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クラーケンを捕獲するその6

 ゆきちゃんが見つけた魔物事典を読んでみた。私たちが狩ったサメもカニもかなり強い部類の魔物で、ハンターがチームを組んで時間をかけて狩る魔物らしい。ソロで出会った場合は即座に逃げることって書いてあった。


 クラーケンについては、これまたハンターがチームを組んで狩るらしい。しかも狩るまでに一週間程度はかかるらしい。また、脚の吸盤で船を捕らえられた場合は緊急脱出しないと船が押し潰される。特記としては再生能力があるので、再生能力を上回る攻撃を続けないといけないらしい。面倒くさい。


 この書店で海の魔物事典を銀貨一枚で購入した。私の感覚では挿絵も綺麗だし、内容もあるのでお買い得だと思う。帰りにハンター協会によって魔物の専門書を読ませてもらおうと思う。


 協会に寄って協会所蔵の本を読ませてもらった。魔物事典よりは多少詳しい程度だった。クラーケンの移動速度は速い。距離を取っているつもりでも、一気に距離を詰められて船ごと押し潰される。攻撃の基本パターンはヒット・アンド・アウェイだと書いてあった。参考になる。


 クラーケンのエラを扱っている業者にお金を握らせて尋ねたところ、クラーケンのエラは冷凍庫に保存しているストックから納品しているとのこと。ストックが減ってきたらクラーケン専門の業者に依頼を出して納品してもらっている。当然、業者がどこでクラーケンを獲っているのかはわからないと言われた。一応、業者の連絡先は聞けた。



 業者に尋ねても企業秘密だから絶対に教えてもらえないだろうし。仕方ないのでゆきちゃんにお願いしてクラーケンの目撃情報を集めてもらったところ、ある海域の近辺に集中している。



 アールとクラーケンを狩るのはそこで決定だけど、捕獲に適した小型、中型のクラーケンの住処を見つけるのは大変かもしれないと思ったら、「水の中のことならなぜ水の精霊に尋ねないのか」って水の精霊さんたちに叱られた。ということで、小型、中型のクラーケンの生息海域もわかった。


 精霊さんに感謝する。これを水の精霊さん限定で感謝すると毎夜、眠れられないくらいの口喧嘩が精霊さんの間で起こるのを私は学習した。それでも「私たちのお陰で感謝されたことは忘れないでね」と言わなくても良いことを言ってくれるので、感謝したその夜は眠れられない。面倒くさい。


 滞在七日目、協会からは何も言ってこない。私は、後、三日延泊することにした。八日目の昼、相変わらず協会から何も言ってこない、もう一度ホテルの延泊を考えないといけないかも。ホテルの食堂で昼食を取っていたら、ホテルの人が、電話とかいうのが入っているので、フロントまできてほしいとお願いされた。


 フロントに行くと、耳にあてると音声が聞こえる部分と話すとこちらの声が伝わる部分がバーで固定された魔道具? を渡された。


「はい、エマですけど」


「デルフォイです。皇帝陛下に代わりますので、少しお待ちください」


「アールです。エマ、変わりはないですか? なかなか戻って来ないから心配になって、協会に問い合わせをしたら、そこのホテルの電話番号を教えてくれました」


 弾んだ声のアール君です。


「早く戻るつもりだったのですが、船の修理が終わらなくて、すみません」


「魔物にやられたのですか?」かなり心配させている。声が震えている。


「ええとですね。お金をケチって中古の船を買ったら、ボロ船でして、協会長さんがこの船では帝都に戻せないと言われてしまい、協会が修理費を出してくれるそうなので、修理を依頼しました。それで帝都に戻るのが遅くなってます」


「よく、わかりました。私から協会に修理を急ぐようこの後電話をしておきます」そんなことをしたら、大変なことになるので止めてほしい。でも、善意の申し出なので断れない。



「ありがとうございます。感謝します」と心にもないことを言ってしまった。


「朕に任せるが良い」とアール君が元気になったので良いか。協会の皆様ごめんなさい。電話からデルフォイさんの声が聞こえてきた。


「エマ様、すみませんが、皇帝陛下はまだ喋り足りないみたいですが、勢いで秘密情報を話されると困りますので、電話を切らせてもらいます。すみません」と言って電話が切れた。


 この魔道具、絶対ほしい。手紙ではなく声が届けれられる。仕組みは単純みたいだし、ユータリアでも作れそう。



 



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