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ムーラ帝国後見人争いその2

「デルフォイ、三百六十人ほど捕虜にしたのですがどうします?」


「契約魔術で縛ってこちら側の兵士にしたいです」


「皆さん、傾注」


「皆さんを皇帝軍に、皆さんが嫌がっても採用します。この契約書にサインしてください。魔術契約書なので偽名とか書くとこうなります」私は皮袋からリンゴを取り出して、宙に浮かして破裂させた。


「契約書の内容ですが、皇帝陛下、冢宰ちょうさい、エマ・フォン・バイエルン、その副官のゆきの命令に絶対服従です。命令の優先順位は今述べた通りの順番です。もし逆らった場合は先ほどのリンゴのようになります」


 二、三人が私の話を信じなかったみたいで、契約書に偽名を書いて破裂していた。私はちゃんと注意したので私の責任ではない。


 穴に落とした戦車をフライングボードで地上に上げた。けっこう重かった。その乗務員の人が修理してなんとか動くようにはなった。


 戦車に無理を言って乗せてもらったものの中は狭いし、座席には薄いクッションが貼ってあるだけ。しかも戦車が動くたびに私は反動で飛び上がって、固い座席にお尻をぶつけて痛かった。後で聞いたら座席ベルトをしないといけないと言われた。ちゃんと教えてほしかったよ。


 私のことが怖かったので言葉をかけられなかったみたい。まあ、この悪役顔では慣れないと、声は簡単にかけられないか。それにしてもお尻が痛い。



 後見人争いの方は相変わらず激しい。お互い潰しあっているので都合が良いけど。勝ち残って帝都に来た後見人候補の軍隊はゴーレムとゆきちゃんとその部隊で始末している。ライフル銃とか戦車とか大砲とか、たくさん鹵獲ろかく品ができてありがたい。


 アール皇帝陛下から一部の兵器を聖女国に持ち帰っても良いとの許可を得た。アール皇帝陛下から、「私的な場所では朕のことをアール」と呼ぶように言われた。それと「ユータリア王妃の職を解く」とか言われて私は困惑している。


 後でデルフォイに尋ねたら、アールが小声で「皇后に任ずる」と言ったらしい。王妃と皇后どっちが偉いのだろうか? とかどうでも良いことを考えていた。ふと、これってプロポーズなのかもと思ったら、初めてのことだったので顔が緩んでしまった。でも、歳下は好みではないのだけれど。アールは美形なのでその点はまったく問題がない。


 アールには弟って感じしかしない。実の弟が私以上の悪役顔なので、アールが弟だったら良いなあとは思った。


 後見人争いの方は、皇帝軍には悪魔の部隊がついているとの噂が流れて終わってしまった。もう少し武器がほしかった。残念だ。


 後見人争いが終わると、戦乱のあった各海底都市から、海底都市を覆うドームの修理の依頼が何件も入るようになった。


 デルフォイに尋ねたら、海底都市を覆うドームの修理は皇帝の仕事だと言う。問題は前皇帝が修理の技術スタッフを全員解雇したので修理ができない。今から技術スタッフを募集するにしても時間がかかる。


 各海底都市のドームの状況は危険というレベルで早急に修理が必要らしい。ヴィクターに相談したら応急処置で結界を張ってみたらと言う。


 ドラゴンの魔石を一つ細かく砕いて革袋に入れて、要請があった海底都市のドームを見に行った。


思わず「馬鹿なの」と言ってしまった。砲弾がドームにめり込んでいた。これは早急に修理しないとドームが海水の重みで潰されて都市が一つなくなってしまう。


 私は壊れたドームを覆うように結界を、ドラゴンの魔石を利用して張ってみた。しばらくはもちそう。これ以上のことは私にはできないので、後はエミル君に祈ってほしい。


「僕に祈られても困る」と久しぶりにエミル君の声が聞こえた。


 他の都市にも見に行ったけれども、あそこほどひどくはなかったけれども、一応結界は張っておいた。


 私は、第二班を連れてくるために一度聖女国に戻る。ヴィクターはスライムを使わない真水製造機の勉強、ダイキチさんはアールから各海底都市に入ることができる許可証をもらって、海底都市巡りをするらしい。羨ましい。ゆきちゃんは兵士の皆さんと訓練をするらしい。兵士の皆さんがとっても楽しみにしているのが謎だ。ゆきちゃんとの訓練って大変だと思う。ゆきちゃんって疲れないから。


 聖女国に私は戻って、アールからもらった武器を研究してほしいとミーアさんにお願いした。ミーアさんは戦車に興味津々だった。


 馬が引かずに自力で移動する乗り物ってユータリアでは初めての乗り物だ。乗り心地は最悪だけど。クッション部分はなんとかしないと。大きな窓とかあった方が良いかも。それだともはや戦車じゃないけど。

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