異端審問会議、エマ魔女認定される
異端審問会議から皇帝に通知が来ていた。婚約者(仮)を異端審問会議に引き渡せと言ってきた。
さまざまな幻術を駆使して異端審問官をも騙す幻術の魔女が私だそうだ。私は思わず異端審問会議のみんなありがとうって心の中でつぶやいた。この前デルフォイさんが顔が緩んでいると言われたので、頑張って悲しみの表情は作った。これで失意の乙女ポクなったと思う。私の顔が悪役顔でなければもっと効果的だったとは思うけど、こればかりはは仕方がない。
「エマ、心配ない。朕がエマを守る!」とアール君がキッパリ宣言をした。レオニーさんが嬉しそうにアール君を見ている。イヤ、皇帝と教会が争うわけなので喜んではいけないでしょう。本当に私は魔女だし。
「皇帝陛下、私、異端審問会議に参ります。何かの誤解でしょうから。皇帝陛下におかれましては、万一私が戻って来なかった時、よろしくお願いします」
「エマさん、私も一緒に行きましょうか?」
「ゆきちゃんが一緒だと別の問題が起こりそうだから、今回は良いよ」ゆきちゃんはアンデットだから、それがバレるのは極めてまずい。
私は異端審問会議が行われている海底都市に、自動操船モードのハヤテ丸で向かった。港に着くと、黒いローブを着た集団に取り囲まれて、私は即座に縄をうたれてしまう。
縄には魔力を封じるとかの力は付与されていない。大丈夫かな。これじゃあ本物の魔女は捕まえられないのにと、呑気に思ってしまった。
私はそのまま地下牢に放り込まれた。この牢屋も普通の牢屋だった。これって試験か何かだろうか? 魔法で縄を解いたり、牢屋の鍵を開けたら魔女決定ってことなんだろうか。まあしばらく様子をみようと思う。ゆきちゃんを置いてきて正解だったと思う。間違いなく争いになって何人かが病院送りになっていたと思うから。
私は放置されている。お水も食事も持って来ない。そういえば、帝国に初めてやってきた時も、放置されていたのを思い出した。お腹もすいたしもう良いや。
私は魔法使いだし、女だから魔女と言われても仕方ない。ということで縄を解いて、牢屋の鍵を開けて牢の外に出た。
他の牢屋には数人の女の子が入れられて、かなり衰弱している。私は医者として放置することはできなかった。どの女の子からも魔力がまったく感じられない。彼女たちが入れられている牢屋の鍵を開けて、体力回復の薬を飲ませてあげた。
「大丈夫ですか?」
「はい、なんとか生きています。でも、間も無く処刑されると思います」
「あなた、何をしたのかしら?」
「私は薬師でございます。お薬を作っておりましたら、魔女だと言われて牢屋に入れられてしまいました」
「私は占い師です。けっこう当たる占い師です。彼女と同様魔女だと言われて牢屋に入れられました。私の場合は同業者の嫉妬を買って、異端審問官に売られたのだと思います。異端審問官には月に何人の魔女を捕まえるというノルマが課されているのは、占い師業界では有名な話ですから」
魔女でなくても魔女として処刑する異端審問会議なのか。私の中で潰すことが決定した。魔女を処刑するなんて、一般人にできるわけないじゃないか。
「みんなはここにいて。皇帝陛下が助けてくれるから。安心してね」と私が言ったらみんなポカーンとした顔になってしまったけれど「はい、待っています」と言ってくれた。
地下牢から地上に上がろうとした時、初めて結界が張られていることに気が付いた。あまりにも微弱で気が付かなかったよ。
地下牢から地上に出たけど、誰もいない。広場に処刑台があったので、ウインドミルでバラバラにしておいた。かなり大きな音がしたので、人が集まると思う。
あちこちの建物からワラワラと黒いローブを着込んだ人たちが集まってきた。私はその人たちに囲まれはしたものの、誰も襲っては来なかった。この人たちって異端審問官ではないみたい。
ようやく、杖を持った異端審問官さんたち数人が私の前にやってきて、杖を銀の鎖に変えて、私を捕縛した。微弱な魔力が、銀の鎖を伝わってピリピリと、縄をうたれてコッタ肩に刺激を与えるので、かなりきもち良い。微弱な魔力は肩こりに効くのか。肩こり魔道具とメモをした。銀の鎖が持ち主のところに飛んで行って、持ち主を吹き飛ばしていた。私の責任ではない。使い方を間違えるとこういうことも起こるのか。注意書きと安全装置が必須とメモをしておいた。




