クラーケンを捕獲するその3
なんかぼったくられてる感がする。相場がわからないからなんとも言えないけど。
「中古の船を購入いたします」私たちは海底船がなくてもなんの問題もないのだけれど、魔物ハンター登録ができないのは困る。金貨一枚を払った。契約書にサインをして終わりかと思ったら。
「魚雷はどうされます。四本セットで金貨一枚です。バラ売りはしていません」魚雷はほしい。
「魚雷も頂きます」私は金貨一枚を支払った。
「これで魔物ハンターの登録は終わりましたが、まだ仮登録ですので海に出てなんでも良いので魔物を狩って、協会まで持ってきてください。それが終われば正式登録になります」
「購入された船までご案内しますので、私についてきてください」
船着場に案内された。私たちの船はハヤテ丸と言うらしい。
「この船がハヤテ丸です」ボロい。絶対にぼったくりだ。あちこち、ヒビが入っているのがはっきりわかる。
「修理が必要でしたら、金貨十枚から承っております」どう見ても修理が必要だろう。しないけど。
「はい、その節はよろしくお願いします」と私は笑顔をで答えた。担当の人はさっさとと協会に戻ってしまった。
「エマさん、この船動きますかね」私たちはハヤテ丸の中に入った。ふと思った。私もゆきちゃんも船なんて動かしたことがなかった。
「私たちって船の操船なんてできないですよね」
「はい、できません」操船ができたとしてもこのハヤテ丸だと海に出た途端水圧で潰れると思う。ハンターになるための必要経費と思うことにしよう。さて、魚雷はと思って船の中を探したら、箱に入った四本の小さな砲弾みたいな物を見つけた。箱に小型魚雷って書いた紙が貼ってあったので魚雷なのは間違いない。
「これがたぶん、魚雷の発射管ですね。ここに魚雷を入れて蓋をして、この後どうすのでしょうね?」
「わからない。帝都に戻ってからデルフォイさんにでも尋ねてみましょうか」
「エマさん、海の魔物ですけど、私、まったく海の魔物について知らないのですが」
「私もクラーケンしかわかりません。なんでも良いので魔物を狩れば良いので、それらしい生き物がいれば持って帰れば良いと思います」私たちにはどれが魔物かどうかの知識がない。今回は全部ハズレでも、二回目の挑戦で持って帰れば良いかとポジティブに考えた。
ハヤテ丸にシールドを二重にして、魔力で動かした。イグニッションキーとかいうのを回せば良いみたいなのだけど、回すとハヤテ丸が分解してしまいそうで、触らなかた。
海の中に出たものの真っ暗なのでライトニングで灯りを灯した。灯りを着けたら「なんかデカイのがきます」とゆきちゃんが言うなり船室を出て行った。
あれはサメだと思う。海の生物図鑑に載っていたのに似ている。ゆきちゃんが気持ち良さげに泳いでサメの側に行った。サメが大口開けてゆきちゃんを飲み込んだ。サメが苦しみだした。で、口からゆきちゃんを吐き出すと逃げ出した。ゆきちゃんはサメの尾ひれを掴んでぶん回して、海底にサメを叩きつけた。
サメの尾ひれを握ったまま、ゆきちゃんがハヤテ丸の甲板に戻ってきた。
「エマさん、この魚どうします?」
「ゆきちゃん、その前にゆきちゃんの服を風で乾かすから、そのままで」私はゆきちゃんの服を乾かした。次回は水着を持ってこないとダメかな。
「ハヤテ丸にサメをローブで繋ぐとハヤテ丸が壊れますね。サメをフライングボードに乗せてハヤテ丸の上に浮かせておきましょうか」
今度は大きなカニが灯りにつられて出てきた。ハサミをバキバキ言わせている。
「ゆきちゃん、今度は私が行きますね」カニに向けて中くらいのファイアボルトを撃ってみた。海中に出た途端、ファイアボルトの火が消えた。単なる魔力の塊がカニに命中。カニが慌てて海底に潜ろうとしたので、海底から水を吹き上げさせた。海中に浮かんでいるカニに向けて大きめのファイアボルトを撃ってみた。命中。カニは完全に動かなくなった。
カニもフライングボードに乗せてハヤテ丸の上に浮かべた。サメとカニだけでハヤテ丸の甲板はいっぱいになってしまった。
「ゆきちゃん、今回はダメだったみたい。仕方ないのでサメとカニを持って魔物ハンター協会に戻りましょうか。もしかしたら買ってくれるかもしれないし」




