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教皇様救出

 ディアブロさんがかけた魔術式を読んでみた。これって神代の魔術式、古代ダンジョンで見た古代文字で書かれている。なのに私にはほとんど読めない。私も古代文字をかなり勉強して自信があったのだけど、さらに古い文字で書かれているみたい。



「教皇様、お時間をください」とお願いをした。


「エマ様にお任せする」という。教皇様ってめっちゃカッコいい。なんとなく父上に少し似ている気がする。これって初恋かしら。でも教皇様は結婚できないのだった。初恋がしぼんで行く。


 アズサちゃんが起きた。「あーヤバいまーた、飲みすぎて道端で寝てしまった。反省、反省」聖職者さんって飲酒は禁止なのでは? 異端審問官はストレスが多いから例外なのかしら。まあ良いけど。


「アズサ、体は大丈夫ですか?」


「エマ様、どうしてここにいらっしゃるのですか? 異端審問会議で私がエマ様がどれほど気高く、気品があってお優しい方だと力説したのに、誰も聞いてくれなくて、私、ついに我慢しきれなくなってエマ様は神の御使みつかい様だと言ったのに、逆に魔女だと断定されて処刑されることに決まってしまいました。本当に申し訳ございません」


「良いのよ。何の問題もありませんから」アズサちゃんが力説すればするほど、出席者は私が魔女だと思ったのに違いない。冷静なアズサちゃんを知っている人ほどアズサちゃんが魔法にかけられていると思うもの。


「エマ様、何をお持ちでしょうか? 私がお持ちいたします」と言ってアズサちゃんが虫かごに手を伸ばしたら、手が止まった。「教皇様と幹部の皆さまが虫かごに」


「アズサ、私がやったのではないのよ。私がお茶をしている時に運悪くね、教皇様たちがきてしまったら、こうなりました。ごめんなさい」と私は意味不明な謝罪をしていた。


「帝都に戻って冢宰ちょうさいと相談します。急ぎ帝都に戻ります。アズサも付いてきてください」


「承知しました。エマ様」とアズサちゃんは輝くような笑顔を私に向けてくれた。


 牢屋に入れられていた女の子たちは放ってはおけないので、帝都で保護することにして、ハヤテ丸に乗ってもらった。虫かごに入っている人の人数も入れると定員オーバーなんだけど。





 私は虫かごを持ってデルフォイさんにこの魔術式を解呪してほしいとお願いしている。


「ディアブロ先輩のかけた呪いを解くなんて、私には無理です。ディアブロ先輩は学校で常に一位、二位の実力者です。私は赤点ギリギリの凡才でした。この術式ですけど、トラップだらけで少しでも扱いを間違うと虫かごの中のものが消えます」


「この横棒の虫かごの鍵ですら極悪です。触れただけでその魔法使いの魔力を吸い尽くします」


「私は触ったけれど、弾かれただけでしたよ」


「エマ様は普通の魔法使いではありませんから」とデルフォイさんが何気に言う。私って人外で普通の魔法使いでもないのか。私って一体何者なのだろうか?


「デルフォイ、ディアブロさんは常に一位ではなかったのですよね」


「稀にイアソー先輩が一位になっておられました。ディアブロ先輩に所用があってイアソー先輩に毒をもらなかった時だけですけど」


「ディアブロさんてイアソーさんに毒ををもったの」


「ええ、毎回」


 とってもヤバい気配が近づいてくる。私、死んじゃうかも!


 ディアブロさんが登場した。「エマ様、デルフォイの言っていることは悪質なデマです」


「ディアブロ先輩、お言葉を返すようですが、どの悪魔も知っていることでございます。また悪魔としては当然のことで、毎回引っかかるイアソー先輩が悪いのです」


 そうなのか。悪魔界ではディアブロさんの行為は当然のことなのか。なんとなく理解できる。


「デルフォイ、君はイアソーを馬鹿だとでも思っているのか。イアソーは医術に長けており毒をもってもまったく問題がない。イアソーが腹を壊したのは拾い食いをしたためで、断じて毒ではない」


「ディアブロさん、すみません。お話の腰を折ってしまって、イアソーさんが拾い食いですか?」


「イアソーは食べ物を粗末に扱うのが大嫌いです。食べられるのに食べないのは、イアソーにとって最大の罪です。ですから私は、試験前にイアソーの周りに多量の食べ物をバラまきました」と何気に楽しそうに思い出し笑いをしているディアブロさんだった。


 やっぱりディアブロさんがやってたんかい。


「デルフォイ君、君にはまだ色々と話たいことがある。エマ様にデマを教えるとは私の君への教育が足りなかったようだ。私も反省しないといけないと思う。初めてこの私が反省したのだ、デルフォイ君覚悟は良いね」


 デルフォイさんはディアブロさんに引きづられて別室に連れて行かれた。デルフォイさんの生還を心から願う。

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