマ、本来は天子の前では正座って言う座り方だけど、エマには無理なので横座りで良いよ、気楽にしてね」
「無理です。絶対無理」と涙目で私は言っていた。カオリさんがお茶のお代わりを持って来てくれた。
「エマ、30分の我慢だから、謁見が終わったら、都を案内するから、気楽にいこう」
だから無理だって、私は自分の国の王族にも会ったことはないの。どうすれば良いのかまったくわからない。
「エマのお部屋に案内するね、私、部屋を出たら王女をしないといけないので」
私の泊まる部屋に通された。無駄に広い。百人は入る部屋に一人で寝るのって怖いし、この部屋の扉に鍵がない。ロックの魔法を掛けても扉みたいな物に紙が貼ってあるだけで、簡単に入って来られる。舎人って人が寝ずに番をしてくれるから大丈夫だと言われても不安でしかない。
食事の準備が出来たらカオリさんが呼びに来るので、それまでは受験勉強をして明日のことは忘れよう。レクターの要約した教科書を読みながら問題を解くことに没頭した。
夕食はミカサと二人で小さな器に色々とりどりに食べ物が盛り付けられていた。お野菜でお花を作っている。食べるのがもったいない。薄味だけど美味しい。お肉系がないのがちょっと寂しいかも。ミカサの食べ方って綺麗だ。私も見習わないとって思った。
国王陛下と謁見した。でも、なぜか国王陛下が座っていると思われる前にカーテンが掛かっていてお顔を見ることができない。声も聞こえない。私と国王陛下の間を仲介する人、通訳の人がいる。でも、国王陛下の意図と違った事をその人が言ったみたいで訂正を度々されていた。30分の予定のはずが、学校のこととか、ミカサの日常のこととか尋ねられて1時間を超えて、国王陛下のお付きの人が止めてくれてやっと謁見は終わった。おそらく、私は3キログラムは痩せたと思う。
「父上も心配性だよね、娘のプラバシーの侵害だ、都を案内するね、歩いて案内するのって私は出来ないのでカゴに乗ってだけど」