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ホーエル・バッハの使者

 国王とその側近のみが入れる部屋にくるようにと、侍従長が呼びにきた。


「クランツが言ったようにエマ殿の戴冠式は一週間後に行う。それを過ぎるとホーエル・バッハが王都に攻め込むそうだ」と疲れた表情でウイル国王が、私に向かって決定事項として報告した。


「エマ殿に連絡しようにも、聖女国に連絡してもエマ殿とは連絡がつかないところにいるので、伝えようがないと言われた。ホーエル・バッハの使者からはエマ殿が同席でなければ、予定通りの軍事行動を起こすのみと言うばかりだし、クランツは王都に火を放ち城を枕に討死だと嬉しそうに言うし、本当に困っていたのです」


 緊急時はツートンでと思っていたけど、私は帝都にほとんどいなかったし、知ったとしても動きが取れなかったと思う。


「戴冠式だが、ウエストランド、聖女国、バイエルン、ホーエル・バッハ、ヒノモト、イン国を招待しようと思っている」


「ウイル国王陛下、ムーラ帝国皇帝陛下も招待してください」


「エマ殿、国王陛下は不要です。ウイルで十分です。ムーラ帝国ですか? どこにあるのですか?」


「海底です」ウイルがフリーズした。


「ええっとそうですね。魔族支配領域から四天王さんも招待してください。それとですねドワーフ王国も招待しないと、ドワーフを呼ぶとエルフさんたちも呼ばないとダメですね。来るか来ないか分かりませんが天界の方々も招待しましょう」


 ウイルが再度フリーズした。大規模になり過ぎたかな。


 私の中では、女王就任式と大魔王就任式と皇后陛下(仮)の就任式を一回で終わらしてしまいたい。大混乱になっても、私の責任ではない。私の意思を無視して勝手に私を祭り上げたのだからどうなろうが知ったことではないもの。


 心配なのはヒノモトのミカサお姉様がアール君を暗殺しかねことくらい。アール君はまだ八歳なのですぐには手をくださいと思う。念のためアズサちゃんにアール君の護衛をお願いしておこう。



 ホーエル・バッハの使者さんに招待客の話をしたらウイル同様フリーズしてしまった。で、「それだけ大規模な戴冠式ですと一週間では絶対に無理があります。至急大公殿下と相談の上ホーエル・バッハも協力して戴冠式を成功させなければなりません」と宣言するやいなや謁見の間を飛び出しホーエル・バッハ大公国に戻って行った。


 ホーエル・バッハが国境付近に駐留していた兵は撤兵した。危機は去った。


 ホーエル・バッハがいなくなると、バイエルンの使者がやってきてバイエルンが総力を上げて戴冠式に協力すると約束するという。街には大工、石工などの職人が舞台の設営などを始めていた。後からやってきたホーエル・バッハの職人とトラブルばかり起こすので、私が「協力しないなら国に帰れ」と怒ったところ、小競り合いはあるもの大きなトラブルはなくなった。


 私は戴冠式で一体何着のドレスを着るのっていうくらいドレスの仮縫いに時間を取られている。


 招待客の方は天界からは首相、元大神様が参列するという返事が、王家と神々との直通回線がいつの間にか修理されていて一番に連絡があった。天界への招待状はイアソーさんにお願いしたので握りつぶされると思っていたのでびっくりだ。どうしよう。


 ドワーフ王国からは国王陛下自ら参加、エルフさんたちも対抗してエルフの長老たちが参加。魔族からは四天王さんと大臣の皆さんと王都特別治安維持部隊として魔族第四軍団が王都と王都周辺の警備にあたることになった。


 はっきり言うともうコントロールができないので、ともかく王都が戦場にならないよう、ゆきちゃんに「頑張ってね」とお願いしたらこうなった。


 今回の戴冠式の警備主任はゆきちゃんがする。問題が起こればゆきちゃん配下の魔族第四軍団が動くことになっている。ゆきちゃんには大ケガは見逃すけど、死者が出るのは許せないと釘を刺している。


 王都が戦場になりそうもないので、王都の住人が戻ってきた。王宮内も中小貴族が帰ってきたのと、ホーエル・バッハ、バイエルン、ウエストランドなどなどの貴族が戻ってきて往年の賑わいを見せている。


 それやこれやで大変な毎日になっているけど、アール皇帝陛下とレオニーさんとアズサちゃんと一緒に賢者レヴィ様との面会予約を弟子のルイス君にお願いした。ムーラ帝国皇帝の訪問だとも伝えてもらった。


「ムーラ帝国皇帝陛下、お初にお目にかかります。元ムーラ帝国政治顧問でございました。レヴィと申します」


「朕はアールである。さっそくだが賢者レヴィ殿、ムーラ帝国の政治顧問を再度お願いしたい」


「しかしながら、今、私はエマ様の臣下でございます」


「エマは朕の婚約者になった。問題ない」


「エマ様、どういうことでしょう?」なんか怒られそうな雰囲気だ。レヴィ様、ごめんなさい。私は考えなしの大馬鹿者です。

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